TREASURE判別チャレンジ2(BOY編)
※これはオタクがTREASUREメンバーの顔と名前を当てるだけのnoteです。彼らをおもちゃにしたり、けなしたりする意図は一切なく、真剣に取り組んでいますが、まったく人の顔がわからないオタクがぎゃいぎゃい騒いでいるので不快に思われたらすぐページを閉じてください。
世界は、すべての人間に平等ではない。
この世には持つ者と持たざる者が存在する。ある者は富み、ある者は貧す。ある者は世界を知り、ある者は蒙に溺れる。すべてを見通す目を持つ者がいれば、物の道理もわからぬ者もいる。
かの福沢諭吉は、持つ者と持たざる者の唯一の違いは学問であると説いた。それは現実的には理想論だが、しかしどこまでも正しい。知こそはすべてを啓く。この世のあらゆる格差は、まず学ぶことによって正される。
「人の顔を見分ける目」を持たず生まれてきた私も、たゆまぬ努力の結果ついに新垣結衣と吉岡里帆を見分けることができるようになった。ちなみに米倉涼子と小池栄子の違いはいまだにわからない。しかし、そう、学ぶ努力を怠らなければ、私も必ず人の顔がわかるようになるはずなのだ。普通の人間が見ている世界を、見ることができるはずだ(相貌失認でないかぎりは)。
錬金術師たちは言った。「読め、読め、もっと読め、祈れ、働け。さらば見出せん」と。同じことだ。(MVを)見ろ、(ポートレートを)見ろ、(パフォーマンスを)もっと見ろ、祈れ、働け。
さらば見出せん、ジュンギュの顔も。
そういうわけで、TREASURE判別チャレンジ第二弾だ。
第一弾↓
前回の挑戦はここに記録している。簡潔に前回のあらましを説明すると、イェダム以外は全員ハルトに見えており、完全にマスターしたはずのジュンギュでさえ間違えるという蒙昧ぶり。
しかし今回こそは必ずジュンギュに勝利してみせる。前回ジュンギュになけなしのプライドをずたずたに引き裂かれてから、私は努力した。ジュンギュの写真を何度も眺め、完璧にその顔を頭の中に叩き込んだのだ。
結果として、私はこの世に3人のジュンギュがいるという結論にたどり着いた。
一人目のジュンギュは、TRACEのジュンギュだ。これは私が初めて出会ったジュンギュで、愚かな私はハイイロガンの雛が初めて見たものを自分の親だと思い込むように、TRACEのジュンギュこそ唯一の正統なジュンギュだと思い込んでしまった。これこそが前回の敗因なのだ。
そう、TRACEのジュンギュはTRACEの中にしか存在しないのである。
ここで二人目のジュンギュを紹介しよう。それは、「TRACE以外のジュンギュ」だ。正確には、「ジュンギュという概念の統合体」と言うべきか。この統合体にはさまざまなジュンギュが包含されており、その見た目は一様ではない。しかしバロック(ゆがんだ真珠)をワイヤーでつなげば歪ながらも「パールのネックレス」になるように、様々なジュンギュを「ジュンギュ」として貫く一本のワイヤーが存在する。それこそが「ジュンギュという概念」であり、そのワイヤーに貫かれたネックレスが「TRACE以外のジュンギュ」なのだ。
しかし残念ながら、このワイヤーから零れ落ちたバロックがある。
それが三人目のジュンギュ、「誰でもないジュンギュ」だ。これはもう本当に誰だかわからない。びっくりするくらい見たことがない。どう見てもジュンギュではないのだが不思議とジュンギュということになっている。
さて、これを図解すると、以下のベン図になる。
見ての通り、「TRACEのジュンギュ」と「TRACE以外のジュンギュ」には重なり合う部分がある。これはTRACE以外であっても、パフォーマンスをしており、なおかつ笑顔であれば比較的「TRACEのジュンギュ」に見えるジュンギュがいることを指し示している。一方で、「誰でもないジュンギュ」は他の二人のジュンギュとは交わらない。彼は正真正銘、見たことがない顔をしている。
そしてこの三人を包括する概念こそが、「JUNKYU of TREASURE」なのだ。
ここまでジュンギュを分析した私に敗北はありえない。今回は言わずと知れた名曲『BOY』のMVを使って、TREASURE判別チャレンジをしていきたいと思う。
『JIKJIN』も名曲だが、このMVは髪色でヒョンソクとヨシがわかってしまう。そしてヒョンソクとヨシがわかるということはハルトもわかるということだ。「ヒョンソクとヨシ以外のラップをしているTREASUREメンバー」のことをハルトと呼ぶからだ。これを図解するとこうなる。
特に図解する意味はなかった。
ともかく、12人中3人もわかってしまうようではフェアとは言えない。私は正々堂々、真正面からTREASUREと戦いたいのだ。髪色や消去法などで勝ちたくはない。顔を見分けられなければ意味がないのだから。
『I LOVE YOU』でもよかったのだが、最近入ったお店でBOYが流れていたのでBOYを選択した。『DARARI』のダンプラは「指揮をしているのがジュンギュ」という知識がすでにあるため問題としてはふさわしくない。宿敵・ジュンギュが見る前にわかっているなどいくらなんでも戦い甲斐がないだろう。
ちなみに資料についてだが、公式の画像のみ参照してよいこととする。前回の挑戦で、資料なしで挑むのは逆に失礼に当たると痛感したからだ。
前置きが長くなってしまった。それでは早速取りかかろう。
イェダム!!
