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2話公開直前!!前代未聞インプロ漫画「プレイフル」作画担当西竹さんにインタビュー!

僕が初めて読んだ記憶のある漫画はコロコロコミックに掲載されていたピッピが主人公のポケモン。 通称「ギエピー」。
そこから小学校では漫画の歴史本や神話本を読み漁っていました。きっと其れ等が活字本であれば手を出す事はまず無かったでしょう。

漫画はより手軽に題材と個人を繋ぐ架け橋になってくれると感じています。


今回、インプロ【注1】を漫画通してより多くの人に届ける為のインプロ漫画化プロジェクトにて現在1話公開中のインプロ漫画「プレイフル」の作画担当をしている西竹巧弥さんにインタビューを受けていただきました!

・漫画を書くって実際どーなの??
・インプロを漫画にするって?

などなど。興味深いお話を沢山してくれました!
これを読めばもっと「プレイフル」が愛せるようになる事間違いなし!

それでは、早速インタビューに参りましょう!

※不思議はインプロ漫画企画には一切関係ない1読者です。インプロ漫画の公式発信ではありませんのでご了承下さい。

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西竹巧弥(にしたけくみ)
1993年2月20日
大阪府出身
所属:劇団しおむすび/セカンドサークル
舞台女優/インプロバイザーとして活躍する傍らイラスト/フライヤーデザインなども手がける。
人物を2頭身の可愛いキャラクターにリメイクする「ちびキャラ」や長年の書道経験による文字のデザインや非常に達筆な筆文字が特徴的。
舞台】
ユーキースショーケース『金と心臓』(作・演:大石晟雄/2018年)@スタジオコパン両国
劇団晴天第十回公演『朝をつれてこい』(作・演:大石晟雄/2019年)@シアター風姿花伝
2人で企画即興芝居『唯今二人』(ディレクター:忍翔/2020)@i Rego Garage
1人芝居『くみのみ』(演出:忍翔/2020)@i Rego Garage
その他セカンドサークルや劇団しおむすびのインプロ公演に多数出演
フライヤー参加作品】
Periodista第一回公演『歌わせたい男達』(2019)
劇団Pinot Noir第一回公演『ヘルメスの旅行鞄』(2019)
謎解きゲーム『戦乙女の記憶-北欧神話風×風景活用型周遊謎』メインビジュアル(2019)
演劇企画ユニットリトルファンタジー第一回公演『さくらのメロディー』(2020)
その他劇団しおむすびのセカンドサークルフライヤーも多数手がける。
【筆文字オーダー】
劇団しおむすぶ『しおむすび再出陣式』(2019)
アニメ『文豪ストレイドックス』31話(2019)
しおふぇす2020春『令和最初のええじゃないか』(2020)
演劇ユニットochinpeace『超充実戯画MAX』(2020)

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かく言う私もちびキャラにして貰いました。

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決闘者verも書いてもらった事があります。カッコ良すぎかよ〜!!

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筆文字も流石の一言です。

「姉に見せるのが1番怖かった。」

ーーインプロ漫画の企画の参加にはどう言った経緯があったんですか??

西竹:経緯、といいますか。去年の5月末あたりに企画者の藤野さんからお話を貰いました。クラファンサイトの挨拶にも書いていたと思うんですけど、「参加者の全員がインプロバイザー【注2】で作りたい」という想いを持ってらしたそうです。それで藤野さん的にインプロ界隈の中で絵を描ける印象を持って貰ってたようで、声をかけて頂きました。

ーー去年の5月から!?

西竹: 早い物ですよね!私も今調べてびっくりしました。

ーーイラストが大変お上手なのは以前より知っていたのですが、漫画もお描きになってたんですか?

西竹: 漫画はからっきしで、全然描いたは事ありませんでした。中高の時に一回挑戦したことはあったのですが、初手のコマ割り【注3】から躓いちゃって(笑)ただ、2年前に出た舞台で漫画家の役を頂きまして、その役作りの為に姉から漫画を作る上での経験談を聞いたり、1コマ漫画をラリーしたりしましたね。姉も漫画を描く人なんですよ。

ーーお姉さんも漫画を??

西竹: 姉は私なんかよりずっと前から漫画を描いてて。これ、どこまで言っていいのかわからないんですが、とにかく「漫画を描く人」である事は知っていただきたいです!私自身、小さい頃から姉の描く漫画を見てましたし、トーン【注4】の削りとかのお手伝いしてました。今も描いています。絵をずっと描いている人です。

ーーじゃあもしかして今回の「プレイフル」の感想を貰ったり?

