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フィルム・コミッション直送便(70)【あってはならないこと】

コロナウイルスの影響は地域経済だけでなく、人の心にまで悪影響を及ぼすのか?という話です。「やはり県外から来ると地域から疎ましく思われるようです。」そんな話を聞いて思うのは「メディアリテラシー」が左右しているということです。リテラシーとは調べると「読解力、記述力」と訳されますが、意味は「目的に応じて適切に収集、取捨選択、発信する能力」です。それがメディアリテラシーになると「メディアから得る情報を鵜呑みにせず、見極める能力。根拠を確かめたりする力」となるそうです。一言で言えば「情報を鵜呑みにしない。」となります。

地域を訪れただけで「コロナウイルスが感染(うつ)る。」とか「外の人が利用すると風評被害があるから遠慮してほしい。」「感染者と接したら地域で暮らしていけない。」などを聞くと胸が痛みます。明らかにメディアリテラシーの不足で、これは情報や現状が届きにくい所に行けば行くほど顕著な気がします(私見です)。互いが顔見知りによって保たれている「安心・安全」が外部の人によって危険にさらされる、と、過度な意識ですが、感染は人だけでなく動物や触れたモノなどでも経由して起こります。この時期に訪れる撮影隊の多くは基本的に感染拡大防止対策をしていますし、FCもガイドラインを提示しています。全ての撮影隊と言えないのが残念ですが。

現在、コロナウイルスの影響から離島での撮影はご遠慮いただいています。離島ではコロナウイルスに感染した場合に対応できる病院・病床が(ほぼ)ありません。そして島で暮らす多くは高齢者の場合が多く、なおかつ人口が多くないため、離島でコロナウイルスが感染拡大すると島にとっては死活問題に直結します。これらの事情から、離島での撮影は遠慮もしくはお断りしています。

「シトラスリボンプロジェクト」をご存知でしょうか?
コロナ禍で生まれた差別、偏見を耳にした愛媛の有志が、愛媛特産の柑橘にちなみ、シトラス色のリボンなどを身につけて、「ただいま」「おかえり」の気持ちを表す活動を広めています。リボンなどで表現する3つの輪は、地域と家庭と職場、学校を意味しています。
ウェブサイトには以下のような一文があります。
---感染者が「出た」「出ない」ということ自体よりも、感染が確認された“その後”に的確な対応ができるかどうかで、その地域のイメージが左右されると、考えます。 コロナ禍のなかに居ても居なくても、みんなが心から暮らしやすいまちを今こそ。 コロナ禍の“その後”も見すえ、暮らしやすい社会をめざしませんか?---

私はフィルム・コミッションとして県外の人と接することも多いですが、偏見や風評は撮影隊だけの話ではありません。情報を鵜呑みにして自らの考え、判断を放棄してはいけません。注意を払いながらも地域で暮らし続ける私たちから誤解や偏見、風評を払拭していきましょう!

ジャパン・フィルムコミッション
https://www.japanfc.org/

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