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5月24日(水):「健康日本21(第三次)」での社会環境づくり

最近は「健康日本21(第三次)」に関連したことに触れていますが、本日もその続きをもう少しばかり。

簡単に補足をしておくと「健康日本21」とは、健康寿命を延ばすことを目的とし、生活習慣病の予防や食事、運動などの目標を設定しているものです。

「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」というビジョン実現に向けて、2023年6月に策定される第三次では基本的な方向を次の4つに定めています。

①健康寿命の延伸・健康格差の縮小
②個人の行動と健康状態の改善
③社会環境の質の向上
④ライフコース

①や②は直接的にイメージができると思いますが、③は社会とのつながり・こころの健康の維持・向上を意図したもので、④は①~③をライフステージのなかで享受できるように、とのニュアンスです。

③についてもう少し具体的に触れると就労、ボランティア、通いの場といった居場所づくりや社会参加の取組に加え、より緩やかな関係性も含んだつながりを各人が持つことができる環境整備を行うこと、こころの健康を守るための環境整備を行うこと、となっています。

背景として健康な日本の地域には「いいコミュニティ」があることが指摘されており、こうした地域に根ざした信頼や社会規範、ネットワークといった社会関係資本等を意味するソーシャルキャピタルの形成を促すことは健康づくりでも有用、との考え方によるものです。

こうした良好なコミュニティ、ソーシャルキャピタルが大事なのは論をまたないところですが、その一方での注意点は外側から与えられたコミュニティは上手く機能しないケースもあることでしょう。

以前にはこちらのnoteでも書籍「孤独と居場所の社会学(阿比留久美著)」を引き合いに「居場所」について掘り下げたことがあります。

居場所とは個人のアイディンティティの承認、実存を巡る問題であるとし、それを踏まえて居場所を定義、整理する3つの観点として①「主観/客観的承認」②「他者との関係性の有無」③「空間性の有無」が挙げられていました。

今回のような行政による取り組みと関係してくるのは①「主観/客観的承認」における「主観での承認」の部分でしょうね。

実際に書籍内では政策課題として行われる居場所づくりが「当事者が、その場所を居場所として感じ、認識する」居場所を実現しようとするものではなく、「居場所がない人に対して、居場所という手段を提供することを通じて、様々な目標を達成させようとする」ことにもつながりかねない点に言及していました。

主観として自分自身が、ある場所に対してそこに安心感をおぼえる、自分のいるべき場所だと感じられるのであれば、それがどんな場所であってもその人にとっての居場所になりえます。

これに対して客観的な承認があったとしても、主観がそれに対して「NO」だと感じていたら、そこが当人にとっての居場所になるのは難しいですからね。

コミュニティは外側からそれを設計して被せるだけでは上手く機能しなくて、そこに種をまいて育てることをしないと根付いたり、広がったりもしていきません。

そうした面では当事者となって実務をしていく人、日常的にそのことを担う人が必要になってきます。

私たちのような民間のフィットネスクラブ事業者であれば、健康を基軸にした地域コミュニティをつくっていくことができるから、健康日本21で言うところの社会環境づくりの一端を担うことができます。

フィットネスクラブが単に身体を動かすだけの場に留まらず、社会的な価値を帯びた存在になっていくためにも、前述した点を念頭においたクラブ運営を進めていければと思っています。

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