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約束の地で会いましょう

やくそく‐の‐ち【約束の地】旧約聖書で、神がイスラエルに与えると約束した土地。カナンのこと。

 最初に断っておくが、私はクリスチャンでもユダヤ教徒でもムスリムでもない。むしろ「一神教信者ウゼェ」と真顔で言いたくなるほど幼少期に善し悪しを見てきた。ぶっちゃけると僅か8歳で宗教哲学的なモノを突きつけられた。

 長年のトラウマだったが、40代になった頃から「ひたすら読みにくい文体の聖書をラノベっぽく読みたい」というオタクらしい自給自足思考で、『笑訳聖書』シリーズをマイペースに書き始めて現在に至る。
(書き始めた矢先に聖書BL小説を同人誌即売会他で腐教している現役カトリック腐女子と出会って意気投合した件は割愛。話が長くなる)

 その上で、自分にとって大切な願い・夢……そういった何かを叶えるためのフラグが立つ場所を、いつの頃からか自分の中で【約束の地】と呼んでいた。

原因:ギャルゲーの主題歌。タイトルが【約束の地】……良い曲やで。
Promised land(Hassy)

https://youtu.be/zXAL2c2Rbp0



 先日Twitterで、ふと思い浮かんだことを取り留めなく連ツイした。
 なんとなくタイトルを『約束の地で会いましょう』として締めくくった。
 『Promised land』を聴きながら歌詞と連ツイを読み返して、すとんと「あーやっぱりなぁ」というのが素直な感想だったりする。

原因:世情が荒れすぎて、裕さんアナタ疲れてるのよ。

 私にとっての【約束の地】は、例えるなら小さな喫茶店。嵐や猛暑や大雪を乗り越えて、次に進むために、休憩や待ち合わせをする場所。
 風景のイメージを具体的に挙げると、巾着田のレストランむささび亭。古いバスを改造した小さくて可愛いお店。
 そこでゆっくり休んだら、一面の曼珠沙華を見に行こう。耳には川のせせらぎが心地良い、秋の一時期にしか現われない、あの世とこの世の境界が曖昧になる場所で、魂のお洗濯。

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「来世で産んで欲しい」的なことを私に言う子がいる。
「彼の子を産みたい」と生まれて初めて思った男がいる。
 ……後者は今生のタイミング次第で叶っていたかもしれないけれど、時代か何かが「幸福になれない」とストップをかけたのだろう。その手の風向きを読む力(というか野生の勘)ならある。

 たった50年前、「21世紀は文明が発達した平和な世界になる」と想像していた人も多い。マクロスの世界線なら人類は既に宇宙へと進出している。けれど現実の21世紀初期は随分とアナログだ。
 ……無理もない。人間そのものがアナログだから。程度の差はあれ神を必要とし、相互理解の努力を必要とする。なにより心や思考がある。
 それら全てを演算処理できるスーパーコンピューターが誕生したところで、人間は簡単に変わらない。アンドロイドを作りたいなら話は別だけど。
(新世紀エヴァンゲリオンのゼーレは人類補完計画に逃避した。阿呆、ニルヴァーナなら他者を巻き込まず身内でやれ)

 ところでアブラハムの宗教の神は古代メソポタミア出身だという。多神教文明から出た唯一神とは、また随分と大胆かつ傲慢な鞍替えだ。
 ……現代の混沌の原因はこれだと私は踏んでいる。
 神が人を作るのではない、人の心が神を作る。出エジプト記32章、モーセがシナイ山から戻って来ないため不安に駆られた民衆は、若い雄牛の像を造って祀った。※モーセの石板破壊バーサク事件に続く。

 何から神が生まれるか明らかにした上で、あの唯一神は自分以外の神を否定する。……説得力ないと思う。

 “唯一無二の存在になり他者を支配する”……これが世界の方向性だったのだと思う。でも限界が来た。もうその方針では世界が成り立たないと、少しずつ少しずつ流れが変わっていき、古い防波堤が決壊寸前なのが今の世界の状況だと私は見る。

 風見鶏はぐるぐる回る。風向きを示すのが困難なほど荒れた風。

 ……私のようなタイプの女は、こういった時代で夫なら持ってもいいかもしれないけれど、子は産まないほうがいい。母になると女は変わる。それは今生の私にとって都合の悪いことなのだろう。

 幸い、来世の予感ならある。今生で得た縁を辿り、そこでまた新しい縁を手に入れる。

 徒然なるままに書いたけど……『約束の地で会いましょう』とでもタイトルつけておくか。
 あと、この新型コロナ禍を生き延びたら、少しは今生で女としての幸せを得てもいいんじゃないかい? モイラかアフロディーテ、はたまたヘラか、そんな感じの女神的な何かに邪魔されてる気がする私の男運ってばよ……。


※Twitterからの転載に当たり、一部加筆修正。
(5年前の今日に、深い感謝を捧ぐ)

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