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池袋だけは、違う恋の匂い


初めての彼氏ができたのは大学1年生のとき。中高一貫の女子高育ちで部活に没頭する毎日だった私には男との出会いなんてなかった。

出会って1ヶ月で告白され「好き」という感情も分からぬままOKした。彼曰く焦っていたらしい。早く告白しないと、そのうち私が誰かと付き合うと思ったのだという。

結局最初の彼には「好き」という感情も湧かないまま2ヶ月で破局。次に付き合ったのは大学2年の夏。同い年、といってもほぼ1コ年下の男の子。その人とは2年半付き合った。

大学が池袋にあったから、遊び場はほぼ池袋。

西口のゲームセンター、北口のラブホテル、南口の一軒目酒場、東口のデニーズ。

どこも匂いが染みついていて、今でも思い出さずにはいられない。

その彼のことは、ちゃんと好きだった。別れるなんて思ってなかった。「好き」という愛おしい感情を初めて知った。


もちろん、今付き合っている人のことは愛しているし、元カレに未練などない。ただ池袋の匂いだけは、たぶん何年経っても変わらない気がする。あんなに汚い街を、キラキラした笑顔で歩いてた。遅れてきた青春だったのだと、池袋に降り立つたびに思ってしまう。


mito





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