見出し画像

映画「星の子」感想文

久々に映画館で映画を見た。本当に何年振りだろうか。

最後に見た映画館で見た映画が「アウトレイジ 最終章」だったので、ピエール瀧はまだ逮捕されてない頃。今回は「星の子」、真逆と言ってもいいだろう。

まして、上映日に見るのは本当に久々だったがそこまで「見たい!!」って思ってたわけでは無く、学生時代と代わり金銭的にも時間的にも余裕ができたので「興味あるし見ようか」レベルで見た。

そんなわけで小説原作らしいが、特に予習や「こういう話かー」っていう前知識がほとんどない状態で見た。

以下、ネタバレを多分含みます。また、個人の感想に過ぎません。

結論としては、微妙だった。うーんなんだろうってなった。

「子役」として一斉を風靡した芦田愛菜が「女優」として演技していた。登場人物みんな演技がうまく、本当に自然だった。キャスティングはこれ以上ないぐらい良かったと思う。芦田愛菜って美人に育ったなって感じだけど別世界の美人って感じはしない(伝われ)ってのが等身大の中学生っぽくて良かったし、中学の同級生とかも「こういう気を使わない友達、いいね」ってなった。宗教の話とか普通タブーだし、気を使いそうなもんだけど仲良いといじりのネタになるってまあ仲良い友達とかってこういうもんよね。

芦田愛菜演じる「ちひろ」が恋する南先生(岡田将生)が車で送るシーンとかも「うわうわうわ・・・気まず・・・」ってなった。本当に岡田将生って何も考えずに酷いこと言っちゃう役似合ってるなあって思いました。

この映画、思うに「内側の世界」と「外側の世界」っていう二つの世界で葛藤する思春期の少女の映画だと思うのだが、なんせ内側の世界がカルト宗教にハマる両親。当然、普通の少女以上の葛藤があり、「外側の世界」への無意識的な憧れを常に抱いてる姿が随所に見られる。彼女が面食いなのは「外側の世界」への憧れであり、今まで信じてきた「内側の世界」への違和感というものが言葉こそ少ないものの芦田愛菜の演技で表現できてるなって思った。すごい、芦田愛菜。

ただ、「微妙だな」って思ったのは、そこまでして「内側の世界」への未練を感じている理由がよくわかなかったなってこと。言っちゃえばちひろも信者っちゃ信者なんだけど、心の底から信じてるわけじゃ無く両親が信じてるから信じてる・・・ってのはわかるんだけど、如何せんこのちひろが両親をそこまで好きな理由がよくわからなかった。つまり、「宗教」⇨「両親」⇨「ちひろ」だから「宗教」⇨「ちひろ」、結論は無理して考えればわかる、理解できる。しかし、そもそもの「両親」⇨「ちひろ」ってのがあんまりわからないからやっぱ違和感は残った。両親に愛されてるのはわかるんだけど、そもそも両親が宗教にハマったのもちひろに対する愛ゆえだから、ちひろが両親をそこまで愛する理由がわからんって感じ。もう少し、ちひろと両親との宗教外の日常など描いても良かったんじゃ・・・って思った。だから、ちひろがあくまで両親といようとする姿にはやっぱ違和感あったし、大友康平演じる叔父さんのあの誘いに即答で断るってのも飲み込みづらかった。まして、思春期なんて親嫌いでもおかしくないんだからって思ったのは僕の理解能力がなかったからなのか。

ちひろに「外側の世界」を導くというか誘ってくるのは回想で出てくる姉の「まーちゃん」の存在であり、こうした回想が随所で出てくる。「まーちゃん」もちひろが抱えていた違和感との葛藤し、そしてついに外側の世界に出た人物。この「まーちゃん」の存在がちひろにとって葛藤を強め、より外へ行くことへの憧れを強めるものとなっている。コーヒーやパンクな服?(あの服が何ていう名前かわからない)はその象徴である。というわけでこの所々オムニバス式で出てくる回想は、結構重要なのだが、最初の回想シーン、回想なのかどうかわからなかった。というのも、割と近めの昔の回想なので芦田愛菜演じるちひろは10-11才ぐらいの時の回想なのだが当然16才の俳優が10才の役を演じるのは無理なので別の子役が演じているわけだが、当然別の子役がその回想シーンを演じてるわけだが、別の子役を立てるには年が近すぎる。最初、妹いたんかお前ってなった。いや、まあしょうがないんだけど。況して子役時代から芦田愛菜を知っているため、やっぱ違和感がめっちゃある。子役で一世風靡したのがノイズになってる。珍しい現象。まあしょうがないんすけど。そして、この子役がまあよくしっかり喋る。やっぱ、ちょっと別の役にしか見えない。うーん、難しい。じゃあどうすりゃいいんだよって話なんだけどうーん。

あと、終盤南先生がちひろにクラス中のみんなの前で放った言葉。南先生がめっちゃ嫌な人になる瞬間でもあるのだが、流石に今のこのご時世問題になるだろ。いや、確かに今の今まで信じてたものが自分の人生を阻害し、外側の世界への憧れを諦めさせる大事なシーンなのだが、やりすぎじゃ・・・。もっと間接的でもよかったような気がする。むしろ、南先生って事なかれ主義というかそういうのを裏で言いそうな感じがしたんだけど・・・、いやまあ、うん。ダメだろ、あれは。yahooニュースになってもおかしくないレベルの発言をとにかくしてました。

他にもツッコミどころがややあり、なんか微妙って感じだったけど、ラストシーンは本当に良かったと思う。両親ってのは宗教以上に子供を信じてる、愛がある最後だと思いました。僕の解釈だとちひろは叔父さんの家に行くと思うんだけど、そこまで見せずに終わるのも良かったなって思う。今までちひろ視点だったのが、あんだけ奇行をしていた両親に感情移入できたし、何より画が綺麗。映画館で見て良かったなって思いました。

まあ、見て良かったとは思ったし特に飽きないし酷くはないけど、うん、まあ、うんってあんま言葉にできない微妙感が残るって感じの映画でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?