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観光とデザイン

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グローバリズムから「インターローカリズム」へ

2020年1月より世界中に拡散したといわれる新型コロナウイルスと、それに端を発するパンデミック現象は、半年経った今でも世界中を席巻している。この新型コロナウイルスという存在そのものや、その危険性についてはまだよく分かっていない部分も多い。その中でWHO(世界保健機関)によって早々と出されたパンデミック宣言や、世界各地で都市封鎖が行われたことで様々な影響が現れている。 果たしてこの封鎖を行う必要があったのか、そしてそれによって感染拡大防止に効果があったのか。そのことには個人的

観光デザインのフレームワークについて

●ツーリズムの時代  石森秀三は人類学の立場から、人類はこれまでに三度にわたる観光革命を経験し、50年ごとに観光革命が起こると述べている。1860年代の鉄道、1910年代の米国中産階級の隆盛、1960年代の航空技術の普及に続いて、2010年代の今起こっている世界規模の大交流を第4次観光革命と呼んでいる。今世紀はグローバル化の進行とともに、人々の流動性が急速に高まり、2020年には世界で5人に1人が外国人旅行客になるとUNWTOは予測している。ツーリストのみならず、それに関係す

オランダの超合理主義を想う

初のオランダは1月。気温は3度のスキポール空港。バルセロナは朝は9度だったが日中は20度まで気温が上がる。 スキポール空港からデルフトまでの列車の車窓から、オランダの風景の概要をつかむ。 人が海と風と格闘しながら土地を獲得してきた歴史が目の前にある。オランダで合理主義が発達するわけだ。0から海を埋め立てて土地を作るのに非合理的に進めるわけがない。 全て意図の元に置かれる超合理主義。デザインもそういう方向から発展していくと思いがちだか、そうはいかない。 合理主義で埋め尽くされ

アムステルダムライトフェスティバル2018

アムステルダムライトフェスティバルの概要   12月中旬から1月中旬までアムステルダムではライトフェスティバルが行われる。このフェスティバルは2012年から開催されており世界各国のアーティストが運河沿いに光のアートを製作する。  本年のライトフェスティバルは2017年の11月30日から2018年の1月21日まで53日間に渡って開催された。イルミネーションの点灯は毎日17:00から23:00まで(大晦日は20:00まで)。フェスティバルの開催会場は”Water colors”と

2015年米旅行業界10大ニュース

1.キューバ国交回復 2.テロ連続発生 3.買収競争が過熱 4.ルフトハンザのGDSフィー導入 5.クリスタルクルーズの成長戦略 6.「バハ・マー」計画破綻か 7.シェアリング経済隆盛 8.ファザムクルーズの社会貢献 9.オープンスカイ協定で意見二分 10.ドル高・元安の進行  「バハ・マー」は中国資本が主導する35億ドル規模のバハマの大型リゾート計画だが、6月に米連邦破産法11条を申請した。それ以来、再建策がいまだに打ち出されていない。問題は「いつ再建できるか」ではなく、

映画業界について

1.製作・配給・興行の3部門からなる映画業界 国内の映画業界は「製作」「配給」「興行」の3部門で成り立っています。製作は映画を企画し、資金とスタッフを集めて作り、配給は上映する映画館を確保して映画を宣伝。興行は映画館を運営します。モノの製造・販売なら、製作がメーカー、配給は卸売業、興行は小売業にそれぞれ当たります。  邦画は東宝、松竹、東映の映画大手3社が製作・配給・興行のすべてを担っています。洋画は邦画と違い、米大手映画会社(ハリウッドメジャー)の系列配給会社を通じて公開

LCCについて

1.航空自由化の世界的な広がりで急速に台頭 LCC(Low Cost Carrier)は運営の効率化によって大手航空会社より割安な運賃でサービスを提供する航空会社のことです。1990年代以降、米国や欧州で設立が相次ぎ、2000年代に入るとアジアでも急増しました。国土交通省によると、LCCの旅客シェアは今や北米で30%、西欧は38%に達し、東南アジアでは58%にも及びます(13年、国際線と国内線の座席キロ=座席数と輸送距離をかけた数値=ベース)。  LCCの台頭を後押ししたの

インバウンド消費について

2015年10月19日掲載 1.アジアからの観光客を中心に消費が急拡大(1)インバウンドとは「外から入ってくる」という意味の英語で、日本を訪れる外国人旅行者の国内での買い物や宿泊、飲食などの消費を「インバウンド消費」と呼んでいます。訪日外国人旅行者数は2013年に初めて1000万人を超え、14年には過去最高の1341万人に達しました。これに伴いインバウンド消費も急拡大しています。観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、その総額は東日本大震災が発生した11年に1兆円を割り込み