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中東の桃源郷 『オマーン』

オマーン。そういえばサッカーの試合で見たことあるような、ないような。「ドバイのついで」という名目で明確なイメージもあまりないままぬるりと降り立ったその国は「中東の桃源郷」という言葉が似合うエキゾチックで優しい場所でした。

オマーンは日本国籍保持者には珍しいビザが必要な国(オンライン申請できますが)。余裕をぶっこき、4日前にオンラインで申請するもシステム不具合に見舞われ、結果的にビザが下りたのは日本出国前日でした。ヒヤヒヤ。

オマーンの首都マスカット。そんな甘酸っぱい香りがしそうなこの街は公共の交通手段が発達していません(車社会が故にさせる必要がないのだろうけれども)。一応バスは通ってはいるものの初心者にはかなり分かりにくく、本数も少ない。さらに車社会が故にバスの詳細など知る必要もない人がほとんどで、現地の方からの情報も乏しく、タクシー移動が中心となりました。ウーバーもないよ。

ちなみにオマーンの物価は高めです。1リヤル=300円弱。値札に「5」と書いてあれば「5USD」前後と捉えがちなのが旅人の性ですが、この感覚で旅を続けると来月のクレジットカードの請求で痛い目を見ます。(せっかくなので実物の撮影を試みましたがびっくりするくらいお札のバリエーションがありませんでした)

海沿いのマトラ地区へ移動すると見えてくる岩山の頂上にちょこんと置かれたいくつものフォート(要塞)たち。主にポルトガル占領下の16世紀に建造されたものだそうで、特にそのフォートの一つ、岩山の山頂に建つマトラフォートからの眺めは格別です。

海側を見れば意外にも青くて綺麗なオマーン湾と白で統一された建物たち。山側を見ればゴッツゴツの岩山とそれに張り付く建物。どこを見ても自然と人の営みの両方を感じられる絶景。しばし「海沿いのアラブ世界の雰囲気を噛み締めちゃってるオレ」に酔います。

フォートの麓はローカル感漂う白い漁村。観光地にもなっているフィシュマーケットにて食事が可能との情報を持っていたので行ってみると、鮮魚とは何も関係のないハンバーガーショップ風の店が2つ。オマーンらしい食事を期待していただけに拍子抜けし、昼食場所を探して歩き回ること1時間半。最終的に入ったのは別のハンバーガーショップ風の店でした。

マトラ最大の観光地はマトラスークでしょう。現地の方から観光客まで集まる市場です。観光客向けのお土産物からイスラム教関連グッズ、スパイスまで幅広く揃うマトラスークで有名なのが乳香(木の樹脂)です。乳香はオマーンの名産品で、焚くことで香りを服に写したり、部屋に香りを漂わせたりして楽しまれているそう。ここで着オマーン以降ずっと不思議に思っていた独特な香りの正体が乳香であったことに気づきます。

値段も想像したほど高額ではなく、乳香本体と乳香壺で1000円弱ということで購入。上のオマーンガイズの写真を撮らせてもらうとその出来に喜んでくれ、煙を出すための固形燃料をオマケしてくださいました(空港にて引っかかると面倒なので同行者のスーツケースになすりつけました)。彼らが言うには、乳香はそのまま(半透明の石のようなルックス)でも食べられるそうで、口に入れてみましたが食えたもんじゃありませんでした。オマーン旅から半年余り、未だ一度も焚いたことがないなんて彼らには言えません。

その他、個人ミュージアムがあったり国立博物館があったりと楽しいマスカット。素敵な茶器ですね。

日を改めて向かったのは西ハジャール山脈。マスカットから車で約3時間。ランドクルーザーの天井に何度も頭をぶつけるほどの悪路を進んだ先にあったのは、日本ではまず見られないような険しい岩山が連なる絶景でした。しばし「こんなところまで到達しちゃったオレ」に酔います。

岩山の谷間に作られたサッカーコート。近くに集落があり、自分にとって来たこと自体が武勇伝になりそうなこの場所にも人の営みが存在していることに深く感心させられます。

西ハジャール山脈への道中の街ナハルでは愉快なオマーン紳士とクロネコに出会いました。愉快な道中です。

翌日に訪れたのはオマーン最大のモスク、スルタン・カブース・グランドモスク。

某サイトには朝から夜までOKとあり、がっつり夕方に訪れてみると、イスラム教徒以外は午前8:00〜午前11:00までの3時間のみ解放されているそう。ホテルから4kmほど歩いて来たこともあり「ワイ今晩日本に帰んねん…(大嘘)」とダメ元でお願いしてみると入り口ゲートから5m、2分ほど中に入れてくださいました。後日改めて開放時間に訪問。観光地化されすぎず、あくまで地元のイスラム教徒のためというスタイルを貫く開放時間設定が素敵。

在オマーン日本大使はオマーンを「中東の桃源郷」と表現なさっていました。緊迫した中東情勢の中でも常に治安を維持してきたことがその由縁でしょう。山や海などバラエティに富んだこの土地に暮らす人々は、古くから根付くイスラム教や、石油を産出する湾岸諸国が故の余裕か皆心優しく、人間味に溢れていました。次は南部のサラーラ、ファラジ・ダリスの方まで足を伸ばしたいなあ。

Camera: SONYα7Ⅲ, Voigtländer Vito B

Lens: Voigtländer Nokton 40mm F1.2 Aspherical, Viltrox 20mm F1.8

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