見出し画像

ニュームーン #4

薄曇りのはっきりしない空は、わたしの心を見透かしているようで恥ずかしくなる。穏やかな風のない空だけれども、その先にはどんよりとした灰色の雲が立ち上っていることは否めない。

拍子木の音が聞こえる。日の沈む刻を伝える懐かしい響き。

やりきれない想いは、やがてハリボテのように固くなって自らを覆い尽くしてしまう。見えていたものも見えなくなって、すべては閉ざされた幽霊船のようにさまよっている。なんて、怖そうな表現をしてみるけど、程のいい謳い文句でしかない。

相変わらずな日々は、年末という、なぜか忙しない雰囲気に飲み込まれようとしている。例に漏れず、わたしも家の片付けに精を出している。

ガラクタとそうでないもの。
着るもの着ないもの。
使っているもの、使っていないもの。

いつになく、断捨離傾向は強まっているようで掃除がはかどる。
すべて捨てて、すべてを新しくしたいみたいに。どうにか落とし所を見つけて、落ち着きたいんだと思う。


先日、またしてもSNSにやられた。
もう気にしない事にしたから、ほっといて欲しいんだけど。。。

あれから日数が経って、あの人へ対する想いはだいぶ静まってきた印象しかない。
あの人が元気でいるかなんて、正直どうでもいい。私が求めているのは、連絡をくれるかくれないかの答えでしかないから。それははっきりしている。

時が経つというのは、残酷だが優しい気がする。刺々しい感情もいつしか落ち着いてきて、知らぬ間に仕事でもしているうちに、薄れてゆくものだと身をもって実感している。


あの満月から新月へ。
月は欠けて欠けて、欠け続けてたどり着く。
わたしの願いは、まだ届かない。


今日は新月。
見えない月なのに、さらに厚い雲が多い尽くす。全ては闇の中とでも言いたげに神妙な夜の帳に包まれて。

・・・。

それでも、やっぱり、願ってしまう自分はいる。

どこのものともわからない気持ちに、半分諦めてはいるんだけど。もう半分は、何とかしようともがいている。いつになるかはわからない。月日は否応無しに流れていくので、きっと来年になるだろう。

なんでもいい。何かしるしがほしい。きっかけとか機会とか、そういうもの。
進んでいくもいかないも、どこかで平行線な想いが片付く日がくることを願っている。

来年は届くといいな。
そしたら、きれいにまとまって、笑顔であいさつをしたい。
始まりの挨拶か、別れの挨拶か。
決めるのは、自分だったりするんだろうけど。


あぁ、新月なのに、きれいな月を拝みたい。
どうにか、きれいな形に収まってくれる関係であることを願って、灰色の雲を睨む。
さっき、どうでもいいなんて言ったけど、できたらみんな元気な方がいいに決まっている。


なので、新月に祈る。

みんなが元気で幸せになれますようにって。
もちろん、あの人も。


・・・つづく。


読んでくれてありがとうございます!読んでくれるだけでも立派なサポートなので、また読みに来てください。サポートはすべてクリエイティブ活動のために!