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2022年上半期に見た映画

ボイリングポイント 沸騰

有楽町ヒューマントラストで鑑賞。
年の瀬もせまったクリスマス、ロンドンのレストランを舞台に繰り広げられるワンカット90分!
最近だとトップガンマーヴェリックもそうですけど最先端技術のCG SFXなどに頼らない作品、個人的にはしびれるなーと思ってる。ただ、ワンカットはフィルム時代にはできなかった技術らしいのでこういうアップデートは嬉しいですね。俳優視点にそって厨房やホールを歩き回り、次から次へとトラブルが…カメラがおっかける人物像も様々で、あるときはフロアマネージャー(メートル・ディー?)、あるときはシェフ、またあるときはサーブスタッフと視点がコロコロ変わるのでとにかく面白い。
高級ホテルで働いてた人間からするとレストランの厨房vsフロアのバチバチがリアルすぎて吹いたし、監督がレストラン経験者なんで色々詰め込みすぎててコース完食したような謎の満足感。社会問題の散りばめ方もうまい!
アフリカン系のサーバーに対してあからさまな人種差別をする客のあしらいも経験したことあるし、メートルディーの苦労もわかるし、お客様が50組いたらひと組はクソなwalk-inだったり、特別対応してくれとかムチャブリするやついるし、アレルギー対応はどんなに気を付けてもおこるし、材料がたりなくてあれないこれないつくれないとか毎日なんかしら起きる。フロアのマネージャーとカーリーの言い合い、修羅場高級レストランにいたひとは目をおおいたくなるんじゃないかしら。スーシェフのカーリーがBBC SHERLOCKのサリーじゃん!てとこからテンションだだあがりました。


ユンヒへ

シネマート新宿で鑑賞。
韓国発、これはレズビアンムービーといっていいのか…?岩井俊二のラブレターを思い出したひといるよね?
過去のあのひと、忘れられないあのひと。「雪はいつやむのかしら」というせりふが「いつあのひとを忘れられるの」と言ってるようでなんだか泣けてしまった。ユンヒとジュン、同級生でたぶんいっときパートナーだったふたりがいまは海をこえてバラバラの生活をしている。もう交わらないだろうな、と思っていた線がふたたびまみえてしまうとき、この映画はそんな瞬間をとても丁寧に描いている。これみたあとに雪の小樽に飛んだら、絶対昔のひとに連絡しちゃう気がする。私はするな、絶対。
ひとりひとりの演技が丁寧で強いて言えば悪者がいない映画、誰の選択も(選ばないという選択をしたひとも)そうするしかなかったんだと。クィア映画って誰かを責める描写が当たり前にあって、それは夫が妻を裏切るとか家族に失望されるという書かれ方が少なくなかったので(物語上必要なこともあるけど)こういう優しい映画が一般のひとの目にふれるのは個人的にとても嬉しい。
中村優子演じるジュン、私的には二丁目とかあんまりこないタイプで、そのくせ女子にはクソモテるビアンだと思います。自立してひとりで淡々と生きていくタイプ。理想だわ…いやー、上質なクィアムービーでした。イム・デヒョン監督にありがとう!

監督のインタビューではっきりと「フェミニズムの物語」といってくださるのがとても嬉しい。


ハウス・オブ・グッチ

TOHO日本橋で鑑賞。ガガ様とアダム・ドライバーの顔圧が強くてそれだけで映画代のもとをとった気がする。イタリアなまりがわざとらしいのも演出か。ジェレミー・アイアンズにアル・パチーノ、原形をとどめてないジャレッド・レトと大盤振る舞いな出演。パオロ・グッチなんて廉価版の存在なんて知らなかったよ!
史実と虚構が入り乱れてる作品なので2時間のサスペンスドラマとしては上出来、ただトム・フォードがいじりたくなる(批評)気持ちもわかる。鑑賞後、となりの親子連れが「大塚家具みたいね」とコメントしてて笑ってしまった。

TITAN

有楽町ヒューマントラストで鑑賞。
OPのセクシーカーウォッシュ(洗ってないけど)と男子に無言で簪ぶっさす姿とギャップがすごくて冒頭から引き込まれた。シリアルキラーの女性が車(車?)との間に妊娠して追っ手を逃れるために男装して…書いてるだけでカオス。これがパルムドールとったの?カンヌすごいね。「RAW」も結構グロい映画だったけどこちらも痛い場面満載なので(顔を潰す、鼻を折る、乳首を噛みちぎる未遂など)みていて脳がヒリヒリ。股間に簪刺して堕胎しようとする場面とかあるので苦手なひとはやめたほうがいい。横のひとは直視できなくて顔を覆っていた。
映画自体は伝えたいメッセージとかあるんだろうけど、私は女性の身体の悲鳴にしかとれなくてなかなかしんどい2時間でした。車が男根のメタファー?という感想もみたけどそうは感じなかったな。どっちかというと主人公が支配する側にいるように思えた。なので、車とセックスする場面(OPのダンスとほんとにやるところ)は興奮した。5,000万点。


ザ・バットマン

TOHO日本橋で鑑賞。
ブルーレイが出たタイミングで友人たちと上映会をしたら「がんばれブルース!」と応援上映になってしまった。なんだろう、あの恋愛に慣れてない感じ。可愛いかよ。
バットマンシリーズは手を変え品を変え色んなひとが演じてるけど、毎回新しい風を浴びれて嬉しい限り。今までで一番若造なブルース・ウェインだったのがまた新鮮で、ベン・アフレックのアラフォー壮年と対をなしてるのが好き。全員集まってバットマンバースとかないですかね。
ロバート・パティンソンのブルースウェインも超よかったけど、アンディ・サーキスのアルフレッドがどストライクでした。こんなにかっこいいなんて聞いてないよ!!!元サーカスで片足が不自由で杖をついてスリーピースを着こなす執事と設定てんこ盛り。ダンディアルフレッドは罪…

音楽がマイケル・ジアッキノ(ミッションポッシブル3&4・SWローグワン・JJのスタートレック・50/50など)担当ってだけでもう信頼できる。冒頭の鐘の音とかぶさるようにかかるアヴェ・マリア、ゴッサムシティと若き鬱屈したブルースを映し出すNirvana 「Something In The Way」アイスバーグ・ラウンジに落ちていくようなBaauer「Hot44」とチョイスが最高。エンドロールの「Escaped Crusader」はジアッキノのオリジナルで重厚感たっぷりな1曲。デヴィッド・フィンチャーのセブンを豊富とさせるサイコ・サスペンスな3時間をお楽しみあれ!


上半期はMETオペラとトップガンマーヴェリックに散々時間とお金を使ったので、みている映画がとても少ないのが残念だけどとりあえず備忘録まで残しておきます。


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