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【いよいよクライマックス】プレミアリーグ第37節 ウェストハム×マンチェスター・シティ【戦術・分析マッチレビュー】

プレミアリーグもクライマックス。残すところこの試合を合わせて2節。シティは残り2節で勝点4を獲得すれば自力優勝が決まる状況の中、今節ペップシティに立ちはだかったのが難敵ウィストハム(以後ハマーズ)。

前半はまんまとハマーズの計画にハマったシティ。しかし後半優勝への執念に加えて、的確な戦術変更から巻き返した!

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきましょう!

ハマーズの計画通り!?

ホームの後押しも力にハマーズがシティのプレミア連覇の大きな壁となった。

ハマーズは10人の選手で壁を作り、アントニオのキープを生かしたカウンター攻撃をこの試合準備した。そのカウンターの破壊力は凄まじく、終始シティの恐怖となった。

シティに押し込まれるとハマーズは4-4-1-1の陣形で分厚いブロックをゴール前に形成した。

シティお得意のハーフスペース.ポケット追撃はCHが降りて対応。アンカーロドリにランシーニをつかせることで、シティのサイドチェンジをCB経由に。それにより横スライドの時間を確保。シティの何度もやり直す揺さぶりにもしっかり対応できた。

そしてボールをシティから奪うと前線で待つアントニオへロングボール。彼の特徴を生かすカウンターを炸裂。

アントニオは本職CBではないフェルナンジーニョとマッチアップになるような位置どり、何度も質で上回りカウンター局面へ持ち込んでいった。

そしてアントニオのポストプレーとセットになっていたのが、右SHボーウェンの外から斜めにランニング。2人がセットで違う方向の動きをするとサッカーではフリーになりやすいあれ。

アントニオにつられ、乱された最終ラインの背後にボーウェンが抜け出す合わせ技から見事に2点を奪ったハマーズ。

そしてもう一つシティが手を焼いていたのがCHソーチェクの高さを生かしたビルドアップ。

ミスマッチを生かしソーチェクが競り勝ちボールを前進。シティのハイプレスを何度かひっくり返し、2点目はGKのパントキックを彼が競り勝って始まっていた。

正にハマーズの、モイーズの計画通りに前半が終わった。

足枷となったシティのビルドアップ

ウェストハムの計画されたブロックからカウンターを浴びせられ、2点のビハインドを負ってハーフタイムのロッカールームへ入ったシティの選手たち。

しかしビルドアップ.ボールの前進局面は決して悪くなかった。ハマーズの陣形をしっかり把握し、ボールを動かせており、10人の選手をペナルティエリアまで押しのけることに成功していた。しかし、それがゴールを奪う局面では足枷となった。

シティのビルドアップ局面、ハマーズは4-2-3-1の陣形でブロックを形成するので、フリーとなるのがシティの2CBの一方だけ。

シティの2CBに時間とスペースがある状態だが、そこから先が埋められている状態。これでは前進する事が難しい。

この状態を解決したのがベルナルドの列を降りる動きだった。アンカーのロドリの脇までベルナルドが降りてボールをピックアップ。

ハマーズのベルナルドをマークしている選手も列を降りる彼を捕まえられない。なぜならベルナルドにつきすぎることでライン間(中盤とDFの間のスペース)が開いてしまう。シティ相手に一番開けたくないエリアを開けることは出来ずに、列を降りるベルナルドがフリーでボールを受ける。そこで生まれたハマーズのプレスのズレを利用して、シティは安定的にボールを前進していった。

ベルナルドの戦術眼とそれを実行するスキルはお見事。しかしそのIHが列を降りる動きがフィニッシュ局面の停滞を招いていた。そこをハーフタイムのロッカールームを出るまでに、多分ペップからの指示を受けたはずだ。

IHをより前へ。ハマーズの陣形が整う前に!

前半列を降りてビルドアップ局面で仕事をしていたIHベルナルドは後半に入ると、その動きを辞めてしまった。

IHのベルナルドとデ・ブライネはより高い位置でボールを待つようになった。

これのより幅をとるWGにボールが入った時、ハマーズのSBがそれに対応するためサイドに出る。そうすると生まれるスペースがチャンネル(SBとCBの間のスペース)。そこへ走り込むアクションを高い位置をとったIHが見せていった。これが後半シティの攻撃が大きく変わったポイント。

シティは前半前述した通り安定的にボールを前進させ、ハマーズを押し下げることは出来ていたと書いたが、同時にハマーズが下がり切る時間もあり、分厚いゴール前の壁に何度も跳ね返されてカウンターを浴びせられた。

そこで後半に入りIHがビルドアップ局面でボールに関わらずに高い位置をとったことで、幅をとるシティのWGにボールが入ると一気にポケットへランニングしてハマーズの最終ラインの背後をとりにいった。これによりハマーズの中盤が戻り切るまでにクロス.シュートシーンまで持ち込めるようになったシティ。前半よりも攻撃が跳ね返される回数も減り、シュートもしくはCKを奪えるようになりゴールの匂いは倍増し、ハマーズのカウンターも削減することに成功していった。

ハマーズは4バック。4バックの泣き所である外からのポケットへ侵入をガンガン仕掛けるシティ。デ・ブライネが久しぶりにペナルティエリアのポケットへ流れてクロスを上げまくっていてなんだか嬉しい気持ちになった。

流れからゴールは奪えなかったものの確実にハマーズのブロックに亀裂を入れたシティ。セットプレーから0-2のビハインドを帳消しにしてみせた。試合終盤にジェズスが奪ったPKをマフレズが決めていれば逆転と最高の形!までとはいかなかったものの、よく同点に追いついた。

勢いと気持ち!だけでなく実にペップシティらしい修正からの同点劇だった。

おわり

プレミアリーグの優勝は最終節まで持ち越し。リヴァプールが勝利した事で首位のマンチェスター・シティとの勝ち点差は1に。

いよいよクライマックス。最終節はホームエディハドスタジアム。気持ちよく勝利し、プレミアリーグの栄冠をファンの前で大きく掲げてもらいましょう!

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