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And all this time

大人になったら腕時計を買うのが夢だった。親戚から譲り受けたのを含めると10本近く持っているが、自腹で買ったのは2本だけ。もっぱら革ベルトが多くて、理由を聞かれたら「肌触りがいいので」と答えている。嘘じゃない。実際ブレスレットタイプは旧友から留学祝いにもらった1本だけだ。

昔、喧嘩で腕時計をメリケンサックみたいに使ってしまったことがある。金属だったのでこちらも手の骨を痛めたし、何より腕時計は血だらけで再起不能になった。原宿かどこかの露店でみかけた5000円もしない安物で、当時流行っていたクロムハーツもどきのフォルムを気に入ってたけれど、こういう形でおさらばするとは思ってもみなかった。正当防衛だったし、殴ったのはクソ野郎だったので1ミリも後悔していないが、腕時計に八つ当たりしてしまったことは心から反省している。

以来時計は革ベルト。昨年、この業界で働きはじめて10年目に突入したので記念に新しいのを1本購入した。初給料で買ったのと同じハミルトンで、ベルトは薄いグレー。赤ちゃんペンギンの羽のような、柔らかい色にひとめぼれした。普段からブラック、ブラウンに傾倒しがちな私には珍しい選択だったと思う。好きな映画から「夜明けの祈り」とニックネームをつけた。暫くはお世話になると思う。よろしくね。


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