Logseqという知的生産補助・管理ツール
はじめに
知的生産をいかに向上するかは,おそらくはそれを望まなくなるまでの永遠の課題であるように思えます.それはすぐには結びつかなくても,みな何かしら日常の一コマや,気づいたこと,記憶や記録を次の日へつなげているのではないでしょうか,
私自身は,教員になってから知的生産の向上を意識して試行錯誤の毎日がまだ続いています.それを個人レベルでやることと,研究室レベルでやるにはどうすればいいかです.
個人レベルでの知的生産補助ツール
個人レベルの場合は,LogもしくはTodoやメモなどはアナログのツールで,論文や物書きはデジタルのツールでやるのが今のところ落ち着いています.
アナログ的知的生産管理ツールというか,Todoが含まれる場合もある作業日誌的ログは,Delfonics社から出ているRollbahnという方眼ノートに,その日のLogもしくはTodoを書いて,空いたところにメモやアイデア,企画の原案などを書き込んで日々をつないでいます.かれこれ10年以上になるのでしょうか.アナログは使っている感触というか,使っていて気持ちのよいものがストレスなく書けます.Rollbahn L型1年ダイアリー,日付スタンプ,4色ボールペンもしくはフリクションボールペン濃紺を持ち歩いて使用しています.
デジタルの方は,論文や予算の申請書などが主になりますが,それらに対してはいつもインプットツールを試行錯誤しています.
その遍歴は,OmniOutlinerからいくつかの軽いテキストエディタを経て,Scrivenerのちエディタ探し,WorkFlowyのちまたエディタ探しという感じです.
おそらくこれは,私が論文を書くときにいかに構成を作るか(=論理の流れ)に重きを置いているからだと思います.そのような意味では,WorkFlowyのようないつも並び替えができるアウトライナーは使っていて作業に集中しやすいツールです.文章だけを書くのでしたら問題ないのですが,これを知的生産補助ツールにまで昇華するには,少し物足りない気がしていました.
知的生産補助ツールと個人wiki
ほぼ同じ時期から,自身の得た知識や情報をwikiにできないかと思っていました.ですが,当時は自身でサーバーを立ち上げて,wikiのテンプレートに流すというのがおっくうでとても対応できないと思っていました.できたらいいな,あると研究室でそれを共有すれば,知識の共有になるのでいろいろ捗るのではと今も思っています.
知的生産とは
知的生産とはいいつつも,生産に至るまですべてが知の産物であるはずもなく,私の場合は実験系の化学なので手足を動かして実験して,生じた結果が知なるものです.これをインプット,管理,アウトプットを含めて世に出す(論文,学会発表など)ことが私の知的生産になります.
インプットは論文調査も含まれます.最近の動向や周辺の学術的背景も知る必要があります.得られた情報をもとに,実験計画を組み立て直したり,生産活動の繰り返しをします.
つまり,情報収集と生産活動,そして世に出すというところに至るまで全てが密接に関わり合って営みをするわけです.
全方向にアンテナを貼ることができればいいのですが,他のプロジェクトやテーマがあると,これらが並列で走ります.3人の学生がそれぞれ別々のテーマをやっていたとして,一度に3人とディスカッションすることは,まったく異なる知識が必要なためかなり疲弊します.
そうすると,いかに管理をするかが問題になってきます.またどこかを簡素化したいとも思います.
できるだけ情報収集は要点を得て,生産活動もムダなく,個別プロジェクトへ迅速に対応する...などなど
問題は根深いが悪あがきはする
そのような問題,つまり知識あるいは知的生産の管理を含めた方法論の確立は,容易にたどり着くのは困難ではあるが喫緊さを増しているのではないかと思います.
そして,それを解決することは,私が直面している問題だけでなく,近い将来少子化の影響で(すでにあると思っています),学生数が少なくなったり,人手が足りなくなったり,その質が低下した時の対応策に通じると思います.
対応策その1
プログラミングによる短縮化,自動化による工程の簡素化・高密度化
Pythonをはじめました.情報のフィルタリング=情報収集の簡素化,単工程の自動処理化,複雑な処理の短縮化・自動化,自己フィードバックなどできることはたくさんあって,自然と迎え入れる態勢になっていました.まだTurtleで遊んだり,Google driveにあるcsvファイルを読み込んでグラフを描くとか,その程度ですが週末プログラミングは新鮮で楽しいです.
対応策その2
アウトライナーの未来形が知的生産の管理を担う
Logseqです.これまでのインプット,管理・運営,アウトプットまですべてを一つでまかなえるツールではないかと思っています.Logseqに出会えたのはラッキーでした.
以下に簡単に特徴を述べます
アウトライナーとしても使うことができ,使用感はWorkflowyとさほど変わらない
画像ファイル(.png)や.pdf,論文管理もできる
タグに相当する動的リンクが容易にできて,wiki的な使い方ができる
Graph内(広い意味でのコンテンツを収めたページ全域のことだと思います)を可視化できる
Logをとる.Todoを行うといった使い方(タスク管理)もできる
などなどまだ完全には機能を把握していませんが,これまでの知的生産の管理を含めた強力なツールであると思います.
さいごに
MacBookAirのMacOSを全消去してLinux(Pop!_OS)環境を作りました.Pop!_OSには古き良きMacのテイストがあり,使っていてとても楽しいです.PC間での同期は,公式にはGitを経由したバージョン管理をするようですが,そのうち簡単にできるとのことです.Logseqを導入してから一週間にも満たないですが,ほとんどの作業をLogseq上でやるようになりました.知的生産やその管理にご興味のある方はぜひお試しいただければと思います.