ワイ「ち、チノちゃん! 因数分解激しくしないで!」チノ「うるさいですね……」ワイワイワイ

ワイ「あ、あぁ~ッ!」 ガチャガチャガチャー!

チノ「はい、今日の因数分解は終わり。お疲れさまでした」

ワイ「うぅ……あ、ありがとうございました……」

数週間前、念願のラビットハウスに就職したのだが、『無理数ばかりの街で有理数を野放しにすると皆分母を有理化されるのでは』
という懸念の声があり、結果、チノちゃんが定期的にワイの問題集を因数分解してくれるようになった。しかしチノちゃんはなんだか
ワイのことがキライみたいで、いつもいつも不愛想に最後まで因数分解せずに、多項式イタイイタイなのだった。

ワイ「トホホ……チノちゃん可愛いのに因数分解はイタイイタイなんだから……あーあ、どうにかしてチノちゃんの因数カチャカチャをやさしくて気持ちいものにしてもらえないかな~、ん?」

深夜なのにチノちゃんの部屋から明かりが漏れている。

チノ「よいしょ……よいしょ……」

ワイ(ち、チノちゃんが、自分の部屋で最も数の次数の低い文字について整理する練習をしている!?)

チノ「ふぅ……こんなものですかね……。もっと気持ち良くなってもらえるように頑張らないと……」

ワイ「チノちゃーん!」 バターンッ!

チノ「ひゃあッ!?」

ワイ「チ、チノちゃーん! ごめんよーッ! チノちゃんは毎日ワイのために次数と整理の練習してたのにワイはそんなことも知らずに……ッ!
ハフッ!ハフッ! チノちゃんの湯上りふとももいい匂い!」


チノ「ど、ドサクサにまぎれて太ももの上で最も次数の低いyについて整理されないでください!」

ワイ「ご、ごめんねチノちゃん……!」

チノ「べ、別に、次数を取ったり共通因数をくくり出す練習するくらい普通です……。それが私のお仕事なんですから……。それに、私は下手で、あんまり気持ちよくなってもらえないから」

ワイ「そ、そんなことないよ! チノちゃんのその気持ちだけでワイは十分気持ちいいんだよ! あっ、そ、そうだ! チノちゃんおてて出して!

チノ「こ、こうですか?」

ワイ「そう! それじゃあ今からするからね! チノちゃんのやわらかおててで因数分解するからね! ちゃんと受け止めてね!」

チノ「えっ、えっ?」

ワイ「ウオーッ! チノ! ぷにぷにおててで出すぞ!」でまとまるぞー!

チノ「ひゃあッ!」カチャーーーっ!


ワイ「くっ、ふぅ……! い、1番右のカッコの中が因数分解できたぁーッ!」

チノ「ほんとうです……で、でもなんで……?」

ワイ「それはね……チノちゃんの気持ちが、ワイに伝わったからだよ! チノちゃんの文字を思いやる優しさがね!」

チノ「私のやさしさ……」

ワイ「そう! だから、テクニックなんて、二の次なんだよ! 因数分解は、上手い人にやってもらうより、好きな人にやってもらうのが一番気持ちいいんだよ!」

チノ「す、好きって……はわわ……あ、あの……もうちょっとだけ、練習に付き合ってもらってもいいですか?」

ワイ「もちろん!」
その後、ワイは一晩中チノちゃんのおててでまとまるのを続けて次の日の朝は起き上がれないほど疲弊していた。
でもまぁ、その日以来、因数分解の工夫をするときチノちゃんが耳元で「好きです」とつぶやいてくれるようになったので結果オーライ! 終わり

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