見出し画像

小さい頃から運がいいのです

運がいいかもと思ったきっかけは、小学1年生のときに住んでいた団地の商店街の福引だった。

一等が1万円。二等か三等が1000円。
親に付き添われて数回引いた福引で、大当たりの鐘が鳴り響いた。

その福引で一度にして見事1万1千円が当たった。

時は1980年代半ばでバブル前。親が質素倹約に一生懸命だった時期の出来事だった。

「いちまんえん♡」という響きは何か違うということは小学1年生ながらわかっていたし、何より一緒にいた親が目をまんまるくさせて、ウッソーと圧倒されていた。

親をこんなふうに驚かせたのは思い出せる限りこれが最初で、この後も私の人生の節目節目で何度かあった。

しばらくして、商店街でその1万1千円を使って新品のエメラルドグリーンの自転車を手に入れた。恥ずかしくも我慢して使っていた兄のお古のボロボロの自転車から卒業できて鼻高々だった。自分の手で手に入れたという自尊心もその後の独立心につながっている。

福引が大当たりしてから、私は運がいいんじゃないかと自惚れるようになったけど、その自惚れはことごとく打ち砕かれた。福引があると親は私のくじ運に賭けて何度か私に引かせてくれたけど、親を小躍りさせることは一度もなかった。逆にがっかりさせて場の空気が悪くなることばかりだった。

神様は邪心を察するのか、それきり福引でも宝くじでも大当たりしたことは一度もない。無邪気な人が当たるようにできているのか。下心はないに尽きるのだろうか。振り返ってみると、私に起きる幸運はいつも純粋で真っ直ぐなときに起こっている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?