いけない、興奮して叫んでしまった。しかしこれはどう見てもイェダムだ。字幕もYeahと言っている。イェダムのイェだろう。字幕で教えてくれるなんて親切だな。邪魔だ、消しておこう。
これは……私の灰色の脳細胞がなにかを叫んでいる。耳を澄ませば、脳細胞は「バブ……バブ……」と繰り返しているようだった。ということは、これはドヨンだ。前回バブの顔をしているから軽率にマンネだと解答した馬鹿な私はもういない。
あれ? これもドヨンじゃない?
さっきのドヨンからまだ二秒しか経っていないのに服を着替えたのだろうか。はやいね。
これは正直誰だかまったくわからない。強いて言うならアサヒに見える。ひとまずアサヒということにしておこう。
おそらく……これはジフンだ。
彼はわかる。ハルトに違いない。声がハルトだからだ。
結局顔で見分けてないじゃんって? うるさいな。人生にはそういう戦い方も必要なんだよ。私はBTSのキムテヒョンのこともはじめは5割くらい声で判別していたが、それを一週間も続けていれば完全に顔も覚えた。大切なのは続けることだ。
見たことがない顔だ。しかし非常にきれいな顔をしている。ということはマシホだろう。TREASUREのメンバーは全員きれいな顔をしているが、先日のTRACE配信を見て私が直感的に「きれいな顔だな」と思ったのはマシホだったからだ。たとえ見覚えがなくても、私は私の直感を信じる。
この人……声はヒョンソクなのに顔がヒョンソクじゃないんだけど……。
しかしラップをしており、ハルトではないから、ヨシかヒョンソクであることは間違いないだろう。正直顔はヨシに見える。しかし声はヒョンソクだ。あとは私が自分の目を信じるか耳を信じるかだが、今のところ目を信頼する理由が1mmもないので当然耳を信じる。つまり、これはどちらかと言うとヒョンソクだ。
じゃあこれがヨシかな。私がスタイリストならヨシにこういう服を着せるしな。
左が……ジョンウかジェヒョクなんだけど……どちらかと言うとマンネラインっぽく見えるから……ジョンウかな。右は誰だろう。かわいいな。かわいいということしかわからんな。
これはっっっっ
ジュンギュだ!!!!
私の目はごまかせない。たとえ一瞬しか映っていなくてもわかる。彼はジュンギュだ。笑顔が私に「ジュンギュだよ」と雄弁に語りかけている。やはり私は完全にジュンギュの顔を覚えたのだ。この勝負、私の勝ちだ。
もう怖いものなどなにもない。意気揚々と続きに取り組もう。
これ誰?
怖いものなどないと言った直後にわからない顔にぶち当たってしまった。いやしかし、これはスクショの位置が悪い気がする。もう少し進めてみよう。
わからんな。アサヒかな。わからない顔を全員アサヒって言うのやめたほうがいいかな。でも無回答はよくないし。とりあえず彼はアサヒだ。
えっ ここめっっっっちゃ好きなんですけど!?
ヅカオタでこのカットが嫌いな人間はいないと思う。好きすぎてここだけ10回くらい巻き戻して見た。めちゃくちゃいいです。これが宝塚のショーなら、たとえ同時上演のお芝居がどんなやばい駄作でもここを見るためだけに通える。ありがとね演出家(演出家ではない)。
それはそれとして、これが誰なのかが問題だ。顔はどう見てもイェダムなのだが、歌っているのはさっきのアサヒ(仮)だ。しかし私がイェダムを見間違えるはずがないし、やはりイェダムなのだろう。
さて、サビに入ったわけだが、当然ながらサビはダンスがメインだ。踊っている人間を見分けることなどできるはずがない。それはまだ人類には不可能な領域なのだ。ここはあきらめて、アップで映った人間だけをピックアップしていこう。
これは……ソジョンファンかな? そんな気がする。
これはジュンギュ!!!!
