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スポーツ法学@オンライン第3週 シーズン延長だと契約満了日も延長するの?クラスメイトが食糧支援を始めました

オンラインでの授業にも慣れてきた第3週では選手とチームの雇用関係に関する講義が中心でした。とはいえ金曜日の授業後には学校側から7月中旬の卒業まで全ての講義がオンラインで実施されるとの連絡が。そしてクラスメイトが食糧支援を目的とした寄付型クラウドファンディングを立ち上げました。

コロナ禍における契約日の扱い

シーズンが秋に開幕し、春に終了する国々において選手の契約期間は7月1日から翌6月30日までのケースが多いです。そして大会カレンダーも6月30日までに終了するよう設定されています。

しかし、現在中断されている大会の再開が7月1日以降になると、6月30日で契約が終了する選手は試合に出場できません。また、7月1日に別チームへの移籍が決まっている選手は、その移籍先で出場しなければいけないのか。

このような状況下においてFIFAが声明を発表しました。

まず大前提として、チームと選手間の契約事項については、チームが所属する国の労働法に準ずること。その上で、先に述べた契約日などを以下の様に調整してよいとのことです。

(1)既存の契約の終了日は、新たに設定されたシーズン終了日まで延長してよい。
(2)新たな雇用契約の開始日は、新たに設定されたシーズン開幕日まで後ろ倒ししてもよい。
(3)既存のチームAでの延長された契約終了日が、新規契約先であるチームBでの契約開始日と重なる場合には、チームAでの契約が優先される。
(4)上記(2)において前所属先への契約解除金(移籍金)の支払い日も後ろ倒しとなってよい。

ざっくりまとめると、コロナウイルスの影響を受けてシーズンを終了できていないチームに所属する選手たちの契約スケジュールは新たなスケジュールに則るべきとのこと。

FIFAに強制力は無いとはいえ、どのリーグやチームも上記に倣って選手の契約日が調整されるかと思います。逆にしないと問題が多発し、誰がどこでプレーできるのか訳が分からなくなってしまいます。

選手たちに強いられる我慢

他にもチームと選手間の契約内容の変更(期間短縮、減給など)がチーム都合で一方的に実施される可否も、該当チームの国の労働法によって分かれます。とはいえ仮に選手はチーム側から不可解な減給を命じられても、練習を無断欠席などはしない方が良いとのこと。なぜなら裁判で争わなければならない場合に少しでも有利な材料を揃えておくためです。

メッシなどごくわずかな世界のトップ選手であればチームと法廷で真っ向勝負ができる可能性はありますが、大多数の選手はそうではありません。そのため選手たちは可能な限り、無断でチームに反するような行動は控えた方が良いとのことでした。

狙われる選手たち

FIFPro(国際プロサッカー選手協会)の方の講義ではチームがコロナ騒動による経営難で倒産してしまった場合には、減給どころか失業する選手が続出するという今後起こり得ることについて議論しました。そこで「例え減給で済んだとしても、その選手に八百長を誘う悪い輩が近づくケースが増えるのでは」と質問したところ、少しの間を挟んで「残念ながら、その可能性は十分に考えられる」とのことでした。

卒業研究の一環でサッカー界に関する八百長について上記の本などを読みながら調べているのですが、八百長で狙われやすいのは給料が低い選手たちです。コロナ禍によって多くのスポーツ大会が延期や中止になり、仮に再開できたとしても果たして選手たちが純粋な気持ちで試合に臨めるのか。

スポーツの根源すら脅かされるかもという状況に恐れを抱きました。

内部通報とスポーツ界の秩序

そして上記でも触れた卒業研究では、スポーツ界の秩序を守るために各組織や団体における「内部通報」の役割について調べています。

例えばUEFA(欧州サッカー連盟)では上記リンク先の通りオンラインでの通報窓口を設置しています。もちろん匿名で通報できます。

テニス界では「Tennis Integrity Unit」という男女のツアー組織や国際テニス連盟から独立した組織が窓口となっています。そしてツアー組織や国際連盟と連携しているので、ここへの通報に基づいた処分は両組織が主催する大会にて有効となります。また、上記リンクでは現在処分を受けている選手名と処分内容が公開されているほど。

卒業までオンライン確定

振り返ってみるとこの一週間の講義は時に暗い気持ちになってしまうことも。そして拍車をかけるように、金曜日の講義が終了してから6月上旬までの残りの授業と、7月中旬に発表する卒業研究の活動も全てオンラインとなることが学校から通達されました。

世界情勢を日々追っている中で覚悟はしており、しかも私たちだけがこのような事態に直面しているわけではないとはいえ念願だったFIFAマスターにおいて最も楽しかった「クラスメイトとのふれあい」が途中で終わってしまったことが何よりも残念無念です。特に先月スイスから日本に一時帰国した際に「スイスで再会できる日を楽しみに乗り越えよう」と誓い合ったことを思い出すと辛いもんです。

数少ない前向きに考えられることは卒業式の「延期」と、卒業してから再会する口実が増えたこと。もちろん世界各国に離れているため簡単に集まれるわけではないものの、ベオグラードダービーをはじめ断念した予定はたくさんあったので来年だろうが再来年だろうがいつになろうが、時間をかけて穴埋めをしまくりたいと新たに誓い合いました。

インドと南アでの食糧支援

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私のクラスメイトであり、欧州CLやメガクラブなどで盛り上がる大半のクラスメイトをよそに、地域リーグやサッカー発展国の話題で仲良くなったジェームズが前職時代に取材したインドと南アフリカでの食糧支援を目的とした寄付型のクラウドファンディングを立ち上げました。

コロナウイルスが勢力を拡大している中、ジェームズが取材したインドのムンバイと南アフリカのケープタウンでは食料のみならずマスクの確保にも苦しむ人々が多くいます。ただでさえ栄養失調に悩まされている人々をコロナウイルスの脅威から少しでも防ぐには栄養ある食事が必要です。

そこで食料配布のために立ち上がったのが地元チームの選手たち。とはいえ決して恵まれた待遇を得ているわけではない選手たちにも入手できる食料には限界があります。そんなかつての取材相手の活動を知ったジェームズも南アフリカやインドで直接手伝うことは難しいので、資金援助という形で応援することに。

ジェームズ本人からは「在宅ワークなどで交通費や飲み代が少しでも節約できていた場合にでもご協力ください!」とのことでした。

そして「サッカー界に今後波及するであろう経済危機について今回の記事では述べたのに、最後に募金の告知かい!」という心苦しさはありありなのですが、もしチャリティ活動に参加しようかと考えていた方はご検討頂けますと幸いです!

以下リンク先の「Donate」より金額(20、30、40、50、100英ポンド、1ポンド=約135円)を選択して頂き、クレジットカード決済が可能です。よろしくお願いします!


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