撞着(2015/4)

第七回静的装丁コンテスト、すべて重ねて灯油に浸す

 いつからそこにあったのかまったくわからない。近所にあった工場の、入り口近く地面に浮いていた油のてらてらした光沢がそのまま固体になったようなものが、勉強机の上に載っている。やるはずだった宿題がその下に見える。それを除けなければ宿題ができない。そう思うが、どうにもそれに触れる気がしない。もう一時間もぼんやりと過ごしている。なんだか身体も意識も弛緩しているようだ。それを見ていると、自分がはじめからどこにもいなかったような気がしてくる。

高い壁・五月雨式の手・夕ご飯。挨拶代わりに終のイメージ

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