これがジュンギュでないはずがない。どう見てもジュンギュだ。もしジュンギュでなかったら私はもうなにを信じていいかわからない。踊っている人間を見分けることはできないと言ったな? あれは嘘だ。ジュンギュは踊っていてもわかる。
ちなみに左から2番目の黒いお衣装の青年はINIの西洸人に見えるんだけど違うんだろうな。
これは誰だろう。おそらくさっきジョンウ(仮)と肩を組んでいた青年と同一人物なのだが、まったく検討がつかない。しかし驚くほど笑顔が可憐だ。ぱっと花のように色づき、しゅわっとサイダーのように弾ける。細められた目尻はピアノの音色のように優しく、照り映える頬はキャンディボンボンのように甘い。
見覚えがないのも仕方ない。きっと彼は天使なのだ。気まぐれでちょっと人間界で遊んでるんだろう。
あ~ここもめっちゃ好きです。ありがとね。
それはそれとしてこれも……イェダムに見えるんだけど……しかし本物のイェダムには少し遠い。「次点でイェダム」の顔をしている。つまりソジョンファンだ。詳細は前回のnoteを参照してほしい。
とか言っていたら本物のイェダムが出てきた! やはりイェダムはこうでなくてはいけない。良し悪し、上だ下だの問題ではない。ただ彼は生まれてこのかた20年間を「バン・イェダム」として過ごしてきた、そういう「イェダムとしての貫禄」を持っているのだ。これは他の人間には醸し出せない。
これはハルトですね。声が。
うんっ……おそらくはジョンウかジェヒョク……正直ジョンウに見える……しかし先ほども私はこのパターンで「ジョンウ」と回答した。二回も同じ手が通用するとは思えない。ここはジェヒョクだ。
声がヒョンソク!!
前半のピンクのジャケットの青年は「声がヒョンソクなのに顔がヒョンソクではない」だったが、これはおそらく顔もヒョンソクだ。たとえ顔がヒョンソクではなくても、それを補ってあまりある圧倒的ヒョンソクボイス。これがヒョンソクの声でなかったらもう私は引退してもいい。ちなみに特に引退するものはない。
しかしこのヒョンソク、よく見ると緑の髪をしていないか? ということは、前半に出てきた緑髪の青年もヒョンソクということになる。あれはジフンではなかったのだ。さっそく自分の間違いに気づいてしまった。すると一体ジフンはどんな顔をしていただろうか。さっぱり忘れてしまった。
あ~これは天使。
前列左から二番目がジュンギュ!!!!
間違いない。踊っていてもわかる。そしてその反対側、右から二番目がドヨンだ。これも間違いない。
問題はセンターだ。センターが誰なのかまったくわからない。ラップをしていないのでラップラインではないし、ジュンギュとドヨンは両隣にいる。イェダムの顔でもない。だからジフンかマシホかジェヒョクかアサヒかジョンウかソジョンファンということになる。12分の6だ。つまり半分まで絞れたわけだが、それはまったく絞れていないのと同義だ。もうここまでわからないなら素直に「誰?」と回答するのがいいだろう。
こんなん絶対イェダムやろ。私がイェダムを見間違えるはずありませんからね。
これはおそらくドヨンだろう。顔もさることながら、シチュエーションが限りなくドヨンだからだ。私がプロデューサーでもドヨンを風船の中で遊ばせる。これはもはや、「彼はドヨンに違いない」という確信よりも「ドヨンだったらいいな」という願いに近い。
これはジュンギュに決まっている。
どう見ても「TRACE以外のジュンギュ」の代表的な顔だ。そう、私は学んだのだ。以前までの私なら「ジュンギュではない」と回答していただろう。しかし「TRACEのジュンギュ」だけが唯一にして正統なジュンギュではないことを私はもう知っている。笑顔でないからといって惑わされはしない。私の目はごまかせないのだ。
ところでなんでハルトはずっとプールにいるんですか?
あ~ う~ん…… ジョンウ……かな……?
