濃厚接触者日記
<1月16日土曜日>
1月16日土曜日の21時、
授業を終えた私は今日も無事に1日の授業が終えた喜びと微かな疲労感に浸っていた。
そんな時だしぬけに生徒の保護者から一本の電話がかかってきた。
突然の体調不良、はたまた退会…
保護者からの電話は良くない知らせの方が多い。
だから電話が鳴る度にギクッとする。
さりとて個人経営の学習塾、逃げ隠れできる訳もなく電話に出る。
果たしてその電話は、その後一週間に渡る私的コロナ騒動の幕開けであった…。
「先生、体調にお変わりありませんか?」
いつになく思い詰めた声で保護者が言う。
「え?体調ですか?いつも通り、至って健康ですが…」
「実は子供が13日から熱出して、今日PCR検査したら陽性だったんですよ。
保健所から発熱の3日前までに接触した人に連絡するように言われて今お電話しております」
微かに震える声で保護者は続けた。
2日前…、そう言えば2日前の11日、その子の授業をしている。
脇の下にジワリと汗が滲む。
聞くと、13日、14日と37度台後半の熱で、
お父様も頭痛がするので調べたらコロナ陽性だったという。
「保健所の方に先生の電話番号教えてもいいですか?」
是非に及ばず。
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