
「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論601」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第18号(2005.5.25発行)「米国クラブ業界のトレンド2005」4~※名称等は当時、一部文章省略
IHRSA設立に関わった一人で、この業界で30年を超える経歴を持ち、アメリカフィットネス業界の歴史と財務に知悉しているマネジメントビジョンCEOリック・カロー氏に「米国クラブ業界のトレンド」と題してセミナーを提供して頂いた。
現在カロー氏はクラブオーナーを退き、コンサルタントとして活躍。
この6年間で1300社以上のコンサルティングを手掛けている。
クラブ業界の課題
ではクラブ業界に欠けている構成要素について見ていきましょう。
まずHMOなどの保険会社でクラブ業界に投資し、強い関係を持とうとする企業が少ないことです。
保険利用者に対するクラブの利用のインセンティブも本格的なものではありません。
また自分で運動を続けているホームエクササイザーとも有効な関係が持てていません。
さらに、家族単位で参加できるクラブのプログラムやサービスなども提供できていません。
では、業界の課題をまとめておきましょう。
まず、これまでお話した、この業界に欠けている要素を備える必要があります。
また退会率を低く抑えることも大きな課題となっています。
また、運動をする全ての場面の記録が取れるシステムを作ることも課題となるでしょう。
家、屋外、クラブなどどこで運動しても共通して記録が残せるようなシステムです。
また、我々はメンバーのことを十分に知ることができていないことから、CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)も必要でしょう。
CRMによりメンバーのニーズを知ることができれば、定着率も高くすることが可能になると考えられます。
また、現在参加率が14%ですが、残りの86%の人にいかにアピールしていくかも課題です。
昨年だけでも2,800万人もの人がクラブを利用していながら、メンバーになっていないという状況があります。
専門性の高い業界であり続けるということも重要です。
今後、中高年層人口が増えていきますが、この層の人をターゲットするうえでは、より高い専門性が必要となってきます。
高い知識はもちろん、そうした人が安心して取り組めるように計らう人間性を持ったスタッフが必要となります。
また、オンラインのコミュニケーションシステムの構築も課題となるでしょう。
また、クラブがそれぞれ本当の「ブランド」力を構築することも課題です。
行政からのサポートを得ることも業界としては、課題とすべきでしょう。
新しい顧客層を開拓することも必要です。
例えば70歳以上の高齢者層や、リハビリ後の人、ティーンエイジャーなどの開拓は十分にできているとは言えません。
業界で良く言われる問題として、「クラブに行くのに気後れを感じる」というものがありますが、こうした認識が人々の脳裏にまだ残っていることも課題です。
こうした認識が無くならければ、クラブに足を運んで貰うことさえ難しいわけです。
また、クラブはいかに楽しさを創造するかということも課題となります。
~ここまで~
現在の国内業界企業全般で、上記の課題に対応できているか私見ながら判断してみます。
1)保険会社との関係性強化・・・✖
2)ホームフィットネスとの有効な関係・・・△(一部企業で対応)
3)家族単位での対応・・・✖
4)低退会率・・・△(企業ごと、クラブごとで格差あり)
5)運動データ記録システム・・・〇(各種アプリ等の進展の結果)
6)CRM・・・✖
7)未参加層の顧客創造・・・✖
8)高い専門性・・・✖
9)オンライン・コミュニケーションシステム・・・〇(各種アプリ等の進展の結果)
10)ブランド力の構築・・・✖
11)行政からのサポート・・・✖
12)楽しさの創造・・・△(プレコリオプログラムの発展)
こうして見ますと、多くの課題がまだ残されていることが分かり、これら一つひとつに対応していくだけでも、企業としての強さを身に付けることができるように思います。
お読みいただきありがとうございました。