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『ロビン・フッドの生涯』(1600年頃)

ロビン・フッドはヨーク州のロックスリー、もしくは他の者たちによれば、ノッティンガム州でヘンリー2世の時代、1160年頃に生まれ、リチャード1世の時代の末期まで生きていた。彼は高貴な血筋であったが、暴動に加担したせいで相続した財産を失うか売るかして借金のために無法者になった。同じような境遇の多くの強健な者たちが彼のもとに集まった。その中の1人はリトル・ジョンと呼ばれていて主要な人物、もしくは彼に次ぐ人物であった。彼らはバーンズデールの森やクロプトンの御料林の周辺やその他の場所で狩りをした。彼らはほぼあらゆる弓術を駆使した。彼らはその術においてこの地の誰よりも優れていたが、臨機応変に他の武器も使うこともあった。

彼の最初の功業は、森に深く分け入って、あまりに強大な弓を持って行った時のことである。彼は王室森林保護官や木こりの一団と遭遇した。彼らは、誰も使えそうにない弓を使っているところを見せてみろと口論を彼にふっかけた。そこでロビンは、ロックスリーにはもっと強い弓が2張あって、今持っている弓は鳥を射るためのものにすぎないと答えた。言い争いが長引いて加熱したせいで、はるか遠くにいる鹿を殺せるか賭けることになった。その余興としてロビンはいくばくかのお金に対して首を賭けることを申し出た。他の者たちは軽はずみな言動をすぐに利用した。

的が見つかった。彼らの中の1人は、彼が射ようとした時に心を惑わせたり手元を狂わせたりしようと、もし的を外したら首を失うことになると煽り立てた。鹿を殺せたにもかかわらずロビンは、弓を射つ時に頭を失うことになると危機を煽った者を除いて全員にお金を返した。それから彼は、一緒に飲もうと彼らに言った。ただ腹に一物を抱える者たちがいて、口喧嘩から戦いに発展した。しかし、ロビンは彼らから少し離れると、矢を放って彼らを片付けて追い払った。それから彼は略奪によって森の中で暮らし始めた。

彼の仲間は150人まで増えた。その頃、彼らは好まれるか好まれないかにかかわらず、無敵だと思われていた。そして異常な強さと勇気を持つ者がいると聞きつけると、彼は物乞いに身をやつしてその者に会いに行った。その者に戦いを挑んだ後、彼の流儀に従って暮らすように説得する術を見つけるまで彼はその者を諦めようとしなかった。そのようにして彼が仲間にした者たちには、ウェイクフィールドのピンダー、マッチェルと呼ばれる修道士がいる。ある者が言うには、その修道士は信心深い者とは言えない。というのはその修道士は戒律など意にも介さなかったからだ。

こうした機会にロビンが誘い入れたスカーロックと出会ったのはある日のことだ。その日、スカーロックはひとりで意気消沈した男のように歩いていた。結婚するはずだった乙女が彼女の友人たちによって力ずくで彼のもとから連れ去られ、年老いたお金持ちと結婚させられようとしていたからだ。結婚式の日取りを知ったロビンは物乞いに変装して教会に行った。仲間たちはほど近い場所に待機させておいた。彼の角笛の音を聞けば彼らはすぐに駆けつけることになっている。彼は手を結んで結婚しようとしていた者から花嫁を力ずくで奪った。そして、聖職者にスカーロックと彼女を結婚させた。

他に彼の親友となったのは、ランカシャー州の騎士であり某城の主のリーのサー・リチャードであった。この頃、ロビンと仲間たちは盗みや略奪で暮らすのが流儀であった。ただ彼は少しばかり信心深く迷信もあったが、すべての聖人の中で聖母マリアを最も崇拝していた。そのため誰かが聖母マリアにかけて彼に義務を果たすように求めると、彼はできるだけそれを実行しようとした。また彼は、自分に属する者たちの誰にも女や貧しい男、もしくは小作人を侵害させようとしなかった。すべての企みは、太った司教や聖職者、修道士などに向けられていた。ジョン・メジャーによって、彼はすべての盗賊たちや強盗たちの主だと評されている。

それは、念願の獲物を捕まえるために彼がリトル・ジョン、スカーロック、そしてタックをワトリング街道沿いのセイルズに送った時に起きた。獲物が彼らの手中に落ちると、森の中へ、そして彼らのねぐらへ導かれる。そしてもてなしを得られると思いきや、食べ終わった後、食事代として持ち物を剥ぎ取られてたくさん払うはめになる。

