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腐っても鯛、老いても父

この前地元に帰省したとき、父と2人で食事に行った。僕は、それほど気が進まなかったが、お世話になってるしと思って、食べに行った。

小さな頃から父が嫌いだった。人の話を聞かないし、すぐキレるし、挙げ句の果てには殴ってくる。まあ、酒が入れば面倒臭い。休みの日に出かけることも少なく、家でダラダラしている。そんなこんなで、僕が小学生の頃に父と、母と僕含めた兄妹で別居することになっていた。といっても父は近くに住んでいたので、時々会っていたが。

予備校と大学に行かせてもらっているので、お世話になっているが、それを超えるほどの嫌悪?憎悪?がある。

欠席裁判は良くないので、ほどほどにしておいて、まあそんなギクシャクした関係のままこの前の食事に行った。父は息子と飲むのが嬉しいらしく、気持ちよさそうに酔っていたが、僕としては蟠りがずっとあった。食事もそこそこに帰ろうと思っていたが、スナックに行こうと言い出した。同級生がしているというスナックがあるらしい。

さっさと帰りたかったが、誘いを断るのも野暮だと仕方なく同行した。初めてだったので、知らなかったが、スナックでカラオケがついているんだな。歌え歌えと催促されるから、ママや父が知っていそうな、なごり雪や白い雲のようになどなどを歌った。それに触発されてか、父もいつもより歌ったそう。その一つに野風増があった。そのときは、騒がしかったし、酔ってもいたから、内容は耳に入らなかった。

地元から帰る電車の中で、ふと聞いてみた。感動とは違うが、なんか父親は腐っても父親だなと思った。別に父の想いに気づいて仲直りするとかいうドラマみたいな展開にはならなかったが、まあそれなりに子供のことを考えているのだとしみじみ思った。

青二才ながらも、父親についていろいろ思うところがある若干二十歳です。



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