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05 バルセロナの観光規制の新法案の記事

 2017年の1月27日付のガーディアン紙の記事に、バルセロナ市の観光規制に関する法案が掲載されていたので、以下に翻訳して引用する。引用元はこちら

Barcelona cracks down on tourist numbers with accommodation law
バルセロナ市は法案にもって観光客の削減へ

Spanish city passes law to limit number of beds on offer and impose moratorium on building new hotels スペインの年で観光客用のベッドの数の制限と、ホテルの新規建設を一時停止する法案が通過する。

2017.01.27
ステファン・バーデン

 バルセロナに訪れ占領して地域住民を激怒させる観光客を抑制する法律が金曜日にバルセロナ市で可決した。バルセロナ市の住民160万人に対して、昨年訪れた観光客は約3200万人であると見積もられており、そのうちの半分は日帰りの旅行客であったという。
 この新しい法案は、25年以上も続く容赦ない街の観光化と、土曜日の市の象徴になているランブランス通りの占領計画から来ている。ランブランス通りは、度を超えてやってくる法外な数の観光客の象徴にもなっている。
占領計画は40以上の地域住民とコミュニティ協会によるバルセロナ近隣組織によって実施されている。
 「バルセロナは商品ではない」というスローガンの元、抗議をする人々は、
地元の住民を街の外に追い出し、ツーリスト産業に低賃金で奉仕させるような不動産投機をやめるように連呼している。
 「バルセロナの観光及び飲食部門は最も低賃金である。観光飲食部門は平均的な収入の半分しか稼いていない。」とコミュニティグループのメンバーの一人でもあり、持続的観光のための近隣連合のメンバーでもあるマルティ・クソ氏は述べている。
 新しい法案は、「観光施設に対する特別都市計画」として知られ、ホテルや観光宿泊施設が提供するベッドの数を制限する方向を模索している。この法案は新しいホテルの建設の一時停止を課すとともに、観光用にアパートを貸すライセンスを停止するものである。しかし、実際には既にかなりの数の新設事業のプロジェクトが進行中であり、この法案が2019年よりも前にインパクトと持つと予想されている。
 現在バルセロナ市には75000台のベッドがあり、50000台のベットが観光客用に認可されたアパートメントに備わっている。それに加えて、違法なアパートメントにも50000台ほどのベッドがあると見積もられている。現在、17000軒の家屋が観光客用のアパートになっており、その結果バルセロナの賃貸価格をスペインで最も高いものに釣り上げていると住民連合は計算している。
 その法案は観光産業に断固として反対するものであり、観光客を邪魔者扱いすることで成長を制限し、経済に対して既に打撃を与えていると主張する正反対の意見と真っ向から対立している。ちなみに2014年の統計によると、バルセロナ市のGDPである720億ユーロの約12%を観光産業が占めている。
 「法案の焦点がまちがっている」と主張するのは、バルセロナホテル協会の総裁であるマネル・カサルス氏である。「昨年だけで3200万人が訪問したバルセロナでは、800万人がホテルに宿泊したのみである。2300万人は日帰りの観光客であり、街にはほんのすこしのお金しか落としていない。観光客を制限するのに必要なのはベッドの数を制限することではない。それでは日帰りの観光客を制限するのではなく、単に宿泊する人を制限するだけに過ぎない。」とカサルス氏は続けている。
 市に状況に対してフラストレーションを感じている交渉団体である「持続的観光のための近隣連合」のメンバーであるダニエル・パルド氏は、これはゴールではなくスタートであると述べている。
「たとえこの計画がうまくいかなかったとしても、計画の実施が街の問題に対して何を切り開くのかが重要である。誰も今までこれを実行しようとは考えてこなかった。これまでは”もっと、もっと、もっと”という計画しか無かったのだ。」
 10月に市議会によって行われた調査では、都市住民が感じている最も大きな問題として、失業に次いで観光は二番目だった。
ホテル部門の専門家であるエコノミストのジョルディ・フェラーは、今回の計画によって一時停止させられる建設プロジェクトに対して、バルセロナ市が4億ユーロの損害補償を支払わなければならないと見積もっている。

20170420



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