彼らはサー・リチャード・リーをそのように扱おうとして仲間たちのもとへ導いた。仲間たちはサー・リチャードに最高の椅子を勧めた。サー・リチャードが感謝の言葉だけで去ろうとした時、ロビンは、代金として何か物を取らずに食事をするのは自分の流儀ではなく、出発する前に他の者たちがしているのと同じことを自分にするべきだとサー・リチャードに言った。

騎士は、10シリングしか持っておらず、それはブリスかダンカスターで勘定を支払うための分となるはずだったものであり、もし何も持っていなくても、出発する時にできるだけ同様のもてなしで報いることを約束して別れを告げていたはずだと言った。

納得できなかったロビンは、騎士を調べさせたが、見つかったのは騎士が言ったとおりのものだけであった。そこで彼は騎士の誠実なふるまいを褒めて、どうして悲しく憂鬱な様子なのか説明するように求めた。騎士は自分の地位や先祖のこと、そして自分の息子にして相続者がランカシャー州の騎士と仲違いして演武場で殺してしまったこと、さらにその他の行動によって命を失う危機にあるとロビンに語った。解放してもらうためには莫大な請求を支払わなければならず、城と身代を担保にしてヨークにある聖マリア修道院の副長から400ポンドを借りるしかなかった。指定された日に返済すべきお金が足りない場合、地位と投資の見返りに修道院副長とつるんだ主任判事がそれと引き換えに身代を差し押さえようとしているので、騎士はすべてを取り戻せないのではないかと絶望していた。騎士の事情を哀れに思ったロビンは、持っていた略奪品と財産から400ポンドを与えた。そして、聖母マリアに誓って12ヶ月後の返済が約束された。

彼らは騎士に服を与えた。彼が服をすっかり擦り切らせていたからだ。不名誉のせいで彼はすぐに海を渡って、エルサレムに向かう悲しげな巡礼者として余生を過ごすつもりだった。修道院副長が指定した日が迫るにつれて彼は絶望していたが、希望を取り戻した。

州の有力者たちが騎士の土地について協議して自分たちの取り分を数えていたところに騎士がやって来て、まるで借金を支払うためのお金を求めているかのようなふりをして慈悲を乞うた。同情の証がないことを知ると、彼はお金を彼らに渡して土地を取り戻した。返済に加えて彼は修道院の保護を申し出た。

12ヶ月の期限が切れる前にサー・リチャードは400ポンドを支払おうと、ロビン・フッドに贈るつもりの100束の良い矢を持って出発した。サー・リチャードは高額な賭け金をめぐってレスリングをしている人々に道中で出会った。騎士は事の推移をじっと見ていた。若い男が勝った。しかし、それを羨んだ他の者たちは、その男が貧しく孤独であるという理由で結託してその男に不正を働こうとした。騎士は割って入ってその男を救った。そして別れ際に5マーク[3と3分の2ポンドに相当する]を与えた。

あらゆる優れた射手が日取りを決めてノッティンガムの近辺で莫大な賭け金をめぐって弓競べをすることになった。代官自身が競技に見に来る予定になっていた。今や代官はロビンとその仲間たちにとって残忍な敵となっていた。彼には強い悪意があった。そこでいろいろと調べるためにリトル・ジョンが送り込まれた。リトル・ジョンは変装して射手たちの中に紛れ込んだ。リトル・ジョンがうまく矢を放ったので、代官はリトル・ジョンこそ最高の射手に違いないと判断して家来にならないかと求めた。そこでリトル・ジョンは代官とともに屋敷に行って、レノルド・グリーンリーフと名乗ってホルダーネスの生まれだと代官に言った。

リトル・ジョンは代官に悪さをする機会をうかがっていたが、代官が狩りによく行く場所を探り出すと、何らかの方法でロビン・フッドと仲間たちが近くで待機できるように手配した。ある日、代官と家来たちは狩りに出かけた。リトル・ジョンはわざと後に残って仮病でベッドに寝ていた。それからリトル・ジョンは起き上がって、家令に食事について聞いた。すると家令は罵りの言葉とともに、主人が帰るまで食事を与えられないと拒んだ。そこでリトル・ジョンは家令をぶちのめして貯蔵庫に入った。とても頑健な料理人はリトル・ジョンと長い間戦った後、一緒に森に行くことに同意した。2人は屋敷を荒らして代官の財貨をことごとくロビン・フッドのもとへ持ち去った。

