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「定年後にもう一度大学生になる」

「定年後にもう一度大学生になる」(瀧本哲哉 ダイヤモンド社)

59歳で京都大学経済学部に入学した著者による、定年後の学び直しの勧めの本。大学で学び直す人は増えてはいるが、多くは大学院であり、大学入試を突破して学部から学び直す人はなかなかいない。その熱意に脱帽である。また「もしいま大学一年生になったら」と考えるのは、読者にとってもいろいろ世界が広がる。経済的な問題や親の介護など、現実的な問題を考えるとなかなか実行に移せる話ではないが、定年後にやるべきことを考える上で非常に面白い本である。

著者は、卒業に必要な単位の1.4倍の単位を取得したり、勉強を純粋に楽しんでいて、うらやましいと思った。「家族をどう説得すべきか?」については、家族の状況はそれぞれであり、この著者は親の介護の問題などを何とかクリアしていた。ご本人も努力されているが、幸運な面もあったのだろうと思う。

「入試をどう突破すればいいのか?」という疑問に対しては「人生経験が得点につながる科目を選択する」(118ページ)、「予備校の模擬試験をフル活用する」(123ページ)など、高校生とは違って社会経験があって時間が限られている著者ならではの受験勉強のテクニックも載っていて、面白かった。

後半は具体的な参考書がいろいろ紹介されていて、またNHKの高校講座などの活用の話も載っていて、参考になった。

大学を活性化させるために、多様な学生が入ってくることが重要であり、定年後の大学入学も非常に面白いと思う。ただ、もし可能であれば、海外の大学に行けたらもっと楽しいだろうなと思う。お金の問題や子育ての問題があって難しいだろうけれど。

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