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現場主義の誤謬

「現場の声を直接聞きたい!」、そう宣言して頻繁に現場〜製造業なら工場に、サービス業なら店頭等を訪れて、問題や改善提案を聴き回る経営者(リーダー)がいます。現場視察の後に社員との懇親会。ここで和気藹々と呑みながら更に現場の人たちの意見を聴取する。すると「ウチの社長は現場末端の声を積極的に拾い上げてくれる。とっても話しやすい」と現場の人たちに人気が出ます。社内融和が進んだ感じがして心地よいです。でも待ってください!経営者の仕事は現場で聴いた諸問題を本社に持ち帰って、問題を生じさせる背景を深〜く掘り下げ、根本の原因を追求し改善していくことですよね。

現場で聴けるのは往々にして「その場の雰囲気でランダムに抽出された個別の問題」です。別の言葉で言うと「問題と思われる現象の数々です」。例えば商品売上が予算に達成しないという「問題」が生じます。営業マンの顧客アポイント数は十分あるのに商品が売れない。売れない理由はデザインでしょうか? もう旧くなった商品仕様でしょうか? それとも営業マンの給与体系でしょうか? 経営者は仮説を立ててそれらを検証していきます。検証の結果、原因が経営者の能力不足に行き着く場合があります。その場合はどうするか? 右腕となる優秀な参謀を見つけてきて一定期間問題解決に当たらせてみる。或いは経営者自身が交代することが正解かもしれません。

経営者は社員と仲良くするのが仕事ではありません。

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