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一年で一番危険な日

36年にもなるだろうか。

休みであっても外へは出ない、車の運転はしない。

などといったことをずっと続けてきた11月23日という日。

仕事であれば仕方なく出勤し、細心の注意を払いながら一日を過ごす。

そんな36年間だった筈だ。

今年は禁を初めて破った。

朝から街をぶらぶらしてデパートで昼食を摂り、電車に乗って龍神様にお詣りしてきた。

街中では外国の真似をしたブラックフライデーなるイベントがあちこちで催され、結構な人だかりを作っていて、「その波」に呑まれいくつか買い物もした。

それでも流石に車の運転は止めておいた。昨日からの雪と真冬日の気温で道路はツルツル、昨夜は降雪による酷い事故も見たからだ。

今のところ何も起きていない。あちこち動き回ったにも拘らず。

これからなのか?

確かにこの後、冷えた身体を温めに近場の温泉に行くつもりだ。

三連休初日とは言えこの時間となれば交通量も少ない筈だし、運転に問題となることは何もない。

「勝手な思い込み」と偶然が重なっただけだったのか。

一日中嫌な胸騒ぎがして常にビクビクしていたこの日を、今日は平然と過ごしている。胸騒ぎひとつしないで。

歳を重ねたから?思い込みにようやく気付いたから?それとも単に図太くなったから?

きっと一番の理由は、今が辛いから。

今よりも悪い状況などないと思っているから、悪い状況を経ての今があるからだと思う。

↑まで書いて保存し、温泉に行って来た。

ブラックアイスバーンの路面にヒヤヒヤしながらも温泉を往復し、帰りには友人宅にお裾分けを届けた。

胸騒ぎすらしなかった。

しかし、家の前に着いて謎は氷解した。

私の車が出入りする車庫前だけに雪が積もり、家人が使う車の前は綺麗に除雪されている。

家に入るが誰からも声は掛からず、黙って自室に戻る。自室だけに戻る。

謝罪、訴訟、慰謝料、告訴。

そんな言葉を代理人経由で、文書でしかやり取りしなくなって8ヶ月が過ぎた。

家庭内完全別居

最初の2ヶ月で15kg痩せたのは健康的と言えるだろうが、主食はパンとパックご飯、副食は缶詰とレトルト食品の生活は、果たして健康的と言えるのだろうか。

なぜ禁を破って動いたのに何もなかったのか。

この生活に比べれば、今日という日、11月23日という「一年で一番危険な日」も、色褪せて見えるからなのだ。


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