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【マッチレビュー】マンチェスター・シティ×インテル|24/25 チャンピオンズリーグGL1節

新フォーマットに生まれ変わったチャンピオンズリーグ。そのグリープリーグ第一戦からこのビックマッチが生まれた。2シーズン前のチャンピオンズリーグ決勝で対戦した、マンチェスター・シティvsインテル。

プレミアリーグ王者vsイタリア王者の対戦は予想通り最高で、濃厚な90分。世界最高峰のフットボールを見せたくれた。

それでは簡単ではありますが試合の振り返りをしていきたいと思います!

▪️インテルを下げた2人の存在

シティはボールを保持すると右SBに入ったリコ・ルイスが高い位置に上がり(右ハーフレーン)後方3枚に。そこにアンカーのロドリを加えて後方[3-1]の陣形でbuild-upの骨組みを形成。

これに対してインテルは[5-3-2]をベースにボールへアタック。しかしシティの最終ラインであり、ボールの出所を抑え切ることが中々できない序盤を迎える。シティのボールの出所は3人。それに対してインテルのファーストプレス隊は2トップの2枚。数の優位性を活かしてシティがボールを動かして前進を成立させていった。これに対してインテルは3CHの両脇を担うバレッラもしくはジエリンスキの一方が前に出て、シティのボールの出所に数を合わせに出る素振りを見せるが、そのタイミングでシティの2人の選手が動き、その狙いを見事に交わしていった。

右サイドではリコ・ルイスが。

左サイドではデ・ブライネがIHの位置からサイドに流れることで、インテルの前に出る3CHの背後でボールを受けることで前進の出口となった。

このシティの2人の存在によってインテルのブロックラインは下がることに。しかしインテルはたとてラインを下げられても、決して後に重すぎないチーム。全員が自分達の守るペナルティエリアまで下がってもカウンター打てる設計とスキルを持ったチーム。その話は後程させて頂きます!

その前に前半のシティの崩しについて解説。一番の特徴はIHデ・ブライネのサイドフローを織り交ぜた崩しだった。

▪️デ・ブライネのサイドフロー効果

デ・ブライネは左サイドに流れることでフリーでボールを受けられる状態に。試合の序盤はフリーでボールを受けられる状態ではあったが、その先のボールの出し先を見つけられずに、インテルの形成する[5-3-2]ブロックの罠にまんまとかかり、カウンタースイッチを押してしまうシーンが目立った。

デ・ブライネがサイドに流れることで周りの選手の立ち位置が決まらなかったのがその原因の一つでもあったはずだ。特に左WGのグリーリッシュはやや窮屈そうにサイドに、デ・ブライネとポジションが被ってしまうシーンが目立った。

しかし徐々にその立ち位置を微調整してしまうのがペップ・シティの強み。IHのデ・ブライネがサイドに流れてしまえば当然中の厚みが薄れてしまう。そこはベルナルドがカバー。ベルナルドがボールサイドまでポジションを動かしても全体のバランスが崩れんかったのは、右SBリコ・ルイスがインサイドの入ってくれたからだ。

中の厚みが増したことでデ・ブライネのパス選択は増加。彼からキラーパスが入りだす。

サイドにデ・ブライネ、インサイドにグリーリッシュの配置でこんな効果も生まれた。グリーリッシュはドリブルで相手を集めて、ずるずると押し下げる達人。そのプレーをハーフレーンで炸裂することで、大外に立つデ・ブライネがフリーに。ハーフレーンでグリーリッシュがドリブルで相手を集めて、大外のデ・ブライネへパス。デ・ブライネが高精度クロスを供給し、決定機を演出してみせた。

[5-3-2]ブロックのインテルに対して、ペップ・シティの十八番である大外からのポケット侵入を取り上げられた状況下で、大外からのクロスで新たな攻撃の糸口を作り出した形となった。リズムが出てきたデ・ブライネは大外でのプレーに加えて、慣れたインサイドでのプレーや逆サイドまでボールに関わり、インテルの攻撃的ブロックを揺さぶっていった。

▪️インテルの攻撃的ブロック

次はインテルのボール非保持の解説に移ろうと思う。インテルは自陣に下がって[5-3-2]ブロックを形成。ゴール前に2トップも下げてシティの攻撃から時間とスペースを奪いにいった。

ここだけ聞くと非常に守備的な戦術をインテルがとったと思うだろう。しかし彼らのブロックは守備的かつ非常に攻撃的に一面も隠し持っていた。

インテルが網を張る[5-3-2]ブロックにシティがボールを引っ掛けるとすぐさまカウンターを発動。

前線の2トップのポストをいかした前進(縦パス→ポスト→3人目.レイオフ→逆サイドもしくは背後へのスルーパスで前進)。グループでの前進ももちろん個人での剥がし、前進も目立った。

