
「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論782」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第34号(2008.1.25発行)「一般市民の健康・体力観とフィットネス活動に関する調査研究報告書」2~※名称等は当時、一部文章省略
社団法人日本フィットネス産業協会(FIA)はこの度「一般市民の健康・体力観とフィットネス活動に関する調査研究」と題した報告書を刊行した。
本調査研究は、フィットネスクラブに通う会員の健康・体力観や生活感の実態を、非会員と比較しながら明らかにし、フィットネス業界の社会的意義を確認する目的で行われた。
以下に、報告書の概要をまとめた。
※調査方法
クラブ会員・クラブ経験者・未入会者の各層に対して現在の健康・体力の状況、生活感の状況、クラブに対する入会意思、クラブ利用状況等について調査を実施。
クラブ会員(回収969)にはフロントで調査票を配布し、またクラブ経験者・未入会者(回収各262)にはインターネット調査を実施した。
入会者は生活にも充実感
「生活感の状況」に関しても、「健康・体力の状況」と同様に、入会者では、他のグループに比べ、生活全般に渡って良好な状況にあることが示された。
報告書では下記の通り、まとめている。
フィットネスクラブ入会は、
・生活に充実感を与える。特に中高年にとっては生きがいにつながる。
・病気になりにくいからだを育む。
・良好な友人の輪を広げる。
・幸福感を高める。
経験者は再入会の可能性大、入会阻害要因は、費用・時間・継続への懸念
フィットネスクラブへの「関心」は「経験者」で68%、「未入会者」で39%となっており、特に「経験者」はフィットネスクラブの魅力について理解しているように思われた。
「入会意思」の結果でも、「経験者」では66%に達しており、きっかけや時間的・経済的改善が見込まれれば再入会する可能性が高い。
また、「入会の阻害要因」では、「費用」や「時間」という一般的な要因を除くと、「入っても続かないのではないか」という継続に対する懸念が強い。
報告書では下記の通り、まとめている。
「経験者」は、フィットネスクラブへの「関心」「入会意思」が共に高い。フィットネスクラブへの「入会阻害要因」は、
・「経験者」、「未入会者」共に、「費用」、「時間」、「継続への懸念」が上位。
・最も強い阻害要因は、「経験者」は「時間」、「未入会者」は「費用」。
入会のポイントは、運動・スポーツを楽しめることなど
入会前に期待していた「効果」と入会後に感じている「効果」では、「運動・スポーツを楽しむことができる」、「ストレス解消・リフレッシュができる」、「体力の衰えを防止する」、「筋力アップできる」などの効果が入会前後共に高い。
一方、「生活にメリハリができる」、「他の会員と親しくなれる」、「生きがいをみつけることができる」、「病後や怪我のリハビリができる」等については入会後に、その効果の認識が非常に高まっている。
~ここまで~
「費用」、「時間」、「継続への懸念」が入会前に阻害要因となることは、現在も変わりないと考えられます。
また、同じく「費用」、「時間」、「継続への懸念」が、転居や病気・怪我等のやむを得ない事由を除き、退会理由のほとんどを占めることも変わりありません。
このことが何を意味するのでしょうか。
・「費用」がネックになるのは、金額に対する便益が低い(低くなった)。
・「時間」がネックになるのは、通うことの優先順位が低い(低くなった)。
・「継続」がネックになるのは、受け取れる便益への評価が低い(低くなった)。
ということの現れではないかと考えるのが自然だと思います。
「総合型クラブ」「24時間ジム」に通った経験がある方は、分かると思いますが、施設提供型ジムは、来館中に誰とも会話せず、黙々とトレーニング、お風呂やシャワーを利用し、チェックアウトすることが普通に成立してしまう世界です。
従って、そのような環境で上記の感覚にいずれなることは、むしろ当たり前とも言えます。
フィットネスが与える数々の便益には疑いの余地はありませんから、結局は提供者側のサービス設計に問題ありと認識した方が良いとアバター近藤は考えます。
お読みいただきありがとうございました。