西竹:貰いました!!正直、姉に見せるのが1番怖くて。見て欲しいけど1番怖いみたいな所があって。今回1話見て頂いた方わかると思うんですけど、トーンを貼ったりとかしてないんですよね。本当に線画でしかなかったので。ある種未完成なモノ出してるっていう事に対する不安が凄い大きくて、「どう見えるんかな」「漫画として認識してもらえるんかな」っていうのがあったんですけど、姉はホンマに凄い。丁寧というか熱量がとてもあって、愛に溢れた人なんで。「ここのページのこれよかった!」「ここのページこれめっちゃよかった!」っていうのをLINEでめっちゃ送ってくれたから、嬉しかったですね!それが貰えた時に。漫画を描いているのを今まで1番近くで見てた人にそう言ってもらえたのが。嬉しかったなぁ。

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ペンタブ

「1話まるまる1ヶ月」

ーーなるほど。では、今回漫画に初めて本腰を入れて取り組まれていますが、実際の所どうですか?

西竹: いや〜もう大変(笑)大変(笑)楽しいも多いんですけど、その分大変も多くて。まず、文字(シナリオ)をネームというかコマ割りにする事を今までやってこなかったので。1枚絵などは描いてきたんですが、全然話が違って。イラストの絵や線の書き方が漫画に合うかというと、そういう訳でもない事も学びましたし、そこの差を合わせるのが大変です。コマ割り、ネーム【注5】に起こしていくっていう作業は今まで使っていなかった頭を使っている感覚があります。1ページのバランスみたりだとか、文字だけじゃなくて表情をどう捉えるか、どういう角度でどんな大きさでキャラクター達を描くのか、考えることが多くて。1ページ1ページが大変です。頭めっちゃ使うっていうか。後は単純に、1話40ページくらいあるんですが、さっき言った漫画を作る工程の量がとんでもないというか。姉も含め、クリエイターの諸先輩方の凄さを実感しました。

ーー実際1ページどれくらいかかるんですか?

西竹:うーん。詳しく計ってる訳じゃないんですけど、ネーム抜きで1ページだいたい4〜5時間くらいかなぁ?(1話は)1ヶ月まるまるかけてやっと描き上がる。それでも色は全部塗れない状態なんで。

ーー凄い!まるまる1ヶ月?!

西竹:そうですね。ネームから、描き上げるまでまるまる。

ーーネームはどれくらいかかるんですか?

西竹:ネームは大体同時進行なんですよ。清書やってる合間とかに次の話のネームに取り掛かったりするので正確な数字ではないんですけど、多分1週間くらいですね。それでそれをパソコンに入れてデジタルに変換してラフにして、最後に清書して。

ーー聞けば聞くほど想像してたより大変なんですね!!1日の作業量はどれくらいなんですか?

西竹:月末は締め切りに追われながら、ほぼ寝ずにやってるので...(笑)睡眠時間が3〜4時間だとしたら、ご飯と休憩、お風呂とかの時間を除けばずっと漫画をみたいな生活を最後の1週間くらいはしてます。(笑)

ーーじゃあ8時間は超えてますね。

西竹:そうですね。月末以外でも何だかんだ夜中までやって、お昼前に起きて(笑)そっからまた作業して、みたいな。

ーーもちろん、週休2日制では

西竹:ないですね(笑)

ーーずっと?

西竹:ずっとですね。起きたら漫画。電車乗ってもネーム(笑)

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シナリオ(文章)をまずはアナログで組み立ててみてから
デジタルに移すそうです。

ーーこれ元々の質問予定じゃなかったんですけど、イラストとかって安くお願いされる事って多いじゃないですか?それで問題になるケースもSNSではよく見かけますし。でも実際そうやって1ヶ月まるまる西竹さんの時間を使っていると考えると非常に特別なスキルだと思うんですよ。それで、実際世間的に見れば中々保障されづらい中でお金を貰って仕事をするってどういう気持ちですか?

