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心と心の手を繋ぐ音楽〜 「音楽っていいね」その言葉が聞きたくて。ピアニスト山中直さん

山中直さんプロフィール
出身地:高知県高知市
活動地域:福岡
経歴:6歳よりピアノを始める。大阪音楽大学ピアノ専攻卒業
現在の職業および活動:ピアノ演奏・伴奏、ライブコンサート、自己表現・舞台表現、音楽ボランティアグループニコニコ(以下ニコニコ)、ドリームステージプロジェクト
座右の銘:桜梅桃李🌸

Q1.どのような夢やビジョンをお持ちですか?

 山中直さん(以下、山中敬称略)音楽が好きな人が一人でも増えて欲しいです。

自分のレッスンを受けに来てくださる方、ライブを見に来てくださる方、ニコニコやドリームステージプロジェクトを通して関わる方に『音楽っていいね!』ってなって帰って欲しいです。その言葉を聞きたくてやっています。

音楽には、性別や言葉や障がいといった壁を越えたり、自分を含め人を癒す効果があると思います。そういうよさをいろんな人に知ってもらいたいです。

あと個人的には、由紀さおりさんと安田祥子さんの伴奏がしたいです。小学生の頃から大好きで、高校生の時にやっとコンサートに行くことができ、お二人とお話する機会があったのですが、『私たちの伴奏も将来してもらわないといけないかしら。』と社交辞令で言ってくださったのがインプットされており、『絶対(演奏)したい!』と思いました(笑)

記者:音楽を通した先にある価値をすごく感じていらっしゃり、それを通して成し遂げたいものがある山中さんの強い想いを感じました。

Q2.それを具現化するためにどんな目標や計画を立てていますか?

山中:音楽っていいねって人が一人でも増えるためには、とにかく音楽に触れる機会をもたなければならないかなと思っています。

クラシックは特にですが、音楽に対するこうあらなければならないという固定観念が強いように感じます。私も心がテクニックに囚われすぎて自由な演奏ができず、苦しんだ時期がありました。そういう方もなかにはたくさんいらっしゃるようです。
固定観念を壊したいというのは常にあり、いろんなところでお話しします。
だからといってテクニックなく好きなように弾いていいのかって言ったらそうではなく、クラシックにはクラシックの歴史があるので、必要最低限のテクニックや練習は必要かなと思いますが、それに心までも囚われてしまったら本当につまらない音楽になると思います。

記者:型にはまらない、音楽本来の良さを知ってもらいたい想いを感じました。

Q3.その目標や計画に対してどのような活動指針を持ってどのような活動をされていますか?

山中:現在、特に力を入れているのが、ドリームステージプロジェクトと、ニコニコというグループでの活動です。

ドリームステージプロジェクトとは、わかりやすく言えば、夢を叶える大人の学芸会みたいなものです。子供の頃は、アイドルになりたいとか◯◯レンジャーになりたいと思っていても、大人になるにつれ、芸能界はすごく遠いところだとか、音楽は自分には才能がないと思ってやめてしまってる人が多いと思います。大人になった今、いろんなことを経験した自分が小さい時に抱いた夢を取りにいくプロジェクトです。

このプロジェクトでは本番を想定して、8ヶ月間練習するのですが、歌うことや楽器を演奏することにトラウマを持っている人がほとんどです。けれども心の奥底ではそれを乗り越えたかったり、楽しみたい自分がいたりします。練習の過程の中で悔しくて涙を流したりする方が多いですが、その人のトラウマをいかにうまく処理をするかとか、自分自身に気づいたり向き合うこともその過程で大事にしています。 初心者さんには殻を破れ!!経験者さんにはテクニックを捨てなさいということを指導しています。

ドリームステージプロジェクト↓↓

ニコニコは、神綺さん(下写真右)やメンバーの方々と一緒に、ボランティアで障がい者施設や老人介護施設などに、足を運び音楽を届けることをしています。(笑顔になってもらいたい且つ覚えやすいということでこのネーミングにしました。)
普通にクラシックの衣装を着て、普通にクラシックの演奏をするのでは、皆さん寝てらっしゃることがほとんどでそれでは面白くありません。40分間笑ったり動いたり『もうあっという間に40分終わったの?』って言ってもらえるよう、皆さんに夢中になっていただきたいんです!終わった後、劇団四季や宝塚のショーを1本観終わったような感覚になってもらえたらと思うので演出は割とこだわります。

記者:ニコニコ発足のきっかけはなんだったんですか??ニコニコやドリームステージプロジェクトを始め、マネージャーとしても山中さんを支える神綺さんにお聞きします!!

神綺さん:障がい者施設などで、音楽が好きなんだけど、じっとしていられなかったり奇声をあげてしまい他のお客様に迷惑になるからということでコンサートに行けないという声があり、「行けないなら私たちが行けばいいんじゃない」という想いがありました。
また、高齢者の方は、「いつお迎えが来ても。。」ってよく言われます。私はそれを聴いて悲しかったんですね。ニコニコさんこの日にくるよねって、楽しみに置いていただき、先に希望を持ってほしくて始めました。

記者:山中さん神綺さんのお二人の関係性がとっても素敵だなと思いました!!お二人の温かい想い、息の合うチームプレイがあるからこそ、これだけたくさんの方に感動を届けられるのだと思いました!

