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ニンジャスレイヤー二次創作:【ネオサイタマ市街:シルバーキー】新たなヴィジョン

この記事は本家スレイトよろしく、更新分のみを表示するためのものです。
過去分は上記の本体記事にまとめてありますので、そちらをご覧ください。


** スレイトに新たなヴィジョンが映し出された **


【ネオサイタマ市街:シルバーキー】

「でさァ、あそこの店が意外と……」「ああ、ワカル。穴場ってあるよね……」先行く女子二人の談笑が聴こえる。赤と青。パンクスとサイバーゴス。対照的な色彩を持つ二人は妙に馬が合うらしく、先程から自分たちをよそに二人だけの会話を続けている。

 ちらりと、シルバーキーは横に並んで歩く男を伺った。黒という色が人格を持ったような出で立ち。年若いが、他者を寄せ付けぬアトモスフィアを漂わせた青年……シャドウウィーヴ。「……言いたいことがあるなら、言えばいい」「アッ……エート、その……なんだ。奇遇、だよな」……返事は帰ってこない。

 ……シルバーキーとイグナイト、シャドウウィーヴとユンコ・スズキ。全くの偶然によって街中で巡り合った彼らは、女子二人の意気投合(以前より交流はあったようだ)により、自然とこのような性別による前列後列へと分かれることとなった。それ自体はいいのだが……前を行く二人とのコミュニケーション熱量差が極めて激しいことに、シルバーキーは頭を悩ませていた。知らない顔ではないが、本当に顔ぐらいは知っている……という程度の相手であり、それが完全な初対面よりもなお高い壁を感じさせる。

(気まずすぎるだろ……どういう話題を振ればいいのか全然わからねぇ……昨日のTVの話とか、無理だよな……)「……多分」突然の声。「エッ!?」「俺も似たようなものだ」咄嗟の返事に詰まるシルバーキーにもかまわず、シャドウウィーヴは言葉を続けた。「お前のような男と語れるだけの話題というものを、俺は持ち合わせていそうにない」「アー……悪い、気遣わせちまって……」「……気にするな。無理に言葉を交わす必要もない」その声は暗く、やや尊大な口調ではあるが、どこか人の良さを感じさせるものでもあった。そのことが、シルバーキーに幾分かの安心感を与える。最も、会話に窮していることに変わりはなかったが。

「……そうだ。イグナイト=サンとは知り合い、なんだよな」そこで、ふと思い出したわずかな接点に可能性を託す。どのみち、このまま気まずい沈黙が続くよりはよい。「……ザイバツ時代の同期のようなものだ。大した交流もなかったが」「アー、ウン……」ワカル、という言葉はなんとか飲み込んだ。対照的という言葉でも、なお遠いだろう。「だが、その程度の付き合いでもよくわかるほどに、あいつは単純だった。悩むことをせず、感情のままに突き動いていた。それは……あの頃の俺よりは余程マシな生き方だったんだろう」シルバーキーは、どこか穏やかさを感じるその語り口を、静かに聞いている。

「……こんな話でも、いいのか。続けても」「あ、ああ。頼む。興味あるぜ。そういう話は、聞くこともねぇからさ」「……醜い現実に耐えられず、ブルシットな影の牢獄へと囚われた俺とは違って、あいつは今でも全く変わっていないように見える……ひとつを除けば」「ひとつ、ッてのは」「……お前のような普通の男と、まともに付き合えるような奴だとは思わなかった」「はは……まともかどうかはわからねぇけど、そのへんは……色々あってさ」「それともお前の方が……いや……わざわざ詮索する気はないが……」「助かるよ」

 やはり、彼が多少なりとも話せる相手であったことに安堵する。(ユンコ=サンの連れなんだから、そりゃそうか……)とは言え、無難な世間話などはあまりできそうにもないが。彼女の人となりを肯定的な形で語ってくれたことには、なんとも言えぬ嬉しさもあった。女子二人はさらに先行し、会話を弾ませている様子だ。

「楽しそうだよな、二人とも」知らぬ者からは、無軌道大学生の友人同士か何かにしか見えぬだろう。パンクスとサイバーゴス。スタイルこそ違えど、ともに反抗の意味合いを持つファッションに身を染める二人は、並び立つことでその存在感を乗算しているようなアトモスフィアさえ感じられた。

「今日は、出遭えてよかったよ。ああいうイグナイト=サンは、滅多に見られねぇから」「……同感だ」思えば、同年代の気の置けない友人というものが、イグナイトには極めて少ない。(ヤモト=サンは……ああやって色々言い合うような感じじゃないもんな)ユンコにとっても、それは同じようなもののようだ。依然会話はおぼつかないが、この青年に対してシンパシーめいたものを感じているのは、自分の欲目というものだろうか?お互い頑張ろうぜ……などとは、さすがに言えなかったが。

 と、先行く二人がこちらを向き、手を振ってくる。「ねぇ、みんなでゴハン行くことになったから!イグナイト=サンがいいお店知ってるってー!」「お前らなんでそんなトコにいンだよォ!置いてくぞ!!」既に決定事項となっているその提案に、シャドウウィーヴと目を見合わせ、苦笑した。「またいきなりだよなァ……ま、いつものことか」「……同感だ」

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