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研究に未練がある社会人へ 「学振」 という選択肢

日本学術振興会特別研究員…通称「学振」。毎年の応募倍率は5倍前後。採択されれば1ヵ月あたり20万円の研究奨励金(≒生活費)と研究費が国から支給される。なかでもDC1は博士課程のまる3年が採用期間に。そのため修士2年が申請するイメージが強いが、実は修士卒の社会人も応募できる。既に2022年度の募集要項が公開され、2日に電子申請の受付も始まった。研究に未練がある社会人はレッツチャレンジ。

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学振内定→退職の院生は1%未満?

社会人に学振の応募資格はない、という誤解は根強い。友人に採用内定を伝えた際の開口一番も「え!?学振って社会人も応募できるん!?」だった。
実際珍しいらしい。某大学の学務によると、博士課程に在籍する2000人前後の大学院生のうち「学振に内定してから退職して博士課程に入ったケース」は4〜5人ほどだという。そのまま受け取るなら0.25%しかいない計算だ。
だが、裏を返せば毎年一定数はいることになる。

社会人はDC1に応募できるか

そもそもの疑問だが、社会人がDC1に応募できることは日本学術振興会のHPで示されている。最新の”令和4年度(2022年度)採用分募集要項”によると、DC1の申請資格は「2022年4月1日現在、我が国の大学院博士課程に在学」かつ「博士課程後期第1年次(在学月数12ヶ月未満)に在学する者」とある。要は翌4月にD1になる人が対象だ。修士卒なら基本誰でも申請できる。
ちなみに年齢制限もない。同会の制度概要では「平成26年度採用分より、年齢制限を廃止」と明記している。その理由も「社会人を経て大学院博士課程に入学する者が増加」。どうやら社会人からの出戻りドクターは増えつつあるようだ。

働くな、研究しろ

ただし注意点が一つ。特別研究員には研究専念義務があり、社会人で採用されたら3月31日までに退職する必要がある。採用期間中のアルバイトも原則禁止とされている中、ましてや常勤で働くなど論外だ。
意訳するなら「何働いてんねん!生活費出してるんやぞ、しっかり研究せんかい!」ということ。
TA(ティーチングアシスタント)やRA(リサーチアシスタント)など研究に関わる非常勤はこの限りではないが、「常勤及びそれに準ずる職ではないこと」は必須条件。
同会の”遵守事項および諸手続の手引”でも真っ先に「特別研究員以外の身分を持たないこと」と釘を刺しており、例えば筆者だと「〇〇新聞記者 兼 特別研究員 」と名刺の裏に書くのは不可能である。

まずは大学にお電話を

社会人でも学振は申請できる。かといって志望の大学院や研究室を勝手に決めて個人で提出…はできない。志望先の研究室の指導教官から推薦状が必要なほか、大学を通じて申請書を提出するため、電子申請に使用するIDなどが必要だからだ。
これがなければスタートラインにすら立てない。もし博士進学を考えるならば、まず研究室の先生にその旨を伝え、大学の研究協力担当に「ID・パスワード発行申請書」を提出する。書式が分からなければ送ってもらうよう依頼。DCの場合、ID発行申請の締め切りは(おそらく)4月末なので、即連絡したほうが良い。

ただし締め切りには要注意

日本学術振興会の選考日程を見ると電子申請システムの受付が「4月上旬〜6月10日」とある。これは申請書の締め切りが6月10日という意味ではない。あくまで大学が取りまとめて提出する日であり、学振の申請書の提出締め切りは大学・大学院によって異なる。筆者の場合は5月7日が申請書類の提出期限だった。その後、大学事務で記載内容のチェックが入り、修正が必要な場合は差し戻し、同月13日までに対応する…という流れだ。進学先によって学内締め切りは違うので、それぞれで確認しなければならない。要注意だ。
(fisheye)



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