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+1%の心くばりがもたらすもの

サービス精神旺盛な後輩がおすすめしてくれた本「ホスピタリティの教科書」を読んだ。

著者はリッツカールトン大阪で支配人や大手高級ホテルの支配人を歴任し、病院や官公庁のコンサルティング等を行った方。

この本を読んで、これまで自分が考えていたホスピタリティが体系化され、整理できた。

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前提として、一般的にホスピタリティと対になるのがサービスであるが僕はそれぞれの特徴をこのように考えている。

〇サービス

・支払った額に対する対価
・マニュアル的
・決められたことは当たりまえにこなす
・Give&Take

〇ホスピタリティ

・サービスを前提
・一人ひとりに対する心からのおもてなし
・見返りを求めず、提供そのものに喜びを感じる
・Give & Be given


どちらもメリットとデメリットがある。
サービスは画一的に全体に同じものを提供するという上ではスピーディで過不足がなく、それを即座に得たい場面ではこちらの方が優位性が高いと思う。

もう既に、あらゆる製品やサービスでは差別化が難しい時代となっている。結局のところ、選ばれるのはブランドストーリーと、サービス業であればやはり「人」だと思う。同じものを買うにしても、ブランドそのものに共感できるかということと、快適な空間や自分だけのオリジナルな体験を与えてくれる方を選ぶだろう。
どんな仕事でも人が介在する。ホスピタリティを学ぶことはこれからの時代重要な概念である。

ここからは著者の考えをまとめながら自分の考えを書いていく。


ホスピタリティを実践する3つのステップ

ホスピタリティの語源はラテン語の「ホスピス」が由来している。ホテルや病院の語源も同様で日本語に訳すと「心のこもったおもてなし」という意味になる。筆者によるとホスピタリティの最終目標はお客様を心から感動していただくサービスを提供するというものだ。そこに至るまでの3つのステップを経てサービスレベルを上げていきましょう、ということだ。

①基本マナー(お客様に好感を持っていただくこと)

「マナー」を身につけることによってお客様に不快感を与えず「好感」を持っていただけるようになること。

第一印象で好感をもってもらうために、お客様の誰一人として不快に思わせないような最低限のマナー(身だしなみ、エチケット、言葉遣い、表情、挨拶など)が求められる。従業員が一部のお客様と和気あいあいと楽しむのもけっこうだが、同じ空間には不快に思っている人がいるかもしれない。


②気くばり(お客様に満足していただくこと)

「気くばり」をすることによってお客様の隠れたニーズまで満たしてさしあげ、十分に「満足」していただくことを目指す。

「この店に来てよかった」「この店で買ってよかった」と思ってもらえるように顧客満足度を高めるためにはコミュニケーションをとり、想像力をはたらかせ、相手がどのように感じ何を行動しようとしているのかを察する意思が求められる。

僕はパーソナルトレーナーとして、人の体を変えるためには心を変える必要があると思っている。心を変えるためには相手の心を開くことが真っ先に必要なことである。


③心くばり(お客様に感動していただくこと)

「心くばり」をすることによってお客様の予想を超えたレベルのサービスをご提供し、お客様に感動していただくことを目指す。

○本物の感動は誰かに伝えたくなる
心理学用語で「情動感染」というものがある。結婚式に行ったらその会場にいる人みな多幸感を得られたり、不機嫌な上司が職場にいると場の雰囲気がギスギスしやすかったり、自分の意志にかかわらず、身近な人の感情の影響を受けるというものだ。情動感染だけでなく、人は何か感動すると、誰かにその感動を分かち合いたくなるという心理がはたらく。人に紹介してもらってこそ、いい仕事をしていると認識できる。

○お客様が喜べば自分も嬉しい
自分以上に大切な存在、例えば家族が喜ぶと自分も嬉しい。意図して大切な人を喜ばせることがでれば、自分自身も嬉しいはずだし、気分がいい。それと同じように相手を喜ばせること。相手が喜ばないものはいい仕事をしていないということで、それはつまり、自分自身が喜ぶほどのサービスを提供できているかどうかだと思う。しかし、自己満足が過ぎると白々さが目立ち不快感が高まり本末転倒してしまう。そこには己を律する心構えが前提として必要であるから、+1%だけでいいから、その心くばりによって、自分自身を喜ばせてあげればいい。


無理のないレベルから「基本マナー」→「気くばり」→「心くばり」と順番に進んで、最終的にお客様に感動していただけたとき、自分も嬉しくなり、仕事にやりがいにつながると著者は言っている。


心友が、久々に飲んで語った時にこんな事をつぶやいていた。
人を豊かにするのって、人なんだよな」
僕は人の手を加えられていないような自然から感動を得られることもあるけど、インターネットが孤独な人間社会を加速させた現代において、芯を食ってるよなと思った。

感動って、よくあることじゃなくて、非日常だから得られるものだと思う。

そもそもホスピタリティを追求する時点で自己欺瞞というか偽善的であり矛盾しているようにも思う。

でも、さりげない心くばり、心遣いはつねに持ち続けられる人間でありたい。


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