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イタリア留学体験期 Vol.4 留学での友達。

Ciao! イタリアで1年間の留学中のさやかです。
今日はちょっと趣向を変えて、初めてのエッセーもどき投稿に挑戦します。

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最近おいしいビールの飲み方を学んだ。

”楽しく”疲れた後の一杯は最高だということ。

嫌なことを忘れるために飲むお酒はまだ私には早いようで、余計に落ち込んでしまうんだ。今日は家に帰ったのは21時過ぎだったけれど、気づけば髭を蓄えた老紳士がシンボルの缶をプシュッと開けていた。


最近、友達って何だろうとぼんやり考えることが増えた。元々SNSでの近況報告やこまめな連絡のやりとりが苦手だった私は、仲の良かった友人とも留学を機に疎遠になってしまった。
留学先にも授業を共に受ける学生が大勢いる。毎日挨拶を交わすけれど、パーティー文化に馴染みきれず、放課後に街中へ一緒に出歩くのも最初の1ヶ月ともたなかった。私が参加しない間に他の学生の間では仲が深まっていく。
友達がいなくても恋人や家族がいれば大丈夫と強がりながらも、本心では自分はきっとつまらない人間だから忘れられているのだろうとひねくれている。

しかし、今日は自分なりに一歩踏み出してみた。フランス人の友人ふたりとフェラーラからバスで1時間ほどの街、ヴェローナに小旅行に来た。
以前ほとんど下調べをせずにミラノに行ったことに後悔があり、今回は自分の興味のある場所を出来る限り調べてから合流した。
しかし、友人ふたりと会ってすぐ分かったのは、彼女たちの今回の旅で一番訪れたい場所はヴェローナからバスで1時間ほどのガルダ湖だということ。…ということは、私が行きたいと思った場所は全部回れないではないか。
普段の私だと、ちょっとごめん、別行動してもいいかなとひとりを選ぶところだが、今回はせっかくふたりと来たのだから身を任せてみようと決めた。ヴェローナはまたいつでも来られるし、と。

彼女たちの目的地、ガルダに到着してすぐ、私の小さな決断は正しかったと確信した。予報の曇りを裏切った快晴の空と青くきらめく美しい湖。イタリアで最初に出会った大自然が目の前に広がっていた。息を切らしながら三人で登った崖からの眺めは言葉では表せないほど綺麗だった。

こちらに来て、何度か友人と旅行しているけれど、綺麗な建物を見たり美術館に行ったりしても、写真を撮ってすぐ終わりだったり写真をとること自体に熱中する様子に、価値観の違いを感じていた。
けれど、今回はこの景色はいつまでも眺めていられるなという私の気持ちが伝わったように、ここなら永遠にいられるよと言いながら長い時間横に座ってくれていた。

美しい景色を目の当たりにして感動を彼女たちと共有できたこと。大きなことには見えないかもしれないけれど、私にとってはこの2ヶ月で最も大事な思い出になった。

歩いて歩いて疲れた一日だったけれど、今日ほど幸せだった日は久しぶりだ。そりゃビールがおいしいわけだ。
そんな1日を一緒に過ごしてくれたふたりに感謝しながら寝る支度をしよう。

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