ATMレッスンを受けるときのオススメ

フェルデンクライスのレッスンは、大きく分けて

マンツーマンで行い、基本的に非言語で、手の接触によってコミュニケーションを図るFI(Functional Integration、機能の統合)と

言葉によって伝え、複数の生徒を相手に行えるATM(Awareness Through Movement、動きを通しての気づき)

この二つがあります。

先日4人のプラクティショナーによるオンラインワークショップAnother point of view vol.2でATMレッスンをひとつ指導しました。

私は二つ目のレッスンでしたが、お昼休憩の後にトークセッションがあり、レッスンについて質問を受けました。

質疑応答の細かい中身はここで言う必要はないと思いますが、ざっくり言うと

『先ほどのこの指示は、こちらの動き、またはこの動きにもとれますが、どちらにすれば良かったですか?』

と言う様な質問でした。

私としては、このとき明確にどちらの動きをしてもらいたいとの意図があったので、その場でそのことをお伝えしました。

つまり、私の指示が明瞭ではない部分があったのためにわかりにくく、この方は質問をされたのでしょう。

フェルデンクライスのATMレッスンでは、その様なことはたまに起こります。私たちも出来るだけ、指示の意図がより明瞭に伝わる様に努めていますが。

頭に入れておいて欲しいことは、先生は完璧ではない、そして先生も間違うと言うことです。

明瞭でない言葉の指示によって、選択肢が生まれ、どちらにすれば良いか迷うことがあります。

他に例えば、左右を間違うことも、たまにあります。
フェルデンクライス博士の指導の記録を見ていても、明らかに指示の左右を間違えていることがあります。

レッスン中にその様なことがあったときは、すぐに質問をするのも良いと思います。

たとえば間違ってしまったままレッスンが進行していくと、前後の動きの辻褄が合わなくなったり、そのことで学べることが減ってしまったりするかもしれません。
あとはその疑問を抱いたままレッスンを続けることは、動きを感じる注意力を鈍らせることになるかもしれません。

すぐに質問をする以外にもう一つのオススメがあります。

ATMレッスンを受けている時に、『この言葉の指示は二つの動きのどちらにも解釈できるけどどっちだろう?』
『先生が左と言っていたけど、変だな、ここは右ではないか?』
こんな疑問が浮かんだら、ちょっと動きを止めて休んで良いでしょう。

すぐに質問しても良いでしょう、、、

あとは、その疑問に浮かんだ二つの動きを両方ともやってみることもオススメです。

こっちの動きと、またはこの動きを両方やってみてください。

一回づつとかではなく、数回ずつやってみて、どちらが楽かを感じてみたり、どちらが今現在の動きの中、直前にやった動きとの流れなどでしっくりくる感じがするかなど、注意を向けてやってみてください。
深く考えなくても大丈夫です。

そうすると自分の中で、このレッスンではどちらの動きが適切であるか答えが出るかもしれません。その場で答えが出なくてもかまいません。

やってみて、それでもわからなかったら、その場でも後でも質問するのも良いでしょう。

レッスン全体を通して、後でわかるかもしれませんし、数日後、数年後にわかるかもしれません。それも良いと思います。

でも質問する前に試してみると、それでわかってしまうこと、意外と多いですよ。

動きの指示によって生じる選択肢が二つではなく、三つ以上の場合は、指示が特に不明瞭であるか、自分の中で混乱が生じている可能性が高いので、いったん止めて休み、ちょっと考えてみるか、その場で質問をすることをお勧めします。

この動き、その動きが適切であるかどうかは、そのレッスンの構造、文脈でのことですが、レッスンを受けている途中はそこまで深く考えないで良いと思います。やってみて、その刹那に感じ取っていることを大切にしていただければと思います。

私の考える、ATMレッスンにおいて大切なこと

指導者が絶対だと思わない。

どちらの動きが適切か、などの疑問、問いが生じたら、ひとまずは両方やってみること。

自分でやってみて、自分で判断できること、それが実はフェルデンクライスでやれる様になりたいことの一つです。

その動きが適切かどうかの判断、その判断の精度はどれだけ努力を減らして行うかによるということがありますが、そのことはまたの機会でご紹介します。

右か左か、上か下か、前か後ろか、止まるか進むか、
この様な選択肢、問いは、指導者の指示が不明瞭である時でなくても、また動きを指示されている身体の部分以外の動きの中にも、このような問いはレッスンのいたる所に現れるかも知れません。

なにか動きをする時に、頭を左右のどちらに転がすかといった問いも起こる場合もあるかも知れません。

両者のうち、どうしてそちらの方の動きを選びましたか?

そしてその選択肢のうち、実はどちらも正解である場合もあります。

その時に、どちらが正しいかではなく、両方ともやってみる様な心持ちでいると、学びがより面白くなるかも知れません。
ぜひ気軽に試してみてください。

フェルデンクライスプラクティショナーとして私は、生徒がより学べる環境を提供したい、自分もその環境の一部に成れたらと思って教えています。
レッスンの世界を自由に遊びまわってみてください。

AraTetsu

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