ニコニコ↓↓

Q4.その夢やビジョンを持ったきっかけはなんですか?

山中:今から5、6年くらい前、イタリアのボローニャに住んでいるマエストロにピアノレッスンを受けたことがありました。その方に『頭で考えるな!とにかく今まであなたがやってきたテクニックを全て捨てなさい。』と言われ、その時すごく衝撃を受けました。「テクニックでやってきて、テクニックがあるから今の自分があるのにそれを捨てるってどういうことなん?」と思いました。「まぁいいから捨ててみなよ。」って軽くイタリアのノリで言われ、その後に弾いた時、「あ、この感覚だ!」と思いました。そこからピアノが変わったような気がします。それまでは間違わないように楽譜通りに、コンクールで点数をとるためだけの弾き方で西洋の音楽ならではのしきたりみたいなものに、すごく囚われてました。
でもそれって自分を苦しめるんですよね。「自分がやりたかった音楽はクラシックなのかな??ジャズとかも興味がないわけではないしなー。でも今までずっとこれでやってきたしなー。」と迷走していた時、「その音さえあったらなにを弾いてもいいんじゃない?」というマエストロの言葉にも救われました。そこからは自分の好きな曲しか弾かなくなりましたね。
演奏者が頭で考えて頭でコントロールした音楽っていうのは相手の頭にしか響かない。演奏者が例え下手くそだったとしても、間違ったとしても心で演奏した音楽っていうのは必ず相手の心に響くんだよ。」ってマエストロに言われた時、本当そうだなと思いました。

心と音楽は絶対繋がってないといけないと思います。心と繋がってない音楽っていうのは人を感動させることはできないだろうと思います。またその時に、言葉は違えど、音楽を通して通じ合うところがあり、音楽って国境を越えるんだなって初めて思いました。
また、オハイエ熊本という音楽祭に関わらせてもらっているのですが、そこでも知的障がい者の方、重度の方、高齢者の方、いろんなグループの方が参加される中で、音楽の力で一瞬で手を繋いでしまう光景を見て、音楽って性別や言語や、障がいといったあらゆる壁を越えることができることを痛感しました。

記者:あらゆる壁を越えて心で繋がりたい想いを感じました。

Q5.その発見や出会いの背景にはなにがあったのですか?

山中:そもそもピアノを始めたきっかけというのは母の影響でした。母がピアノを弾いていたので家にピアノがあり、自然と音楽がある中で育ってきました。自分がやりたいまま、吹奏楽部に入り、音楽高校、音楽大学に進み、普通にレールに乗っかってきました。その中でテクニック的な部分を求めていた時期もありましたが、でも『なんか違うな。それよりもっとやりたいことがあるんだろうな。』って考えていた時に、でてきたのが、障がい者の人達と携わることでした。なにかしらのハンデを持った人となにかをするというのがいつかしたいなっていう想いがずっと頭の中にありました。

自分は、生まれた時から、聴覚が弱く耳が聞こえにくい中で音楽をやっていました。それまでは、そのことが恥ずかしいというか、劣等感をすごく感じており自分をずっと隠して生きてきました。ハンデを消した時期もありました。けど、それってすごく苦しいんですよね。

だからこそ、今音楽を通して、生き辛い人達を癒すことをしたいと思っています。ハンデを持って生きる人の生きづらさがちょっとわかるような気がするんです。

ニコニコのおじいちゃんおばあちゃんが耳が遠くてでかい声で喋っていたりするのもわかりますし、ドリームステージプロジェクトに来る人で、人と話す時にパニックになってうまく話せないとかコミュニケーションがうまくとれないって悩んでる気持ちもわかります。

コンプレックスやトラウマ、なにかしらそれがあることによって前に進めず生き辛さを感じていたり、本当はしたいけどできないって踏みとどまっていたり、それを理由にやることを諦めていたり。その人が自分にとって不自由だなって感じてる部分を本当はそうじゃないよ。全然ハンデなんて関係ないんだっていうのを伝えたいですし、そこを越えていきたいです!!

記者:山中さんがやられていることの全てがひとつの想いから出発しているんだなと思いました。自分の壁を越え、みんながやりたいことをやれたり、繋がっていくことができたらどんなに素敵な未来が創っていけるんだろうと思いました。本日は大変貴重なお話ありがとうございました。

山中直さんの詳細情報についてはこちら↓↓↓
bloghttps://ameblo.jp/nao-piano-m/
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Facebook: https://www.facebook.com/nao.yamanaka.1

【編集後記】
今回インタビューを担当した木村、古川、不知です。
私自身、もともと音楽に精通しておらず、少し遠く、難しいイメージがあったのですが、今回のインタビューを通し、そのイメージががらりと変わりました。
山中さんの語る音楽は誰も仲間外れにしない全てを包み込むとても優しいイメージがくるんですよね。トラウマだったりコンプレックスだったり、そういう壁をも越えてひとつに繋がれていけたら、今の分断多き孤独な社会は癒されていくなぁと感じました。山中さんの自分と向き合う姿勢や「心とはなにか?」の深い追求があったからこそ、これほど深いメッセージを発信できるのだなと思いました。
また神綺さんとのパートナーシップもとても素敵でした!!!その何事も諦めない姿勢は、今後多くの方々の希望になるなと感じました。
今後の更なるご活躍を楽しみにしております。

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。
https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36