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【#17】フランス流スポンジ活用法

スポンジはどのように使うものか?食器を洗ったり、お風呂を掃除したりと様々な用途があるが、フランス人のスポンジの使い方は驚異的だ。

先月、フランス人である義理の両親とスペインへ旅行に行った時のことだった。台所のシンクにはスポンジが一つだけ置いてあった。そのスポンジを見て、私は迷いもなく、それは食洗機に入らない大きなお皿を洗うためか、シンクを洗うためのものだと思っていた。私の育った環境である日本では、シンクを洗うスポンジと食器を洗うスポンジは分けるのが当たり前だった。

それはいきなり起こった。義理のパパが右手にスポンジを握りしめ、その後左手に靴を持ち、そのスポンジで靴の底にある泥を落とし始めたのだ。この光景は以前にも見たことがあったので、初めて見た時ほど衝撃的ではなかったが、それでも私にとってはキッチンにあるスポンジで靴を洗うのは絶対に無理だ。

最終日、借りていたお家を出る際に、今度は義理のママがスポンジを握りしめてトイレの便座を洗い始めた。強者がいる。そう、フランス人は食卓のテーブルをきれいにする際も、靴の泥を取る際も、食器を洗う時も、全部同じスポンジを使うのだ。ありえない。本当にありえない。

義理の両親の家の台所のシンクには、時々トイレのカバーがあったり、靴が置いてあったりする。その度に私は絶句する。そしてそのシンクに水を貯めてサラダを洗うことさえある。言っておくが、義理の両親は非常に綺麗好きで、家もピカピカであり、埃一つないような家に住んでいる。そのため、掃除は徹底している。なので、決して異常な精神の持ち主ではないと思う。

しかし、このスポンジの活用方法が私にはどうも受け入れられない。ちなみに、私は全然綺麗好きではないし、むしろ多少のことは気にならない方だ。しかし、この衛生感覚だけはどうしても受け入れられない。夫とはこのスポンジの使い方について何度も喧嘩になったが、今では夫もそれぞれの用途に合ったスポンジを使ってくれているはず?なので、現在は問題なく過ごしている。

ちなみにちなみに、フランスでは道端に犬のフンが落ちていることがよくある。ということは、泥ではなく靴に付いた犬のフンを落としている可能性もある。

なぜキッチンのシンクで靴を洗うのか?バスルームを見ると、シャワーを浴びるスペースでは濡れてしまう。かと言って、バスルームの小さいシンクでは(日本人の私のように朝と夜に洗顔をする習慣がないので大きい必要がない)靴を洗うのは難しい。そうなると、やはり一番スペースの大きいキッチンのシンクで洗うしかないのかもしれない。外はどうだろうか?庭には花用のホースがあるが、シンクはない。なので、家の設計上、靴を洗うのはキッチンのシンクになってしまうのだ。

他のお家はどうだろうか?今のところ、外で靴を洗う用のシンクのようなものを他の家庭で見たことがない。ということは、やっぱりキッチンのシンクで洗っている可能性が高いだろう。

余談になるが、私の義理姉は少しオーガニック狂で、ワクチン反対派だ。洗剤も全てオーガニックで、お肉もあまり口にしない。ヨガのインストラクターをしながらパティシエもしている強者である。しかし、洗剤を使わないため、家の中がいつも洗濯物の生乾きの臭いがする。「この部屋臭うよぅ〜」と昔見たCMのように、玄関を開けた瞬間に帰りたくなるほどだ。フランス人が大好きな香水なんて絶対に使わない。自分の信条を貫くのは良いが、衛生面がどうなのかは気になるところである。

フランスに来る前、私はフランス人に対してあまり清潔な印象を持っていなかった。しかし、夫は毎日2回以上シャワーを浴びるし、周りの家族も同じ頻度でシャワーを浴びているようだった。しかし、街を歩いているとやはりクサイ人が多いかもしれない。それも独特の吐き気を催すようなニオイだった。妊娠中に道を歩いていた時、その匂いを嗅ぐといつも吐きそうになっていたことを思い出す。

フランス人は何をやってもとにかく癖が強い気がする。しかし、この喧嘩の原因にもなるスポンジ問題だけは、私は譲れない。

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