というか、ここまで回答して気づいたけれどジフンがいない。前半でジフンだと思った緑髪の彼はヒョンソクだった。私が見落としているのだろうか。当然のことだが、映像をスクショしているから拾い切れていない人物がいても不思議ではない。もうこれに関してはあきらめるしかないだろう。きっとジフンもどこかには登場しているのだが、私がスクショを逃しているのだ。
左端がドヨンだ。そして右端は、やや自信がないがヨシだろうか。顔はほとんど見えないものの、彼から「ヨシ」的なオーラを感じる。感性に直接訴えかけてくるのだ、「僕はヨシです」と。彼がヨシだと言っているのだからヨシなのだろう。
センターは、ジフンかマシホかジェヒョクかアサヒかジョンウかソジョンファンだ。つまり「誰?」だ。
これもヨシだ。「ヨシ」的なオーラは感じないが、顔がヨシなのだからヨシと言っていいだろう。
なんでハルトは高飛び込みをしてるんですか……?
緑の髪をしている。彼はヒョンソクだ。
ここまで来たらもうゴールでいいだろう。終わりまで見てみたが、あとはほとんど同じ衣装で踊っている。つまり私には見分けられない。これで私のTREASUREチャレンジBOY編は完だ。
残念ながらジフンはいなかったが、まあそういうこともある。初めてバンタンの血汗涙のMVを見たとき、他の6人はみんなわかったのにジンくんだけどこにもいなかった。ジンくんの顔を一番最初に覚えたという高慢が私の目を曇らせていたのだ。それと同じだ。そのうちジフンもひょっこり顔を出すだろう。
そういうわけで、ひとまずこれで友人に提出した。
そして提出してから重大な欠陥に気づく。10番と11番の解答用紙に注目してほしい。
このジュンギュとアサヒ、同じ衣装を着ている。
つまり……どちらかが間違っている……? そんなまさか。どう見ても10番はジュンギュだし、何度見ても11番はジュンギュではない。スタイリストが何らかの明確な意図をもって二人におそろいの衣装を着せたのだろう。
そんなことあるか?
どのみちもう解答は提出している。私は俎上の鯉なのだ。捌かれるのを待つだけの無力なオタクだ。黙って採点結果を待つしかない。
親切な友人によって結果が返却されたのは、翌日のことだった。以下、駆け足で確認していく。
意外と合ってるじゃん! ソジョンファンを間違えたようだが、彼の顔はゆっくり覚えていくしかない。
「かおもハルトです」
そうだね。ごめんね。
アア"!! 目を……自分の目を信じてあげたらよかったッ……!!
やはりピンクのジャケットはヨシだったのだ。よく考えたら私がエグゼクティブ・プロデューサーでもヨシにはピンクのジャケットを着せる。そしてド派手な髪と衣装に包まれながらアンニュイな表情を浮かべているのがアサヒ。覚えた。もう間違えない。
というか「かわいい」に丸がついていて結局誰かわからないんですけど……。誰なんだろう。
ジュンギュ!! やっぱり彼はジュンギュだった!!
私の勝利だ。今度こそ私は宿敵・ジュンギュをマスターしたのだ。ネルソン提督がナポレオンをトラファルガーで打ち負かしたように、ホームズがモリアーティ教授をライヘンバッハで仕留めたように。私は打ち勝った。
来た、見た、勝った。あとは旗を掲げ堂々と凱旋するだけだ。
はい?
これが……ジュンギュ……?
たしかにひとつ前のスクショと同じ衣装を着てはいる。しかしこれはジュンギュではない。私は三度は巻き戻して確認した。これがジュンギュであるはずが……
ジュンギュ……なのか……?
うだうだ言っても仕方ない。要するにこれは三人目のジュンギュ、「誰でもないジュンギュ」だったのだ。誰でもないのだから、私が間違えるのも無理はない。
うん????
待ってほしい。私はこのカットが好きすぎて10回は巻き戻して見た。何度見てもジュンギュではなかった。彼はどう見てもイェダムだ。たしかに歌っているのはアサヒ(仮)もといジュンギュだが、この映像がジュンギュであるはずがない。どうしてこれがジュンギュだなどと言えるのだろう。それはカニを見てウニと言うようなものだ。
……いいや、私も本当はわかっている。認めるしかない。そうだ、間違っていたのは私なのだ。私こそがカニを見てウニだタコだなどとほざいていたのだ。私が愚かだった。
つまりこういうことだ。わけがわからない。
これはソジョンファンではなくユンジェヒョクらしいが、正直に言ってさっきのジュンギュ(イェダム)(Asahi)が衝撃すぎて何も頭に入ってこない。ジュンギュの傷は、ジュンギュでしか癒せないのだ。
やっぱ私ジュンギュ完璧じゃん!!
