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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論433」

みなさん こんにちは アバター近藤です。

「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。

「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第9号(2003.11.25発行)「定着志向のクラブづくり」2~※名称等は当時、一部文章省略

1.会員数を増やす原理と鍵

(2)会員定着の現状とその鍵

ここで世界のクラブの会員定着度合いを確認しておきましょう。

日本のデータは含まれていませんが、日本もこれと似た状況にあると考えられます。

年間定着率により全クラブをパーセンタイル別に表したグラフによると、最も一般的な定着率(中央値)のそれが58.5%(年間退会率でいうと41.5%)ということになります。

一番定着率が悪いクラブは39%(年間退会率61%)、一番定着率が良いクラブで89.5%(年間退会率10.5%)となっています。

ここでいう定着率の定義は、「1年後に在籍している会員の割合」です。

つまり、一般的なクラブの定着率が58.8%ということは、例えば100名の会員がいたとしたら、1年後には58.8名になっていることを表しています。

ここでさらに言っておきたいことは、定着率の高いクラブは収益性も高いクラブになっているということです。

次にクラブ総会員数に占める6ヶ月以上在籍者の構成比については、各年代でおよそ半分程度しかいないことが分かります。

この会員層はすでにフィットネスを習慣化させていると考えてよいでしょう。

そうでない層はクラブを辞めてしまう確率が高いということです。

次に入会金を頂いているクラブ群と頂いていないクラブ群の1年間の定着率の推移を表すと、1年間でおよそ20%も差がついてしまっています。

ここから何が言えるでしょうか。

入会金を払えるお客様の方がお金持ちなので月会費も払い続け易いということでしょうか。

確かにそれも言えますが、それ以上に重要なことは入会金を頂くことで会員はクラブにコミットメントを持ち、また辞めて再入会する場合には改めて入会金を支払わなければいけないことを脳裏に刻み込むこと、それから入会金を得ているクラブはその収入分を原資に新規入会者へのより良いサービスやサポートの為に費用を投じることができるということです。

ではいったいどのくらいの入会金を頂いたら良いのかということですが、月会費の2~4倍というのが最も妥当かと思います。

~ここまで~

入会金制度については、日本では既に形骸化が進んで年数も経ち、取り入れていない企業も多いことから、あえての評価は避けることにします。

それ以上に、記載されている「1年後に在籍している会員の割合」、「総会員数に占める6ヶ月以上在籍者の構成比」は定着を考える上で、重要な指標だと言えます。

毎月の退会率×12で年間退会率を出し、100%から引けば、簡易的な定着率を算出することはできます。

ただこれですと、新規入会者の定着状況や習慣化できている会員様の割合など、細かい分析が出来ないため、一度はきちんと現状把握をした方が良いと思われます。

恐らく、違った見方になるクラブも続出することでしょう。

本日もお読みいただきありがとうございました。


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