
「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論784」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第34号(2008.1.25発行)「サービスの真髄(商業アドバイザー・小柳剛照)」2~※名称等は当時、一部文章省略
老舗菓子店の理念
柏屋会長の名刺の上には、「饅頭で一生を棒に振った男」と書かれています。
思わず笑ってしまうようなキャッチフレーズですが、この言葉には饅頭に対する愛情と、お客さまに対する思いがぎゅっと詰め込まれているようには思いませんか。
そんな柏屋は、お客さまへのサービスや、地域貢献事業をいくつも実践しています。
毎月一日、必ず実施してきたのが「朝茶会」。
午前6~8時に本店の2階で、朝茶と薄皮饅頭2個、それと季節の生菓子を、無料で提供するというものです。
1974年からずっと継続している行事であり、毎回数百人の方々が訪れています。
柏屋のスローガンには「まいにち感動、まいにち感謝」という言葉があり、まさにお客さまへの感謝の心が、形として表れている行事と言えるでしょう。
そして、本店の店頭ショーウィンドウを飾るのが「青い窓」です。
夢の薄れがちな現代の子供たちのために、児童詩を募集するという事業。
集まった詩は、「青い窓」という発行誌面に掲載され、すぐれた作品を柏屋店頭で紹介する、というものです。
会社の売上とは無関係の、社会貢献であるメセナ活動。
でもこの活動は全国各地に普及していきました。
同時に、これらの活動によって、市民からの柏屋への信頼も厚いことも、郡山市を訪れるたびに感じられるところです。
お客さまのために
薄皮饅頭は、形も、大きさも、味も、特に大きな特徴はありません。
どこにでもよくありがちな饅頭であり、個性に乏しい商品といってもいいでしょう。
でも、個性を無理に主張しないことが、飽きない商品づくりのカギだったとも考えられます。
奇をてらった手法に走らなくても、消費者の支持を得ることはできるということがわかる、いい事例かもしれません。
柏屋会長は、「薄皮饅頭のあんは、皮で包むのじゃなく、真心で包むものだと伝承されています」という言葉を語っていました。
老舗企業のサービスの真髄は、とことんお客さまのために働くという、実にシンプルなところにあったようです。
~ここまで~
伝統的な老舗企業のサービス精神は、記事の事例のように、いたるところ様々な活動に現れていると思います。
それはまた一見して、事業とは全く関係ないこともしばしばです。
そして、そのエッセンスはといえば、お客さまへの真心に他ならないのでしょう。
当社でも直接的な売上とは関係ない健康に関する無料セミナーやコミュニティを深めるための無料イベントを開催しておりますが、そのような活動を通じて信頼を深めることが長期的には事業の継続性を担保することに役立っていると特にパンデミック以降は実感するところであります。
お読みいただきありがとうございました。