西竹:そもそも、自分の絵に対して去年くらいからお金を頂けるようになった事が驚きなんですけど。それこそ、漫画は今までちゃんと描いたことが無かったので、どんな物が出来上がるかわからない中でお金を、価値を頂けることがありがたいです。それと共に、これだけ自分が時間をかけた物でも読むとサァーって、読み終わってしまって。最初見た時に「あんな時間かけたけど、こんな一瞬で終わるんやな!」って。それを感じた時に、漫画ってすごいなって。だから、描き出した所ですし、至らない所がある中で、ちゃんとお金いただけたり、沢山の人に読んで頂ける事が本当にありがたいんですけど、漫画って一冊4〜500円で買えちゃうって考えた時に、大変な事やなって。安いのか高いのか。増えれば多分高くはなるんでしょうけど、そこに対する価値っていうのがね。クリエイター達に対する価値っていうのを改めて考えさせられますした。

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豊かな表情のキャラクターで表情で読者の心を掴む

「進◯ゼミにはしない」

ーー最近はアプリで無料で公開して広告費で回収したり色々また変わってますよね。さて、こんな事を聞くのも変ですが、まずこの「プレイフル」ってどういう漫画なんですか??

西竹:どういう漫画!?!?(笑)

ーー僕ら的にはまだ全容が見えないので。インプロを説明する漫画なんですか?進研ゼミみたいな。

西竹:結構初期の会議の時に「進◯ゼミ【注6】にはしない」っていうのが内海さんの口から出て(笑)だから説明ではなくて。藤野さんが言ってたのは「ヒカルの碁」だったり「キャプテン翼」とか「スラムダンク」とか。何かをモチーフにした作品をキッカケに物事を始める。プレイフルはそんな漫画にしたいねって。そこがスタートラインですね。

ーーなるほど!個人的にまだ1話なんで想像が付かないんですよね他の演劇漫画、最近だと「まくむすび」は舞台セットとか照明とかしっかり描写してますけど、インプロって想像つかないです(笑)

西竹:(笑)そうですよね。インプロって基本的に舞台セットがあまり無いじゃないですか。想像力を使ったり。だから、そういう部分を漫画的な演出として、補ったりする事が今後ある、かもしれない...(笑)

ーー(笑)いいですね!今後!
西竹さんもインプロのプレイヤーとして活躍されていますが、そのプレイヤーとしての視点でインプロを漫画にするってうのはどういう想いですか?

西竹:凄い大袈裟に聞こえるかもしれないんですけど、私はインプロで人生変わったんですよね。良い方に!やったことある人だったら思った事ある人多いと思いますが。それで、めちゃめちゃ楽しいって感じる時って「世の中の人みんなインプロすればええのに!」って思うくらいで、「そしたらきっと平和やわ」って。体感として目の前の相手と真っ直ぐ関われるので。特に今コミュニケーションが減ってるじゃないですか?世の中で。そんな時だからこそ、心が開けた体験を知って貰いたい!やって貰いたい!って思ってて。そのキッカケにインプロ漫画がなればいいなって思います。

ーー用意していた次の質問が「どんな人に読んでもらいたい?」だったのですが、これはもう「全世界の人に」って事でいいですか?

西竹:(笑)一応対象は学生さんなんで!!周りが大人のインプロバイザーが多いんですけど、聞くと「もっと若い頃とか、学生の頃に知りたかった」っていう言葉をよく聞くんです。私もそうなんですけど。だから、漫画っていう取っ付きやすいコンテンツを通して演劇やってる学生の方に知って貰いたいなっていうのが特にあります。

ーー実際描く時に学生さんを意識した書き方とかってあるんですか?

西竹:描き方かぁ...。そもそも主人公達が高校生なんですけど、読んでくださったインプロやった事ある方から「昔はこんな事あったな」「スタートの時はこんなんだったな」って声がチラホラ聞こえて。だから高校生の演劇部が実際にインプロに出会った時にこういう体験をするんじゃないかって。共感を得てもらえるような物にはなってるので、自分目線で読んでもらえるんじゃないかなと思っております。

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1話のワークショップの場面

「漫画家も役者」

ーーもうすぐ、6月1日に2話が公開されるという事で。僕、1話の最後の場面の状況が本当に嫌で(笑)共感してちゃって(笑)そういう意味で「どうなるんだ!」ってなってるんですが、是非2話の見所を教えていただけますでしょうか?

