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平成最後の狸合戦ぽんぽこ

4月5日の金曜ロードショーで、スタジオジブリの「平成狸合戦ぽんぽこ」が放送されていました。

わたしにとって、この映画は思い入れのある映画です。
家にビデオテープがあって、数十回数百回は繰り返し観ていたと思います。

あまり詳しくは覚えていませんが、確か、この映画のビデオテープがなぜか欲しくなり、買ってもらったような記憶があります。


当時はまだ、幼稚園くらいの幼いとき。
この作品の言葉遣いやセリフは、ほとんど意味も分からず、ただたぬきたちの可愛さが好きで観ていました。

ただ、幼いながらも「たま」というところがあるんだ、ということだけは覚えていました。

北の大地に住んでいた少年にとっては、遠い遠い、違う世界の「たま」のたぬきのお話。
この映画に対して、そんな感覚を抱いていたような気がします。


そんな自分は今、その「違う世界」に住んでいるわけですが。。

当時の少年は、このことを聞いたらさぞひっくり返ることでしょう(笑)

これはいったい何の縁なのか、はたまた因果だろうか。
この映画に対して、そんな感覚を抱きながら、昨日も観ていました。

子どもはワクワク、大人はシリアス


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劇中で、たぬきたちは自分たちの住処である山を守るため、ありとあらゆる化学(ばけがく)を駆使して、ニュータウン開発を進める人間たちを山から追い出そうとします。
たぬきたちの、化学を駆使した様々な仕掛けに、人間たちは「たたり」だと怖れはじめます。しかし、ニュータウン開発は止まることなく進み続けます。
万策尽きたたぬきたちは、四国の長老たぬきたちの力を借りて、妖怪大作戦と銘打った壮大な計画を実行に移します。
たぬきたちの命がけの究極の化学によって、次々巻き起こる不可思議な超常現象。
それを見た人間の子どもたちは面白がり、大人たちは不気味がっていました。

しかし、それでも止めることができなかったニュータウン開発。

たぬきたちは最後に、「気晴らし」として、化学によって、自分たちのために、思い出の風景を再現するのです。

懐かしい光景に、思わず飛び込んでしまうたぬきたち。
でもそこにあったのは、開発が進み、人間たちが住みはじめたマンション。
そこに住んでいた親子が、たぬきを見つけてこう言うのです。

「まだいたんだね、たぬきがこんなところにも」

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小さい頃は、タヌキの可愛さだけが楽しくて観ていられたこの映画。
歳を重ねて観るたびに、その可愛さの中に潜んでいた、シリアスなメッセージに少しずつ気づき始めるのです。

極めつけは、最後のセリフ。

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「あの〜、テレビやなんかで言うでしょ、開発が進んでキツネやタヌキが姿を消したって。」
「あれやめてもらえません?」
「確かにキツネやタヌキの中には、化けて姿を消せるのもいるけど・・・」
「でも、ウサギやイタチはどうなんですか?」

「自分で姿を消せます?」
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大きな時の流れに、たぬきたちは向き合った。

多摩ニュータウン開発という、たぬきたち自身の生活を脅かす大きな危機。その危機を脱するべく、化学を駆使して、人間との合戦に奮闘するたぬきたちの姿が描かれています。

これは、人間社会でも同じなんだろうなあ、というのを実感しています。

自分たちの力ではどうしようもできない、大きな時の流れがある。
例えば、テクノロジーの急進的な発展がイメージしやすいかもしれません。
この大きな時の流れに対して、どう生きるのか。

この作品では、そういったことも描かれているのではないかと、
改めて見返すことで発見できました。

あるたぬきは、時の流れに適応して、生きていくことを決めた。
あるたぬきは、最後の最後まで、時の流れに抗うことを決めた。
あるたぬきは、合わせることも、抗うこともせず、自分らしく楽しく生きていくことを決めた。



平成から令和へ、大きく時代が動こうとしている。
人間が生きる社会でも、大きな変化が起き始めている。

そんな中で、どう生きていくことが、自分にとって幸せなのか。

そんなことを問いかけられているような気もしました。


平成最後に見れてよかったなあ。。。




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