走りのスキルの0番目
本格的に仕事としてコーチを始めて8年目、指導というコトに携わってからは19年目になります。その中で、仕事として始める前と後では走りのスキルに関しての概念が大きく変わりました。
どういうことかというと、今までやっていた走りのスキルよりも手前のスキルが走りにおいてはあるという事です。
これを発見したときは、もっと早く知っていれば競技人生はもっと違ったなと思いました。走りの認識、全力疾走の概念が根本から変わったと言っても過言ではありませんでした。
3冊出ている拙著でも触れており、1冊目のマラソンは上半身が9割はこの概念に特化して書き上げた一冊です。
今回はこの概念について少しまとめてみたいと思います。
走りそのものを見つめ直す中での発見
陸上競技を中学から始め、陸上に関わるのはもう20年を超えます。そして、12年間は陸上のスキルは腕や脚の使い方だったり、どれだけ大きな力を地面に加えるか?そして、地面からの力を上手くバネに変えるか?そういう観点でトレーニングしていました。スランプに陥ったり、短距離から跳躍へ種目を変更したりと、色々と工夫もしてきました。
指導者として競技に関わりたいと当時から思っていたので、自分の競技経験をまとめて大学4年時には一つの指導の雛形となるメソッドを作りました。実際に教えた後輩や知り合いはこのメソッドで記録を伸ばしていたので自分の中ではこの方向性だろうと思っていました。
しかし、サラリーマン経験を経て、指導者として仕事を始めようと考えたとき、今までの指導では人の変化に1時間かかり、レッスンが終わる頃にやっと実感を得られるメソッドだったので、それではお金をもらって仕事をする上でのクオリティは足りないと感じました。そこで、なんとか30分で変化を作り、30分を定着させるトレーニングに使えるようにメソッドを作り直し、そのために改めて走りを見つめ直しました。
そもそも、走りってどういう運動?
身体の構造からみてどう動くのが適切なの?
今までの既成概念をとっぱらって動物としての動きを見つめ直し、徹底的に走りを分解し、分析することに努めました。そうすると、今までの走りの基礎と言われたものは実は応用スキルでその前に身に着けておくべき基礎スキルがあるということに気づきました。それが走りの0番目のスキルです。
トップ選手が行なっている0番目のスキル
みなさんが、小中高生のときに、あまり練習もしないのに何故かやたらと脚の速い人がいたのを覚えていますか?彼らの足の速さを天性のもので才能だと感じていたはずです。私も同じく、才能と感じていました。
しかし、よく分析してみると、これは天性の才能ではなくスキルだということがわかってきたのです。彼らはこの感覚をなんとなく理解しており、当たり前のように行っていたため、何しても足が速い、練習量も少なくても大丈夫だったわけです。
私たちが良く知る、腕を振る、脚を上げる、身体の真下に接地する。などなど、色々な走りの技術はそのままやっても速くなる選手とそうでない選手がいるのは皆さんは経験上なんとなく感じていると思います。それは今回伝えたい前提条件としての0番目のスキルを身につけないと腕振りなどのスキルは最大の効果を発揮しないからだったのです。
選手として優秀でも指導者として優秀とは限らないといったことは、この0番目のスキルがわからない選手に対して、当たり前にこの動きができている人が指導者として接したときに、この0番目のスキルを説明できないことがほとんどです。「え?なんでこんなことできないの?」という事態が起きるわけです。
また、感覚派の天才が怪我などでスランプに陥り戻ってこれずに引退というのも、この0番目のスキルの感覚が怪我によって消失し、自分でも明確なスキルとして認知していないスキルなので取り戻すことができず、そのまま復活できないということが起きてしまいます。
では、この0番目のスキルとはなんなのか?それを紐解いていくと以下の3つの要素で説明できそうだなとなっていきました。
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