それからリトル・ジョンは代官のもとへ行った。代官は何も疑わずに家来たちの中からリトル・ジョン1人を選んで狩りに連れて行った。リトル・ジョンは、それほど遠くない森の中で最高の鹿の群れを見たと代官に言った。その群れは140頭からなる。リトル・ジョンはそこへ代官を連れて行けるという。面白そうなことを聞いて喜んだ代官は、リトル・ジョンと一緒にロビン・フッドとその仲間たちがいる場所まで来てしまった。彼らは代官をねぐらに案内して、リトル・ジョンと料理人が持ち去った代官自身の皿で食事やその他のものを提供した。その夜、彼らは代官を自分たちと同じように緑色の外套で身を包んで地面に寝かせた。翌日、彼らは、自分たちを追い回さず、できるだけ助けるようにすると代官に誓わせてから送り出した。しかし、代官は誓いを守るどころか何も言及しなかった。

その後、リトル・ジョン、スカーロック、そしてその他の者たちは旅人の一団を探しに送り出された。もし彼らが貧しければ持っているものを何か与えて助けてやり、もし金持ちであればそういう場合によくあるような方法でもてなしてやる。バーンズデールの路上で彼らは、良い馬に乗り50人のお供を連れた黒衣の修道士たちに遭遇した。ロビンが聖母マリアを深く崇拝していたので、獲物が彼らの手中に入ると、彼らは聖母マリアがそれを遣わしてくださったと言う。

それゆえ一団を見つけた時、リトル・ジョンは、仲間たちを対決に駆り立てるためにそのような格言を嬉しそうに使った。リトル・ジョンは、自分たちは3人しかいないが、もしおまえたちを彼のもとへ食事に連れて行けなければ頭に合わせる顔がないとやって来た修道士たちに言った。修道士たちが逃げようとすると、ジョンは、彼の仲間たちが食事をせずに待っているととがめるように言った。そこで修道士たちは彼の名前を聞いた。リトル・ジョンは、彼の名前はロビン・フッドだと言った。修道士は、彼は極悪の盗賊であり良い噂を聞いたことがないと怒って答えた。リトル・ジョンは、彼は森の自由民であり、修道士たちに食事に来るように命じていると反抗的な態度で答えた。争いは言葉から殴打に発展した。彼らは1人か2人ばかり殺すと、修道士たちを頭のもとに無理矢理連れて行った。ロビンは修道士たちに丁寧に挨拶した。しかし、強情な修道士は同じように挨拶しなかった。ロビンが角笛を吹くと、仲間たちがやって来た。そして全員で食事をした。それからロビンは、どこの修道院の者だと聞いた。修道士は、聖マリア修道院の者だと答えた。

騎士が400ポンドを支払った修道院と同じ修道院であった。そのお金は、土地を取り戻すために騎士にロビンが貸したものだった。これを知ったロビンは冗談の種にし始めた。すなわち彼は、聖母マリアが自分と騎士の間の借金の保証人になったにもかかわらず返済のためにまだ誰も遣わしていないことに驚いている。リトル・ジョンは「お頭さま、心配しないでください。この修道士がお金を持って来たとわざわざ言う必要さえありませんよ。誓って言いますが、なにしろ彼は聖母マリアの修道院の者ですから」と言った。ロビンはワインを取り寄せて修道士に飲ませた。そしてお金を持って来ているか見せるように求めた。修道士は、そのような契約に関する話など聞いたことがないと言ったが、ロビンは彼を押さえつけた。ロビンはとぼけた。すなわち、キリストとその母が公正だとわかっているし、自分は彼らのありふれた召使いであり使者であるし、求めれば必ず与えられるとも言うので、ちょうど良い日に彼が来たことに感謝しているという。修道士は抵抗を続けたが、ロビンはいったいいくら持っているのか聞いた。修道士は「20マーク[14と3分の2ポンドに相当する]しか持っていない」と答えた。ロビンは「ではもし我々が余分なお金を見つけたら聖母マリアが送ったものだとして没収するが、修道士が自分で使う分は没収しない」と言った。修道士の荷物を探るためにリトル・ジョンが送られた。すると800ポンドも見つかった。

