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イギリス 共働き・家事育児事情 其の2

イギリスは、やはり多国籍化がすすんだので、夫婦、カップルの収入差で、二人の立場に差が出ること自体は、「時代錯誤」となっています。いわゆる、お金を稼ぐほうが偉い、という考えは「時代遅れ」、または、「勘違い」と、一般的には考えます。

お金を稼ぐほうが偉いのであれば、お手伝いさんを雇えばよく、性欲も満足させたいのなら、そういうサービスを使えばよいわけです。払われた分の仕事はしてくれます。

夫婦、カップルになったら、「助け合い」、「支え合い」が中心で対等です。

ですが、税金も、物価も、家賃も、学費も高いこの国で、一人の収入でそうそう一家を、そして自分たちの老後を支えるのは難しく、子育て家族へのケアも、法律的にも、精神的にもあるので、女性の社会進出も(北欧ほどではありませんが)進んでいるから、ということもあるでしょう。

しかしながら、多国籍化のすすんでいるイギリス。当然、日本でもまだあるように、Breadwinner(稼ぎ頭)が偉い、とする家庭の文化は当然あります。また、自分より稼いでいない配偶者やパートナーを見下すケースもありますが、それは、家庭文化ということで、それはそれ、とします。ここでは、全体の方向として、どの考えで進んでいっているのか、ということを書いています。

一般的に、イギリスでも、男性が稼ぎ頭で有ることが多いです。女性には、妊娠、出産というステージがあるので、一時仕事を少なくしたり、仕事そのものを辞めて育児に専念したり、時短(一応、昇進昇格に影響はしない、ということになっている)を利用したりということも、まだまだ珍しくありません。

また、男性が時短にすることも、珍しくもありません。育児の一番かわいい時期を子供と過ごす時間を増やしたいというのもありますが、どちらかが、万が一仕事を失ってもなんとかやっていける「バランス」を保ちたい、というのもあります。

片方が仕事を辞めて、ブランクを取ることで、給与が下がることはよくあります。それがないように、双方が週一回または二回無給で休んで育児家事をこなしていく、という方法を選べます。

イギリスには、子持ち無し関わらず、Flexible Working法があります。26週つまり、半年同じ会社で努めていれば、フレックス(時短、自宅勤務、週あたりの勤務を減らす、ジョブシェアなど)を申請でき、会社側は、申請をうけたら、Reasonable Manner(真摯に対応する、ということで、正式に、メリット・デメリットの精査、そのミーティングを持つ、フレックスする方法の再考を依頼、等を含む)で対応する必要がありますが、必ずしも、受け入れる義務はありません。受け入れるメリット・デメリットで、デメリットが大きければ、理由を説明して、却下することはできます。

コロナ禍のおかげで、自宅勤務が厳禁だったところも、かなりゆるくなったようで、問題が収束後も、自宅勤務はより簡単に受け入れられると思われます。

が、小さいこどもがそばにいながら仕事できる職種ではない場合は、自宅勤務の状況を細かく設定することもあります。また、Health and Safety(労働安全法のようなもの)の観点から、自宅勤務をする場合、座る椅子や、机などがスペシャリストによって調査され、改善依頼を受ける場合もあります。

イギリスでは、小学校5年くらいまでは一人でお留守番、通学などさせられない(法律では決められておらず、ガイダンスとしては、12歳までは大人が見守る必要があるといわれています)ので、5-7年間は、成人学校への送迎が必要となります。

朝は、有料ですが、Breakfast Clubという、学校内で朝ごはんを食べさせてくれ、始業時間まで子供たちを見守ってくれるところも多いですので、8時くらいには送り届け、就業時間は15時から15時半に迎えがあります。習い事をさせている場合は、それへの送迎も必要となります。

子供の安全のためとは言え、やはり、親への負担は大きいからこそ、制度も整えられたとも言えます。

親同士で、この送迎の負担を軽くするため、助け合いも普通にあります。特に、兄弟が生まれたばかり、となると、この送迎をやってくれると、相当助かるので、助け合いが盛んです。また、習い事も同じ時間に友達同士を入れて送迎を順に回している人達もいます。

ママ友パパ友を作ることは、お互いのためになるので、子供同士が仲良い場合には、親も、最低、日常会話や、挨拶を交わし、時には子供を家によんで遊ばせる、Play Dateをすることも盛んです。お互いに顔見知りになり、家にも呼び合い、お互いの安全性をある程度確かめてからは、気の合わない人とは、それほど仲良くせず、気の合う人とは家族ぐるみでお付き合いもします。

せっかくの週末が潰れる、ということもありますが、やはり、助け合い精神がある方が、結局は自分も救われるし、子供も、色々な家族や家族のルールがある、と知るのはいいことで、親はある程度の努力をします。というのも、何よりも、親が知り合いのほうが、DV(家庭内暴力)の助けを受けたり、求めたり、いじめを察知・牽制しやすい、というメリットがあります。

というわけで、親は親同士の関係をある程度大事にしていきます。

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