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映画「沈黙の艦隊」雑感

「沈黙の艦隊」という漫画をご存知ですか?

1988年〜1996年にかけてモーニングで連載していた、かわぐちかいじ作の潜水艦と国際情勢を題材にした漫画です。

タイトルの「沈黙の艦隊」とは「潜水艦戦力」を意味する英語の「Silent Service」の直訳による。

出典:ウィキペディア

今回、約30年の時を経て実写化されました。連載当時、熱心にこの漫画を読んでいた僕としてはとても気になっていた作品です。

ですが、この手の作品は見るべきか結構悩みます。漫画や小説を実写化すると、往々にして設定の変更があります。原作のイメージが壊され、幻滅したことが少なからずありました。

酷かったのが「進撃の巨人」「聖闘士星矢」「北斗の拳」「ジョジョの奇妙な冒険」「ドラゴンボール」。どれも身の毛がよだつ思いがした程のおぞましい作品でした。

設定の改悪、映画版オリジナル化、また合っていないキャスティングにより原作と全くの別作品になっており、見る側としては混乱し幻滅するんですよね。原作を見ていない人にはいいのかもしれませんが。

逆に実写化しても良かったのが「るろうに剣心」「カイジ」「キングダム」あたりでしょうか。中でも「シティーハンター」は最高でしたね。楽しかったし、原作への愛を感じました。

この「沈黙の艦隊」も少々ディテールの変更がありました。賛否両論あると思いますが、瑣末な部分なので僕は許容できる範囲でした。

実際に実写で見る潜水艦が実にカッコいい。真っ黒い巨大な鉄の塊は重厚感と威厳があり、不気味さすら感じさせます。ミリタリーマニアにはたまらんでしょうな。

潜水艦同士の戦いや、アメリカ第7艦隊の攻撃などのシーンは、とても緊迫感があって見応え抜群です。

また主役海江田四郎役の大沢たかおさんの演技がいいですね。背筋を伸ばしてシャンと立っている姿を見ると、僕も姿勢を正さねばと感じました。英語コーチの僕としては彼の発する英語が気になっていました笑。そう言えば映画「キングダム」の王毅将軍役もカッコよかったですね。ドラマ「JIN」あたりからとても演技が良くなった気がします。

さて、この作品の連載が始まった頃は、東西冷戦中だったし、途中でソ連が崩壊してロシアになったし、湾岸戦争もありました。何かと国際情勢が激変した時代で、そんな背景がこの作品に影響を与えています。

それから30年の月日が流れ、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・パレスチナ紛争を代表に世界では戦争が絶えません。世界は相変わらず不安定だし、その中で80年近く戦火が及んでいない国に住んでいるのは本当に幸運だと感じます。

でも、これからもその平和は続くのでしょうか?そのために私たちは何をすべきなのか。

僕がこの原作の漫画を読んだのは学生時代。大学すぐ横にある喫茶店で講義をサボってこの「沈黙の艦隊」を読み耽っていました。

サイフォンで淹れる美味しいコーヒーを飲みながら、マルボロで灰皿を山盛りにしながら過ごした日々。

その喫茶店には仲が良かった教授たちや他学部の学生もよく来ていたので、マスターを交えてよくみんなで議論になりました。みんな暇人だったので何時間も熱く議論しましたね。核武装、日本の真の独立、政教分離、日米安保などなど。

大学っていろんなイデオロギーの人がいるので実に議論が噛み合わず、喧嘩になりそうでよく仲裁に入りましたが、僕にとってはこちらの方が学びの多いゼミ室でした。

そんな昔のことも思い出しつつ鑑賞した映画「沈黙の艦隊」。僕は結構楽しめたのですがラストが少々呆気ない。クライマックスの盛り上がりに欠けました。「え〜、これで終わり?」と思われた方も多いのでは。

できれば上映時間をあと40分伸ばして、第3艦隊との沖縄沖海戦(これがアツい!)まで描いて欲しかったですが、次回のお楽しみとしましょう(あるのでしょうか?)。

原作は32巻あるので、この映画ではわずか最初の3〜4巻位の内容です。と、なると物語を最後まで実写化したら全8、9作の超大作になります。おお、まるでスターウォーズのようだ!僕が存命中に完結するのでしょうか??

ということで映画「沈黙の艦隊」の雑感でした。






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