リトル・ジョンはそれを仲間たちへ説明して、聖母マリアはお金を倍にして返済してくれたとロビンに言った。ロビンは「ああ、修道士よ、私は聖母マリアがどれだけ信頼できる女性なのかおまえに教えたぞ」と言って、ワインを取り寄せて修道士に飲ませた。さらにロビンは、もしロビン・フッドが必要であれば、きっと気前の良い対応で感謝することになるだろうから是非とも聖母マリアに自分を推薦してほしいと修道士に言った。

それから彼らは他の馬の積荷を探った。修道士は、飲み物を与えた者を殴ったり縛ったりするのは無礼だとロビンに言った。するとロビンは「ほとんど何も残さないのが我々の流儀だからな」と言った。急いで立ち去ろうとした修道士は、ブリスとダンカスターで食事をしておいたほうがうまく安くすんだのにと言った。出発しようとしている修道士にロビンは呼びかけて、修道院や他の尼僧院にも彼のような修道院を食事のために毎日でも寄越してほしいと伝えておいてほしいと言った。

ほどなくして騎士が1日を過ごそうとやって来た。挨拶の後、騎士はお礼の20マークを足してお金を返そうとした。ロビンはお金を騎士に返して、聖母マリアがどのようにして修道院の貯蔵庫の番人を遣わしたのか説明して、お金を二重取りするのは不面目だと言った。しかし、ロビンは弓矢を受け取った。ロビンはその代わりに400ポンドを騎士に分け与えた。

代官は、銀の矢を賭けて弓競べをする日が来たと宣告した。大胆にもロビンは装備をすべて持ってそこに乗り込むことにして、仲間たちの中から一緒に弓競べに参加する者を6人選んだ。残りの者たちは割り当てられた場所に立った。リトル・ジョン、ロビン、タック、スカーロック、ギルバート、そしてレノルドが射た。ロビンが賞品をすべて獲得してしまったので代官と家来たちは文句を言い始めて戦いになった。戦いが長く続いたせいでロビンと仲間たちは代官の装備をほとんど破壊してしまった。

戦いの中でリトル・ジョンは膝に矢を受けて負傷した。そして歩けないので、代官の手に落ちないように殺してほしいと仲間たちに頼んだ。ロビンは全イングランドと引き換えでもリトル・ジョンを失うわけにはいかないと断言した。そこでリトル・ジョンを背負って行くようにタックに命じられた。タックはしばしば休みを入れながらとても苦労してリトル・ジョンをサー・リチャードの城まで運んで行った。騒動の後、ロビン自身と他の仲間たちはサー・リチャードの城に足繁く通っていた。彼らは喜んで迎えられ庇護された。城主は、王の思し召しがわかるまで誰も引き渡さないと峻拒した。

代官はロンドンに行ってすべての経緯を王に伝えた。王は代官に戻ってその地方で兵を募るように命じて、2週間後、事態を決裁するために自らノッティンガムに赴くと言った。その一方、リトル・ジョンは負傷から回復して、彼らは森に戻った。

それを聞いた代官は気分を大いに害して、彼らを庇護した罪でサー・リチャード・リーを逮捕するためにあらゆる手段を追求した。そして気づかれずにサー・リチャードをずっと監視して、サー・リチャードが鷹狩に出た時、家来の力を借りて奇襲を仕掛けてノッティンガムの独房に押し込めて絞首刑にしようとした。騎士の奥方は馬に乗って急いでロビンのもとに向かい、騎士の苦難を告げた。ロビンは代官を急いで追跡した。そしてノッティンガムで代官に追いついて、どのような言葉を王から受け取ったのか質問した後、矢で殺して首を切り落とした。それは彼らが代官を森で放逐した後、代官が交わした約束を破ったせいであった。その後、彼らは代官を投げ捨てて騎士の縛めを解き、武器を与えて、森に連れて行った。彼らは王の赦しを得るためであればどんな手段でも使うつもりであった。

王はたくさん手勢を引き連れてすぐにノッティンガムにやって来て事情を把握した。騎士の身代を手中に収めると、ランカシャー州のすべての森を探索しようとプロンプトンの御料林にやって来た時、王はすべての鹿が殺されているのを知って激怒した。王はロビン・フッドを行方を探すとともに、サー・リチャード・リーの首を持って来た者にその土地をすべて与えると布告した。

