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11月に出会った本たち

久しぶりに読了日記をあげたくなりました。
読書の秋にふさわしく、素晴らしい本にたくさん出会えました。
少し辻村さん多めです。

〇原田マハさん「たゆたえども沈まず」

たゆたえども沈まず | 原田 マハ |本 | 通販 | Amazon

ゴッホを主軸においたマハさんらしいアートフィクション。この話はフィンセントの弟テオにも焦点を当てて描かれています。
兄フィンセントを献身的に金銭の面でも精神の面でも支え続けた弟テオドールの話は知っていて、彼の人柄や生き方にはとても興味がありました。
そんなテオが登場すると聞き読み始めましたが、彼のフィンセントへの献身なのか依存なのか兄弟思いによる苦しみが深く深く描かれていて、史実を知っているからこそ落ち込むところもありました。でも芸術に全身全霊で向き合った人たちの人生を本を通して垣間見ることが出来たのは幸せでした。

〇辻村深月さん「傲慢と善良」

傲慢と善良 (朝日文庫) | 辻村 深月 |本 | 通販 | Amazon

オースティンの「高慢と偏見」をオマージュした作品と聞き購入。
まさかこんな奥の触れられたら痛いところ、目をそらしたいところまで書いてしまうの!?というのが辻村さんです。
婚活をして出会った男女の物語。周りが結婚をしていたり子育てをしていたり、焦りを感じてくる年齢の二人です。いつどのようにそのステージに上がるのか、結婚という選択をするかしないか、そんなの個人の自由である。ということは言われなくてもわかっているのに、親の圧力やこの先ずっと一人でいることの不安が漂っているその空気の描き方も素晴らしいです。

〇トップ販売員の接客術


元ルイ・ヴィトン顧客保有数No.1 トップ販売員の接客術 | 土井 美和 |本 | 通販 | Amazon

元ルイ・ヴィトン顧客保有数No.1の土井さんによるプロの接客術をたくさん教えてくれる一冊。
接客業をしてるものとして読んでみようかなと興味を持ちました。
本で読んでいるだけなのに「この人に接客してほしい!」と思ってしまう接客。心のつかみ方が天才的に上手です。
全部を土井さんのようにこなすのは難しいけれど、この心構えを知って接するだけでかなり変わると感じたので、接客をされる方にはお勧めです。

〇52ヘルツのクジラたち

52ヘルツのクジラたち (単行本) | 町田 そのこ |本 | 通販 | Amazon

2021年本屋大賞受賞作。初めての町田そのこさんです。
これでもかというほど多くのテーマが凝縮して描かれていました。
アンさんという人物を深く知ってから始めの場面を見返すと思わず嗚咽が出てしまいました。初読と再読で主人公も周囲の人物も少し見え方が変わり、読めば読むほど好きになるのであろう一冊。
多くの書店員さんがおすすめされた理由がよくわかります。

〇追憶の烏

追憶の烏 | 阿部 智里 |本 | 通販 | Amazon

阿部智里さんの大大大好きな八咫烏シリーズの1冊。
トークイベントへ参加するために再読したのですが、全シリーズの中で最もしんどい思いをする巻トップは間違いなくこれです。
前作「楽園の烏」に至るまで何が起こったのかを教えてくれる巻であり、これを読む前の自分には戻れない後悔も感じてしまう作品でもあります。
この読者による予想の何手も先を進んでいく八咫烏シリーズが大好きです。

〇島はぼくらと

島はぼくらと (講談社文庫) | 辻村 深月 |本 | 通販 | Amazon

これもまた辻村深月さんの作品です。
こちらは辻村さんといえばといってもいい高校生4人が主人公です。冴島と呼ばれる離島で暮らす4人と、その周囲の大人たち、そして島に移ってきたIターンの方々の話になります。
主人公は高校生だけど、この話は大人が本当に多く関わります。蕗子さんやみんなのお母さんたちなど、素敵な大人はもちろん、良い大人・悪い大人と区別することが出来ず、どちらの側面も持ち合わせている大人も出てきます。その対比が辻村さんは本当に上手です。
年齢と共に変化は起こり、ずっと同じ状態で居続けることは難しい。その事実を知っている中で彼ら4人の島の過ごし方を見つめると、寂しさをほんのり感じます。

〇青空と逃げる

青空と逃げる (中公文庫 つ 33-1) | 辻村 深月 |本 | 通販 | Amazon

こちらもまたまた辻村深月さんの作品です。
でもこちらは初読。「傲慢と善良」で出会った早苗と力が主人公の話になります。母と息子が悪意から逃れるために東京を飛び出し、全国を巡るのですが、悪意があまりにも本人たちに関係のないところで生み出され、しかも粘着質なものであるため、いつこの旅が終わるのかわからないという恐怖が常にあります。
そんな中でも行く先々で心が温かい人たちが出てきて彼女たちを支えてくれます。はじめましての人にどうしてこんなにも優しく全力で接してくれるのだろうと、早苗の気持ちを考えると強張っていた気持ちが解けていくようでした。それほどまでに安らぎを与えてくれる場面がいくつもあります。
読了後に表紙を見ると、題名センスが素晴らしすぎてずっと眺めていられます。

久しぶりに集中して本を読む時間がしっかりと確保できた一か月でした。
十二月もそんな月にしたい!!!
クリスマスにもご褒美と称してきっと本を買うと思いますので、その時は紹介させてください。
ここまで読んでくださり誠にありがとうございました。

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