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2020年代のベーカリーのためのマッチングサイト

街のパン屋さん絶滅の危機

パンブームといわれて久しく、次々にオープンするベーカリーは街の人の目をひくし、楽しみな気分にもさせてくれるけれど、総務省統計局の事業所に関する集計を見れば、各都道府県のパン・菓子製造業の廃業の店舗数は開業のなんと2倍近くもあるとわかる。小売のベーカリーは真面目な話、減少傾向にある。

そこにはいろいろな理由があるだろう。大手卸売ベーカリーとの価格競争に敗れて、というような理由もあれば、少子高齢化に伴う後継者問題もある。

独立開業志望の技術者と熟練技術者を繋ぐ

後継者がいなくて店を閉めようとしている年配のパン屋さんが大勢いる。製パン技術者のバイブル的な本『新しい製パン基礎知識』著者の竹谷光司さんは、その現状をなんとかしたいと思い、後継者を探すパン屋さんのためのマッチングサイト、「アルバネット(リテイル活性化協会)」を立ち上げ、現在、ボランティアで運営している。

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製パン機器一式が付いた店を借りる

例えばあなたが、これからベーカリーを開業しようと考えているパン職人だとしよう。

開業には、窯をはじめとする設備への初期投資が必要になってくる。店舗の場所を借りて、設備工事をして内外装を整えてオープンするまでには、数千万の資金が必要かもしれない。

でもその一歩手前の準備段階として、もし、製パン機器一式揃った、すでにパン屋さんとして使われている(使われていた)店舗を丸ごと賃貸契約することができたらどうだろう。

貸してくれるのはリタイアしたパン職人。お客さんが来なくて店を閉めたのではなくて、年齢的に辞めようと決意した職人だ。そういう人がたくさんいる。もったいない、と竹谷さんは言う。

もしも希望するなら、大家さんである熟練パン職人は、人気商品の製法も伝授してくれる(絶対そうしなければならないわけではない)。それは街の人たちに愛されてきたパンで、日々の一定の売り上げを保証してくれるパンだ。そのような商品を受け継ぐことができれば、大家さんも街の人も嬉しいし、日々の売り上げが安定すれば、自分が焼いてみたいパンを好きに焼くこともできる。みんなしあわせ。

そんなお試し独立開業で、二年あるいは三年、試運転してみて、もっとそこでやっていたければ継続して契約してもいいし、試運転しながら貯金して、自分好みの設備を整えられる余裕ができたなら、そこを出て自分の城を築いてもいい。なにより、多額のお金をかけないで試しに「やってみる」ことができる。そこで得られる気づきだけでも、意味があるのではないだろうか。

アルバネットは、貸したい人(スマートにクローズしたい人)と借りたい人(初期投資を抑えたい人)のためのマッチングサイトだ。

スマートなクローズのために

竹谷さんは30年ほど前、業界最大手の製パン材料メーカーの技術者だった時代、理想のベーカリーについて考えるフォーラムを立ち上げた。そして仲間の開業を手伝ったり、勉強会を開いてきた。そんな仲間たちも60代、70代にさしかかっている。かつては理想の店をつくることを考え、今は理想のクローズを考える。

竹谷さん自身は退職後、夢だった小さなパン屋さん「美味しいパンの研究工房つむぎ」を開き、10年続け、この秋、当初の計画通り閉店した。店はユーカリが丘駅に直結したビルに移転し、「ベーカリー&カフェ TSUMUGI」として息子さん夫婦が引き継いでいる。

読んでくださったみなさんへ

「ベストパートナーを見つけるのには時間がかかります。2~3年後のことを考えて、是非今からご登録をお願いいたします」。竹谷さんは呼びかけている。登録は無料だ。

独立を考えておられる職人さん、店を手ばなそうと考えておられる職人さん、よかったら竹谷さんにお問い合わせください。そしてご登録を是非。竹谷さんがお見合いを取り持ってくださいます。お問い合わせは下記サイトから。

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