バレッラに加えて、ナポリからやって来たジエリンスキはひらりとシティの鋭いカウンタープレスを交わし、カウンターの糸口を何度も作り出した。

またインテルはシティのボールを受動的に奪うだけでなく、自発的に奪う術もしっかり用意していた。

シティのバックパスを合図にインテルのプレススイッチが入る。

シティの後方から前線、サイドへボールが入る。そのボールが前向き方向の場合は自分たちが守っているエリアを開けないことが第一優先。前向きでボールを保持、仕掛けられている時はプレスをかけるというよりも、しっかりスペースをケアして、周りのサポートを待ちゆっくり囲い込んでいく。

そこでシティの選手がキャンセルしてボールを後ろ方向へ出した瞬間にボールサイドの選手はギアを一つ上げてボールへ圧力をかける。それに合わせて全体のラインを押し上げてシティのボールへ圧力をかけていった。

またサイドのトライアングルプレスもお見事だった。シティのWGにボールが入るとインテルはWBと3CBのサイドのCBがWチームで対応。その際にサイドに5バックの2枚がつり出されるので、そこで伸びたスペースには3CHの一角がカバーに入って最終ラインに穴を開けない連携を見せた。

待ち構えるだけでなく、機を見てプレスに出てくるインテルのブロックにシティは肉体的にも精神的にもストレスを与えられていった。

シティは試合を通してそんなインテルの攻撃的ブロックからカウンターを受けることに。そんな状況になりながらもシティの最終ラインの対応、我慢強さも同時に素晴らしかった。

▪️我慢強かったシティDFライン

インテルの緻密で鋭いカウンターを浴びたシティ。しかし最後まで自分たちのゴールをインテルには割らせなかったシティDFライン。そしてGKエデルソン。

カウンターを受けた際の帰陣スピードがまずは早かった。DFラインの選手はもちろん前線の選手も当たり前のように帰陣。

これが彼らのスタンダード。彼らの日常。こんなシーンでも彼らの強さの理由を感じる事に。

ただ帰陣するスピードが早いというわけでなく質も非常に高かった。ボールに対してプレッシャーをかけながら、そこで時間をかけると、スッと周りの選手が静かにボールを圧縮して決定機を阻止。

シュートを打たれるシーンもあったが、ノーストレスでインテルの選手にシュートを撃たせることはなかった。コースを切りながらGKエデルソンのシュートセーブの補助に。身体を投げ出してシュートブロックも当たり前のように涼しい顔で披露。

フォーストプレス、カウンタープレスを掻い潜られて、インテルにスピードアップされてもしっかり最後の関門(DFラインとGK)となりインテルにゴールを割らせなかった。

前述した通りインテルの前進の一つのパターンとして前線2トップのポストプレーがあったが、そこを何度もシャットアウトしたのがルベン・ディアス。後半からはデ・ブライネの交代に伴ってキャプテンマークを託された。

ティラムに入る縦パスを何度もインターセプトをしたキャプテン。私個人としてはこの試合のMVPは彼にあげたい活躍を見せてくれたと思う。地味だけど要所を抑えるルベンらしいプレーが何度も見られた。

▪️崩しのパターンを変えたシティ

後半に入るとシティは攻撃パターンを増やしていった。HTでデ・ブライネとサヴィーニョに代わりギュンドアンとフォーデンが投入された。

デ・ブライネとサヴィーニョが変わることで失われる攻撃パターンがある。しかし投入されたギュンドアンとフォーデンによって得られる攻撃パターンがある。前半は見られなかった崩しの形を投入された2人が作り出していった。

フォーデンはインテルのコンパクトで緻密な[5-3-2]ブロックの中でボールを受けるチャレンジを試みる。このチャレンジをしっかり成立させしまうのが、プレミアリーグ屈指のライン間の魔術師の凄みだ。どんなに狭いスペースでもボールを引き受けてフィニッシュまで持ち込んで見せた。

ギュンドアンはもう一人のストライカーになり、中の厚みを増やしていった。ハーランドと共にクロス、フィニッシュ局面のターゲットに。そんなギュンドアンのプレーぶりになんだか懐かしい気持ちが一気に蘇った。試合終盤にクロスから決定機を迎えたギュンドアン。

後半にはなかった形を加えたシティだったが最後までインテルのゴールを割ることはできなかった。

2年前の再戦はスコアレスドローで幕を閉じた。しかしその90分の内容は濃厚で面白味満載でした。試合を3回も見直しました。それほど面白く、学びの多い内容でした。それではまたサッカーの面白い話が出来ましたら記事を書きたいと思いますのでお楽しみに。

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