英語民間試験についての私見②導入に対する反対意見(1)

【英語民間試験導入に対する反対意見】

以下の指摘は全て、日本学術会議 言語・文学委員会
文化の邂逅と言語分科会 の資料から引用しております。

(1) 民間試験を大学入学共通テストの枠組みで実施する上での問題点
①学習指導要領と整合しない試験を共通テストに用いることになる。
②経済的負担が大きく、受験機会の公平性に欠け、地域格差・経済格差を助長する。
③出題・採点の質および公正性の保証が事業者任せになっており、実態が不明である。
④目的も実施方法も異なる試験の点数を公平に評価することはできない。
⑤機密保持や不測の事態への対応が業者任せになっている。

(2) CEFR(欧州言語共通参照枠)を入学試験に用いることの妥当性
CEFR の Can Do 記述文は、詳細にわたって細分化されており、また「これこれのことができる」という非常にゆるやかな判断基準である。これは、言語学習の行程を明確化し、学習者・指導者などが共有するために策定されたものだからである。このようなCEFR の趣旨に照らせば、民間試験の一点刻みの点数と CEFR との対照表を作成し、それによって受験生の英語力を判断することには無理がある。

(3) スピーキング能力を入学試験で計測することの妥当性
①障害のある受験生への対応が、筆記試験に比較しても、非常に困難である。
②受験生の性格などによって不利になる可能性がある。
③公平な採点には大きなコストがかかり、大学の入学試験の規模で必要な人数の有資格の採点者を確保することは困難である。

(4) 各大学の自律的な判断が損なわれる可能性
入学者選抜の方法はアドミッション・ポリシーや教育理念に基づいて各大学が自律的に決定すべきものであるが、国立大学協会の決定はそのような自律的判断を損なう可能性がある。

(5) 英語の「4技能」偏重の問題
外国語教育は、他者理解・自己相対化の礎となるはずのものである。そのような理念を等閑視した皮相の4技能論に基づく教育改革・入試改革は、グローバル化する社会に求められる能力の育成にはつながらない。

以上が指摘されている点になります。

学術的な文献だったので信頼していたのですが、誘導性が高いと思われ、予想以上に補足しなければならない点が多いです…。公平な資料と断言するのは難しいといえるでしょう。

次回、2回にわたって上記指摘の補足をしたのち、私見を示そうと思います。

一般的に大衆を煽るような記事ではなく、読んで頂いた方の判断に資する記事を書きたいので、可能な限り詳細に書きたいと思います。

長くなって申し訳ありませんが、お付き合い頂ければと思います。



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