西竹:そう思って貰えて、してやったりです(笑)1話は所謂シアターゲーム【注7】に取り組んでる場面が多かったんですけど、インプロってやっぱりシーン【注8】をやる事が1番楽しいなぁと思ってるんですけど、2話はシーンのシーンが増えます(笑)

ーーシーンのシーンが?(笑)

西竹:そう!だからやっとインプロに触れ始めます。それに、1話よりもキャラクターの表現が見えてきます。バリエーションや発想力だったり、苦手な所だったり得意な所だったり。それぞれ見えてくるのが面白いと思います。また、私個人の技術面の話なんですが、1話を経てチームの人から頂いたアドバイスを元にもっと見易くしたり、40ページを描き上げた後の40ページなのでスキルアップもしてるのかなと。より、漫画らしくなってると思います!後は絵を描いてての見所は「表情」です。シーン中の「表情」もシーン外の「表情」もそうだし。その役の心情だったり、言葉だけでは感じ取れないモノを受け取っていただける場面もありますので、その辺も注目していただければ!1話では見えなかったキャラクター達のあんな所やこんな所が...!

ーー急にそれっぽい事言い出しましたね(笑)

西竹:いや、それっぽいですけど実際そうなんで!見えてなかった所が「あっ、そういう所あったんやね」っていうのがちょっと見えるかもしれませんので!

ーーそれは楽しみですね!ちょっと聞くタイミングとしてはズレちゃったんですが、文字を絵にするっていう意味では舞台作りみたいですね。

西竹:いやー、本当それは思いました!漫画書くに当たってお芝居やっててよかったなって。今までの自分がやってきた事がインプロ漫画に生かせてる事が、人生が繋がっていってる感じがして嬉しいです!キャラクター視点でどう感じているのかっていうのをお芝居やってたから、そういう視点に立って書けるっていうのもあります。「映像研には手を出すな」っていう作品の中で「アニメーターは役者」だっていうセリフがあって、漫画家も同じだなって思いました。描きながら、その役の気持ちになったように表情が出せた時、代弁できたようで嬉しくて!役者だなって。

ーー最後に読んでくださっている方に何か一言ありますか?

西竹:『プレイフル』を読んでくださっている、応援してくださっている皆さん。改めまして、本当にありがとうございます!

まだまだ描き始めたばかりのぺぇぺぇではございますが!内海さんのおもしろいシナリオを絵にすることで、より!インプロの良さ含めて伝えられるよう、これからも精進していきたいと思っております!

そして、クラウドファンディングやnoteでご支援くださっている皆さん。本当にありがとうございます!
みなさんのお陰で、今、自分はこうしてお仕事として漫画を描かせていただけております。しかもインプロの!
「支援してよかったな!」と思っていただけるよう、作品でもってお返ししたいと思っております!

2話、3話と描きながら「え!次どうなるの?!」と自分でもペラペラめくりながら描けてるぐらい(笑)どんどん面白くなっていきます!
ので、今後もぜひお楽しみにしていてくださいませ!!

ーーお忙しい中、本日はありがとうございました!!

西竹:ありがとうございました!


【終わりに】

もう間もなく、6/1に第2話が公開されますが、話によると6.7話くらいまであるそうです。これからどんどんインプロを描写していくという事で毎月1日が楽しみですね!

また、このノートに対してサポートして頂くと、その分を全額西竹さんへお渡ししますので是非忙しい中インタビューを受けて頂いた西竹さんの応援をよろしくお願いいたします!プレイフル公式noteでもサポートを受け付けているそうなのでそちらでも構いません。クラウドファンディングはされていましたが、仕事量のお話を聞くとどうしても足りなく感じてしまいます。インプロの普及だけでなく、クリエイターに価値を繋げられる1つの機会になって欲しいと思いました。



注1:即興芝居、台本のない演劇の事。海外では日本よりも確立したジャンルである。
注2:即興役者。インプロを学び、演じる事のできる人を指す。
注3:漫画において、それぞれの絵を枠線によって区切り、場面の転換や時間の流れを読者に想起させる一般的な技法。
注4:漫画用語トーンは白と黒の中間や服の柄、効果などを表現するのに使う。
注5:ネームとは、漫画を描く際、コマ割り、コマごとの構図、セリフ、キャラクターの配置などを大まかに表したもの。
注6:某学習会社が教育教材への入会を促す為にかなりの頻度で紹介漫画が学生に送られる。その殆どが挫折からの進◯ゼミの入会と説明。そしてサクセスストーリーで構成される。
注7:演技の基礎訓練などの意図が盛り込まれたコミュニケーションゲーム。「だるまさんがころんだ」もシアターゲームとして行われることも少なくない。
注8:インプロにおいて、1〜複数人の演者が時にはお題を貰ったり、時には何もない中から演技で場面を作り上げる事を指す。





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