スウェーデンのだけどスウェーデンだけではない
スウェーデンのアンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム作、グレーンス警部を主人公としたシリーズをずっと読んでいます。
一作めの『制裁』をよく知らずにスウェーデン作家というだけで読んだのはもうずいぶん前。
途中出版社がなくなったりしましたが、翻訳が続いています。
日本語の最新刊『三時間の導線』を先日読みました。
この作品からアンデシュ・ルースルンド氏が単独の作者です。
翻訳者の方もこれまでと違います。
『制裁』と『三時間の導線』では同じシリーズとは思えないような内容だなと思っています。
このシリーズは途中『三秒間の死角』からピート・ホフマンというもうひとりの主人公ともいえる人物が登場します。
舞台もスウェーデンにとどまらず、他の大陸にまで及びます。
『三時間の導線』はアフリカ大陸に飛び、それゆえかおなじみのオーゲスタム検事は登場しません。
前作『三分間の空隙』ではコロンビアやアメリカが主な舞台となり、グレーンス警部が抜擢したヘルマンソン警部補はほぼ登場しません。
『制裁』はもっとスウェーデンの(というかほかの国でもありそうな)社会問題を絡めたような内容でした。
日本語版が出版された順番は異なりますが、『地下道の少女』まではもっと身近(国内)で起こっていそうな事件でした。
よく考えてみればリトアニア人だとかアメリカ人だとかルーマニア人だとか外国人が主要な登場人物でしたが、それでもです。
共通して最後が結局きっちりと解決しない、後味が悪い、そんなシリーズという印象を持っていました。
『三秒間の死角』『三分間の空隙』『三時間の導線』の三作を読んだ今は続きがあるのだろうなという印象を持つ最後だなと思っています。
含みがあるというか。
スウェーデンでは『三分間の空隙』と『三時間の導線』の間に一作と、さらなる続編も出版されているそうですが、次はどこまで行くのですかね?と思わずにいられません。
なんだかもうスウェーデン作家の作品ですが、スウェーデンだけでは収まり切らない内容となっています。
実際の社会を反映しているのかもしれません。
ただ、個人的にはスウェーデンの作家の作品を読むのはスウェーデンの雰囲気を味わいたいからなので、なんとなく物足りなく感じるようになってきました。
読んでいて面白くないとか、つまらないとかそういうことを感じはせませんが、スウェーデンらしくないので物足りません。
なんだそれ、ですが。
話はそれて作中でグレーンス警部がいつも聴いているシーヴ・マルムクヴィストSiw Malmkvistについて。
懐かしき時代の歌手という風に書かれていますが、現在もご活躍中です。
今年秋放送されるテレビ番組”Så mycket bättre”に出演されますが、収録中に体調を崩されて予定より早く帰宅されたとのこと。
大事には至らずだそうです。
健康にお気を付けください。
小説の中の人物は全員が架空とは限らないのです。
冒頭の写真はアーランダ空港です。
グレーンス警部シリーズでは国外が舞台となるため、よくアーランダ空港から出発しています。
現地に向かうためだけでなく、強制送還のために訪れることもあります。
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