王はノッティンガムに半年ほど滞在したがロビンについてまったく聞かなかった。ロビンが聖職者に強い敵意を抱いているという助言を受けた王は、修道士の服を着てわずかなお供とともに旅人のふりをしてロビンの逗留先と思われる場所に向かった。彼らが馬に乗ってやって来るのを見たロビンは王の馬を掴むと、王の姿を見て修道院長だと思ってそれなりのお金を求めた。しかし、王はノッティンガムに2週間滞在しただけで莫大な費用を求められたと弁解して40マーク[29と3分の1ポンドに相当する]だけロビンに渡した。それを受け取ったロビンは、仲間たちに分配して王に一部を返した。王はそれを善意だと解釈して国璽を取り出すと、王がロビンを歓待しようとしていてノッティンガムに来るように命じていると伝えた。するとロビンは跪いて修道院長に感謝した。というのはロビンは、あらゆる者の中で最も敬愛する者からの言葉を伝えてくれたのは他ならぬ修道院長であると思ったからだ。ロビンは、労に報いるために食事をともにしたいと王に言った。

ねぐらに戻ると、ロビンは角笛を吹いた。すると頭に忠実な仲間たちがやって来た。王が驚いたのを悟ったロビンは、最高の仲間たちとともに自ら給仕を務めて、王のよしみで歓迎すると言った。それからロビンは、彼が王に伝えられるように、彼らの暮らしと射撃の技量を見せた。そして弓競べにおいて花輪の一つを射る者にその者自身を罰金代わりに差し出させて、修道院長に思う存分に殴らせることにした。修道院長が戒律に反すると言ってその者を殴るのを拒んでも、ロビンは修道院長がその者を思う存分に殴って地面に倒すまで止めさせようとしなかった。ロビンは修道院長を賞賛した。しかし、その後、仲間たちが失敗すると、ロビンは自分で彼らを殴りつけた。王にどのように思われているか悟ったロビンは、サー・リチャードと仲間たちとともに跪いて赦しを乞うた。王は、宮廷で仕えるという条件で赦しを与えた。ロビンは、王と仲間たちにリンカン産の緑色の外套を着せると、ノッティンガムにともに向かった。王は無法者たちの1人に見え、演武場でともに弓競べをした。ロビンはしばしば王を殴った。人々は、ロビンと仲間たちによって皆殺しにされるのではないかと思って逃げ去った。王が正体を示して彼らをなだめると、すべての者たちが喜んだ。すべての者たちのために盛宴が開かれた。サー・リチャード・リーは土地を取り戻した。ロビンはそれに対して王に恭しく感謝を述べた。それからロビンは1年間宮廷に住んだ。浪費のせいで彼と仲間たちを養うお金がなくなってしまった。そこでリトル・ジョンとスカーロックを除いく全員が彼のもとから離れた。若者たちが弓競べをするのを見た彼の心にそのような訓練からどのくらい離れていたのだろうかという考えが浮かんだ。彼はとても悲しくなって、どうすればここから去れるのか考えた。そこで彼は、マグダラのマリアのための教会をバーンズデールに建てるという夢を見て悩んでいるので裸足で巡礼に出る自由を与えてほしいと王に言った。王は行き帰りに1週間の休暇を与えた。しかしロビンは古い装備を集めると、行ったきりで宮廷に戻らなかった。その後、彼は20年の人生を過ごすと、寒けと老齢で不調を覚えたばかりか四肢に強い痛みを感じたので瀉血してもらうことにした。瀉血で痛みを和らげようと、彼はカークスレーの尼僧院副長のもとへ行った。尼僧院副長は彼の叔母であったと言う者もいる。彼女は薬の知識と外科術に優れていていたが、相手がロビン・フッドだと知ると、ロビンが聖職者を敵に回していたことから、彼女自身の家系とその他の者たちのために、死ぬまで血を流させて復讐した。彼女は街道の脇にある大きな石の下に彼を葬った。ダンカスターのサー・ロジャーなる者が何らかの侮辱が原因でロビンに対して積年の恨みを抱いていて、親密な関係にある尼僧院副長を唆してそのような方法で彼を殺害させたとも言われている。彼の仲間たちはすぐにばらばらになった。今日、リトル・ジョンの埋葬地は、すばらしい砥石の産地としてよく知られている。

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