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vol.2 成功する地方移住と田舎暮らしについて語る決定版~イノシシを捕まえて報奨金で儲ける方法~

太田製作所さま サウザーの白熱教室
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※試聴版。オリジナル版(55:49)は購入後に視聴可能。

第二話(全六話)
「地方移住」この言葉は1960年代から存在していたという。つまり日本人は半世紀にわたって、この概念に取り組んできたということになる。その挑戦は時代背景に合わせて隆盛と衰勢を周期的に繰り返してきた。そして2022年の現在、感染症の蔓延に伴って生まれた新たな価値観と働き方を背景にして、地方移住は再び活性化しつつある。この話題に興味を持つ人には是非、本作を聴いてタイトルの通り「成功する地方移住と田舎暮らし」を実現する足がかりとしてほしい。

本作でまず最初に触れられる話題は、何よりもまず「地方移住・田舎暮らしは準備なく挑むと高確率で失敗する」ということである。「失敗」とは要するに
「こんなはずじゃなかった」
「想像してた田舎暮らしと違う」
ということで、さらに具体的にすると
「地方都市に通勤の低賃金勤め人」
「田舎の日雇い労働者」
あたりになることである。もしくはキャリアダウンしながら都会の勤め人に戻るか。

本作は、これらの運命を回避するエッセンスで満ちている。
アマゾンの密林に挑むならば。
水先案内人に話を聞き、指南書を読み、装備を整えて赴くはずだ。それなしでの挑戦がどれほど無謀かは想像に難くない。

しかし「地方移住」となると多くの人は、ゆるむ。
地方を、田舎を、ナメてしまう。

ひとまず移住から、と軽い気持ちでスタートする。結果として、望まぬ結果から逃れられなくなってしまうのだ。

ここで地方移住の歴史を紐解いてみよう。明治大正、昭和初期においては人口は全国の農村に広く分布していた。戦後、高度経済成長期(1955〜73)には都市が大量の労働力を欲した。そして人々もまた、都市に移住して労働者となれば、近代的な生活ができると踏んで、地方を離れ都市を目指した。都市への人口流入・集中・過密化が進んだ結果、その対として地方移住や田舎暮らしという概念もまた生まれた。この高度経済成長期における第一次の「地方移住」の動きの正体は、

「都市での生活、思てたんと違う」

ということであろう。
もともと地方で暮らしていた人々が都会に憧れを抱いて移住するも、その実情が厳しくてまた地方に戻りたくなった。これを乗り越えたり、新たに参戦した人々も1980年代以降は都市部での生活に疲れ始め、Uターン転職をし始める。これが第二次である。
そしてさらに耐えた世代の子ども達が成人し、2010年代にはインターネットの広がりを背景にして、ノマドワーカーが流行ったのが第三次。そして第四次が2020年代、感染症対策に後押しされる形で地方移住が盛り上がっている。
この歴史を振り返ってみるに、大きな流れを感じ取れる。
それまで農村で牧歌的に暮らしていた人々が近代化に憧れて都市へ移住した。そうして日本は先進国の仲間入りをしたが、その一方では労働者の負担が少なからずあった。それを耐えられないとした人々が都市での勝負からオリるという形で「地方移住」という思想が生まれた。
そして都市での生活を戦い続ける親世代の背中に、虚しさを見た子世代が大人になった。その頃、インターネットが普及していた。
2010年のiPhone上陸からスマホの普及は急速に進み、インターネットが多くの日本人にとって身近となった。当時、動画コンテンツは乏しく、文字媒体すなわち「ブログ」という文字媒体の最盛期であった。スマホの急速普及を背景にして、インターネット広告の市場も急拡大した。アフィリエイト等で収入が得やすい土壌が育った。
そうしてノマド的な価値観とリンクしたインターネット上で再び「地方移住」のムーブメントが盛り上がりつつあった2015年、労働事件が相次ぐ。某広告会社の過労自殺を皮切りに、某ゼネコンでも過労自殺。都会での過労の末に、自死を選ぶ20代の若者が出始める。

都会に出て、大手企業に勤めさえすれば、幸せになれる。

この信仰ーーいや、祈りの結晶のようなものが打ち砕かれた出来事であった。都会でのハードワークで得られるはずの「何か」。
あると信じていた「何か」。
それが、実は無かった。
祈りを喪った若者が、代わりを求めてスマホで検索をする。そうしてヒットするキーワードが

「まだ東京で消耗してるの?」であった。

かくして都市部からの脱出すなわち「地方移住」をテーマとし主張したブログが一大ムーブメントとなった。都会で勤め人をして消耗するよりも、インターネットで収益を得て地方に移り住みたい。ノマド的に、減速して、生きていきたい。新たな祈りであった。
彼ら(ブロガー)はまさにこの疲弊した都市部からの脱出を、インターネットからの収益を頼りに試みたパイオニアであった。
しかしながら彼らは思い違いをしていた。
インターネットで収益を得て地方移住さえすれば、何とかなるという目算。これが外れた。
田舎は無条件の黄金郷(エルドラド)であると信じ移住した彼らを待っていたのは、都会とはまた違う容(かたち)をした試練であった。
かつて都会に憧れを持ち、その祈りを裏切られたのと同じように、多くの地方移住者達が望まぬ結果を迎えた。
その先人達の歴史は「地方移住は簡単なことではない」ということを私達に知らしめるには十分であろう。都市での生活に慣れてしまった者が地方移住を志すならば、それ相応の準備が要るということを。
そう、有り体に言えば

「田舎はそんなに甘くない」のだ。

本作の副題にはイノシシの捕獲による報奨金を得る方法、とある。そのため「狩猟」のが大きなウェイトを占めると予想をするかと思う。しかし本編を聴き進めて行くうちに、実はイノシシ狩りは、必須項目ではないことにも気がつく。田舎の人間が全員、イノシシを狩っているわけではないのだ。しかしながら無手での地方移住を成功させるための強力なカードであることには変わりはない。その事は追って解説をしていく。

大切なことは、イノシシ狩りではない。
地方移住を成功させることである。

夢と祈りだけで地方移住に挑み、散っていった先人達。
彼らがなぜその運命から逃れられなかったのか。なぜ失敗が必然であったのか。本作ではその理由が詳らかにされていく。

地方移住は、甘くない。

然るべき心構えをし、然るべき準備をして乗り込まなければならないフロンティアなのである。都市には都市のルールがあり、地方には地方のルールがある。そうしてちゃんと準備した者だけが、地方移住の果実を味わうことができるのだ。

つづく

ヤコバシ著

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