見出し画像

レスター第7週 FIFAの歴史やスポーツと政治の関係、そして大学の後輩だけど人生の大先輩の授業など

私が現在FIFAマスターで学べているのは辻翔子さんの存在無くして考えられないのですが、その辻さんが講義のためレスター を訪問してくださりました。詳細は後ほどお伝えしますが、同じ日本人として誇らしかったです。ひとまず今週は教室での授業のみだったので写真が非常に少ないことをご了承ください。

まずはオリンピックと国際サッカー連盟(FIFA)の歴史的出来事をその前後関係と紐付けながら学んだのですが、FIFAを4つの時代に分けました。

1. FIFA創設(1904年〜)現在ほど資金的な体力が無かったFIFAは加盟国の「登録料」と「各国際試合のチケット収入の1%」が収入源でした。そして1912年のストックホルム五輪からFIFAがサッカー競技を運営することになり、その人気ぶりから1930年にW杯を創設。
2. サッカーの本格的な国際化(1930年〜1974年)第2次世界大戦や各国の独立運動などで世界情勢が大きく変わりゆく中、サッカー人気は世界中で高まり、特に1950年ブラジル大会での大きなチケット収入を得ます。他にも1970年代初頭におけるアディダスとの関係構築や、テレビ放送権を確立することで強固な財政基盤を築きました。
3. アベランジェとブラッター両会長の栄枯盛衰(1974年〜2015年)その圧倒的なビジネススキルで「1国1票」というFIFA会長選で圧勝した故ジョアン・アベランジェ氏が会長に就任。それまでの欧州中心だったサッカー界の扉をアフリカとアジア諸国にも開き、サッカーを世界中に広げます(=ビジネスを展開)。同氏と良好な関係を築いていた日本サッカーもワールドユース(現U-20W杯)やW杯の出場枠拡大など多くの恩恵を授かりました。そしてFIFAはゼップ・ブラッター氏が会長の座を継いでからも更なる成長を続け、世界各国におけるサッカー環境の整備にも注力し始めます。しかし組織の肥大化に伴う不正も露わになり始めました。
4. FIFA汚職スキャンダル以降(2015年〜現在)多くのパートナー企業との契約が打ち切られ、インファンティーノ新会長は逆風の中での船出となりました。W杯の出場枠をさらに32→48国に広げる構想など、今後のサッカー界はどのように発展するのか。

授業の終わり際のこぼれ話では、故アベランジェ元会長は毎年クリスマスにFIFA従業員の職位を問わず全員と合同のクリスマスパーティを開催し、同じプレゼントを贈っていたそうです。ただ、ブラッター前会長とインファンティーノ現会長は職位別にクリスマスパーティを開催し、プレゼンントの内容も異なるとのこと。

これが何を意味するのかを各自考えてみようとなり、私は故アベランジェ氏は組織全体への目配ができてかつ太っ腹、ブラッター氏とインファンティーノ氏はより細やかに各員と接しているのかと思いました。皆様はいかがでしょうか。

そして大学の後輩かつ、妻の同級生でもあり、私の脱サラ⇨FIFAマスター留学に大きなキッカケと勇気を与えてくださった辻翔子さんがアジアサッカーや現在勤めているMyCujoo社の理念や活動について講義をしてくださいました。事前に同級生から辻さんについて聞かれた時は「マジやべぇから」と伝えていた自分の語彙力の無さが恥ずかしくなるほど講義は熱く、同級生たちからの質問にも実体験を交えて的確に答えていてカッコ良かったです。

画像1

「世界中で行われているサッカーの試合の9割が放送・配信されていない」という課題の解決に世界中を駆け回っている辻さん(という印象を勝手に抱いています)。授業後のパブ⇨ピザ屋にもクラスの約半数が同席し(過去最多)、辻さんも多くのメンバーと話すべく積極的に席を移動されていて、大学の後輩だけど人生の大先輩であるそんな辻さんを遠くから「すげー、辻さんみたいになりたい、ならなきゃ」と思いながら眺めていました。

スポーツと政治の関わりについてはイスラエルの「ベイタル・エルサレム」というチームにまつわる映画を鑑賞し、意見をぶつけ合いました。とはいえ、スタジアムでの政治活動などが禁じられている日本出身の私にとっては頭で理解しようとしても、心の底からは理解することができませんでした。

そもそも日本では多くのJリーグクラブが企業の実業団、教員チーム、もしくは市民クラブです。それに対して世界には政治政党や宗教の宗派から発生したチームが多々あります。そしてサッカーは敵対する組織との優劣を示す格好の「装置」であり、時に感情が高まり過ぎて暴動に発生しかねないとのこと。

また、旧ユーゴスラビアについても学びました。私は学生時代からJリーグファンにとってはお馴染みの「ピクシー」ことストイコビッチ氏や、ジェフ千葉や日本代表監督を務めたオシム氏などについての書籍を読んでいたので知っている内容が多かったものの、改めて日本の外でも旧ユーゴスラビアの悲劇について学ぶと心が痛かったです。

前職がレッドスター・ベオグラード職員だった同級生からは「スタジアムで暴動が起きたりしてUEFAから制裁を受ける度に勘弁してほしいと思ったけれど、こればかりは仕方ない」との「仕方ない」に文化の違いというのか、どうしようもできない壁なのか、隔たりを感じつつ、家族とビールを飲みながら平和に観戦できるJリーグは最高だと改めて思いました。

そして旧ソビエト連邦がアイスホッケーで世界を席巻していた時代を描いた「レッド・アーミー」も見ました。こうも授業で濃いドキュメンタリーを見ては、その直後に世界中から集まっている同級生たちと意見を交換できて幸せだなと思いつつも、自分はどれほど幸せな環境で好き放題にサッカーを楽しませてもらえたのかととも実感。

画像2

先生がオススメするレスターのフィッシュ&チップスの名店を訪ねました。写真に写っている物は全て小サイズで、左端の同級生がジャンボサイズに挑戦して撃沈。私は高校時代にラーメン大食いに失敗した経験があるので挑戦は控えました。やはり食事は腹八分目が一番ですね。

また、3週間前にフルコートのサッカーで両膝を痛めて以来のフットサルをしました。朝夕は5度前後と寒く、かつ雨も続いている日々で久しぶりに汗をかいて気持ちが良かったです。そして来週末はリバプール大学院のサッカー産業MBAコースのみなさんとの交流戦があるので楽しみです。

ラグビーW杯決勝はイングランド人の同級生と寮でテレビ観戦していたのですが、ご存知の通りイングランドは敗れ準優勝。彼とは以前「フットボールっていかに負けるかが大事だよね」という話で意気投合し、地域リーグの魅力についても語り合った仲です。

そんな彼に試合後どのような言葉をかければ良いのか分からなかったので、昨年のロシアW杯で学んだ「試合に負けたらOasisのDon't Look Back in Anger」を実行。とてもしんみりしましたたが、これもまたスポーツの魅力だと再認識した週末でした。

ちなみに私の大学時代の同級生が日本戦や決勝戦を含む10試合を観戦し、4年後のフランス大会の現地観戦を模索中だと伝えたら「正しい人生の送り方だよね」とのことでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?