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透明な苦労


自分がお金と時間と労力をかけたものを、本当は隠している本音を、他人は理解できるのか。



私はネイルに通ったことはないが、週一でのメンテナンスはなかなかの出費だと思う。自分のモチベーションを上げるためにやっていたとしても、彼氏に気付いてもらえないのは悲しい。自分でかわいいと思ってないネイルをしている人などいないのだから、褒めれば嬉しい以外の感情はないはずだ。


この自粛期間で私は髪を伸ばしている。仕事が忙しくなると髪を洗う時間もドライヤーをする時間も全て睡眠に使いたいと思ってしまうから。それでも地毛でロングヘアを保つためにはドライヤーは欠かせないし、ヘアオイルの消費も短い時の2倍。キシキシの髪にはモロッカンオイルしか効かないのもかなり出費だ。


彼氏に気にしないと言われても、自分では気になるから全身脱毛をしている。ざっと30万。水着やノースリーブを自信を持って着るためには少し高すぎる値段。


あまりファストファッションが好まれない時代になってきた。無駄な消費を防ぐためにも、長く着れるものを買うことはいいことだと思う。だが服選びには一目惚れということがあるのも無視はできない。服を変えることで気分転換になるし、その日によって違う自分になれる気がする。新しい私を彼氏に見てもらいたいと思ってしまう。


デパコスでもプチプラでも、化粧品一式は全てお金がかかる。私はメイク時間は30分程度だが、それでもアイシャドウやリップの色、ヘアアレンジも含めてちゃんと私を目に焼き付けて欲しいと願う。どこが違うか分からないという不器用な男性がいるかもしれないが、"なんとなく違う"ことだけでも気付いて欲しいものだ。新しい服や化粧品はだいたい彼氏に会う時が降ろしたて。もし2時間もヘアメイクに時間をかけて「かわいい」の一言ももらえなかったら憂鬱な1日の始まりだ。


生理やPMSは人によって重さが違う。元カノが全然平気だったとしても、女が全員そうであるわけではない。私は1日だけ薬を飲めば大丈夫程度だが、ベッドから動けない人がいることも知っている。また生理痛やPMSを和らげるためのピルや漢方を一生飲み続けるとしたら、一体何十万使うことになるのだろう。生理用ナプキンが消費税10%なのも納得がいかない。こっちは好きで生理になっているわけじゃない。


予防したところで抗えない気分の落ち込み。突然の貧血、低血圧、気圧の変動、偏頭痛、月の満ち欠け、ホルモンバランス。影響を受けやすい部類の人たちがいる。重度も人によって様々で、全く気づかない人もいれば動けなくなる人もいる。悲しいことにそのレベルや辛さは人の目には映らない。マイナスな部分を無理やり埋めて、平気なふりをして過ごすのはさらに負担がかかる。



見えない労力が働いていることを、他人は認知できるのだろうか。辛いと言って、理解されるものなのだろうか。知らないことを、自分で実感できないことを理解するのは人間にとって容易いことではない。そんな勝手な努力や不調は自分には関係ないと思う人もいるだろう。

だけど自分のために時間やお金をかけて努力してくれたんだな、と気づいた時にはそのことに触れて褒めてほしい。笑顔で過ごすデートももしかしたら生理痛で歩くのが辛いかもしれない。本当は笑顔で過ごしたいのにホルモンバランスでイライラしやすくなっているかもしれない。

その背景さえ想像できる力さえあれば、せめてそういう人も世の中にはいるんだということを知ってもらえれば、少しは優しい社会になると信じたい。いつか隠さなくても認めてもらえる時代がきてほしい。関係ない人などいないということにどうか気付いてほしい。



私は女だから女性的視点でこの記事を書いているが、自分には知らない現実があることは性別なんて関係ないと思う。

ただひとつ女として言えるのは、『女が言う「大丈夫」は大丈夫じゃないし、「放っといて」と言われても放っていてはいけない』というややこしい乙女心だ。



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