
「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論851」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第42号(2009.5.25発行)「不況に強いクラブになるためにー景気後退局面でのクラブ経営」2~※名称等は当時、一部文章省略
従業員の巻き込み
サレット氏はさらに、現場スタッフを巻き込んで、景気後退対応のためのアイデアを出していくように、とアドバイスする。
「現場のスタッフは、コストを抑え、売上を伸ばすためのいいアイデアを豊富に出せるはずです。現場のクリエイティブな発想を喚起しましょう。また、景気後退への対応プランが完成したら、クラブ内でそれを共有することが大事です。厳しい現実にどのように対応していくのか、その方策を共有することで、スタッフの不安を和らげることが大切です。彼らに少しでも不安感があれば、すぐにクラブのメンバーに伝わりますから。ネガティブな情報が含まれる場合でも、社内のコミュニケーションをしっかり取っていくことが大切です」と同氏は強調する。
上述したケンブリッジ・グループのコールドウェル氏は、同社の経営陣が4店舗全てにおいて、全社員と業績を共有し、事業計画を詳細に語る予定であると語っている。
テロス・フィットネス・センターのダーデン氏は、昨秋、プールサイドにて、パートを含む全スタッフを対象にディナー・ミーティングを行い、景気対応策について共有した。
スタッフに対する同氏のキーメッセージは「各自、自分のベストを尽くしましょう。そして自分のコントロール外のことについて頭を悩ませるのは止めましょう」というものであった。
「世の中の景気がどうなるか、というようなことは考えても仕方がありません。とにかく最高のクラブを作ることに専念しさえすれば、結果は付いてきます、とスタッフに伝えました」と同氏は語る。
「もちろん、不況の波は我々のビジネスにも降りかかってくるでしょう。だからこそ、クラブのメンバーとの絆を深め、彼らのライフスタイルの重要な一部となることが非常に重要で、そのために私たち一人ひとりが、これまで以上に踏み込んだ努力を行っていくことが必要だと伝えました」と同氏は言う。
テロスのセールス・マーケティング及びメンバーエクスペリエンス担当ディレクター、クラリサ・デュラン氏は、このメッセージがスタッフの士気の高揚につながり、非常に効果的であったと語る。
「彼(ダーデン氏)の言うことは非常に戦略的、かつ地に足が着いていて、私たちの不安に応える内容でした。彼はまた、人員を削減する前に、カットすべきものはまだまだたくさんある、とも語りました。彼は私たち一人ひとりに、掘り下げて考えていくこと、クリエイティブなアイデアを出すことを要請しました。その一方で、これまで私たちが成し遂げてきたことに対して盛大に祝うことも忘れませんでした」と同氏は振り返る。
~ここまで~
テロス・フィットネス・センターのダーデン氏のメッセージは、パンデミック下で、まさに当社が胸に刻んできたことだと言えます。
これまで以上に踏み込んだ努力を行い、会員様との絆を深め、お一人お一人の問題解決に、より一層貢献するという心意気です。
パンデミック前の直営小型クラブの経営は、立ち上げ期の苦労を除けば、順調そのものであった為、安堵感・安心感のもとで全社員、働いていたと思いますが、同業他社と同様に事態は一変しました。
もちろんそれまでも、各々が相応の努力をしていたことは間違いないものの、危機レベルが格段に上がったことで、思考レベル・掘り下げレベルを上げざるを得ない状況に否応なしに追い込まれたということです。
その後の約4年、みな苦しい想いをしてきた中、一定のレジリエンスを獲得できたことは不幸中の幸いであったと、後々、社内で語られることでしょう。
お読みいただきありがとうございました。