やりました。勝利です。傷は癒えました。真実はいつもひとつなんですよね。そういうことです。センキュー。
それはそれとしてまたもや「天使」に丸がついてて名前が不明なんですけど……。
あーあ。もうおしまいだよ。
どういうこと? ジュンギュは3人じゃなかったの? 私の知らないジュンギュが2人もいるんですけど。ジュンギュは5人なの?
・TRACEのジュンギュ
・TRACE以外のジュンギュ
・どう見てもイェダムのジュンギュ←New!
・次点でイェダムのジュンギュ←New!
・誰でもないジュンギュ
こういうこと? 5人って四捨五入したら10人じゃん。10人もいたらそれはもう100人いるのと一緒ですよ。
正直もう投げ出したい。割と本気で泣いてる。しかしここまで来て後には引けない。私はすでにルビコン川を渡ってしまったのだ。
モリアーティは言った。「私を倒しても悪は消えない。モリアーティは何度でも蘇る」 そしてホームズは答えた。「すべてのモリアーティの前にホームズが立ちはだかるだろう」と(註1)。それと同じだ。真実はいつもひとつだが、ジュンギュは無数にいる。そのすべてのジュンギュの前に、私が立ちはだかってやる。
考えてみれば、ネルソン提督もホームズも宿敵を倒すためにその命を犠牲にしている(少なくとも『最後の事件』の段階では)。私には覚悟が足りなかったのだ。たとえ自分を犠牲にしても必ずジュンギュを見つけてみせるという覚悟が。この覚悟は、言いかえれば祈りにも近い。信心とは究極的には覚悟のことを指すのだ。クロムウェルの鉄騎隊がその信心深さゆえに命を投げ出し王党派を打ち破ったように。
見ろ、見ろ、もっと見ろ、祈れ、働け。そう、私は祈らねばならない。祈りこそはすべてを啓く。
悟りの域に達した私は、もはやこれしきの事では動じない。正解もあれば間違いもある。それが人間なのだ。
ちなみになぜか顔がほとんど見えなかったヨシが当たっている。やはり人間の目など信じられないのだ。古代ギリシアにおいてテイレシアスは盲目になった代わりに予言の力を手に入れた。目などに頼り切っているからこの世界は腐敗する。たぶんソフォクレスがオイディプス王で描きたかったのはそういうことに違いない、知らんが。
いや、それもどうでもいい。そんなことより、問題は「かわいい」「天使」に丸がついていてピンクモリの青年が結局誰なのかわからなかったことだ。二つの「誰?」にはちゃんと「ユンジェヒョク」「ジョンウ」と模範解答が記されているのに、「天使」にはそれがない。これでは顔も覚えようがないではないか。一体なぜ?
あと残っている解答用紙は一枚しかない。それはヒョンソクのスクショで、例のピンクモリの青年とは何の関係もない画像だ。「天使は誰なのか」というこの謎を解き明かしてくれそうにもないが、ひとまず確認するだけしてみよう。
「どこにいたんやろねぇ」
……まさか?
まさか。
やっと気づいた。
あなたが、ジフンだったんですね……。
二度も三度も「かわいい」「天使」とはやし立てておきながら気づきもしなかった。正直ジェヒョクかソジョンファンだと思っていた。TRACE配信のときはジフンを頭についたホコリ(ホコリではない)で見分けていたからまったく顔を覚えていなかったのだ。
これが、この天使が、翼を隠した愛らしい神さまのお遣いが、ジフンだったわけだ。
もうだめだ。やはり私は何も見えていないのだ。所詮私は長谷川克己と竹野内豊と高良健吾の見分けがつかなかった女だ。シン・ゴジラを劇場で見たときキャストの半数が同じ顔に見えて人間パートを8割しか理解できなかった女なのだ。でもゴジラと人間の区別くらい私にも……つくし……。
そうだ、あきらめてはいけない。たゆまぬ努力の結果、私は石原さとみと長澤まさみの見分けがつくようになった。錬金術師たちが神の心理に近づくべく研究を続けたように、ホームズがすべてのモリアーティの前に立ちはだかるように、私も真実を追い求めるのだ。
打ち勝ってみせる。イェダムに、ジフンに、そして宿敵・ジュンギュに。
必ず、真実に辿り着く──(註2)
第三弾↓
註1 宝塚宙組公演『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』~サー・アーサー・コナン・ドイルの著したキャラクターに拠る~ より ちなみに台詞はうろ覚え
註2 宝塚宙組公演『シャーロック・ホームズ-The Game Is Afoot!-』~サー・アーサー・コナン・ドイルの著したキャラクターに拠る~ ポスターキャッチコピーより 原文は「必ず、真実に辿り着く──」
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