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#日々のパン手帖

きっとミミが好きになる

きっとミミが好きになる

March9, 2019

昨日に続いて、パンのミミの話。子供がパンのミミを残すのは、おいしいミミが解決してくれるに違いない。おいしいというのは、食べたときに心身が心地よい感覚になることだ。

おいしいミミは、ミ(中身)のおいしさを確約してくれる。それは特別な素材を添加したりしなかったりすることではなくて、ミとまったく同じ生地にもかかわらず、焼くことで異なるものになる、職人技によるサプライズなのだ

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雨の日のクロワッサン

雨の日のクロワッサン

March 7, 2019

雨の夕方、クロワッサンを買って帰る。
普段、クロワッサンを食べる機会があまりない。朝のイメージだし、早朝から開いていて、クロワッサンを焼いている店が、近くにないから。

夕方で、ぱりぱりの層が湿気を含んでしまいそうな雨降りで、わたしは車から降りて店に飛び込んで、クロワッサンと、ついでにいくつかのパンを買い込んで、車に戻った。

クロワッサンを食べたい気分だったのだ。

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残念なリンゴに出合ったら、キャラメルアップルトーストを

残念なリンゴに出合ったら、キャラメルアップルトーストを

February 21, 2019

なんだか味が薄い、残念なリンゴに出合ってしまったら、少量のバターときび砂糖をフライパンに敷いて、薄く切ったリンゴをソテーします。水分が抜けて、バターと砂糖でほどよくキャラメリゼされて、濃密になるというか、同じリンゴとは思えないおいしさです。

さらに仕上げにレモンをキュ、と絞ってもいいし、好みでシナモンを振りかけたり、生クリームやギリシャヨーグルトをトッピング

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この世で一番美味しい、たまごサンド

この世で一番美味しい、たまごサンド

February 10, 2019

たまごサンドは、みんなに愛されている。

『日々のパン手帖』(メデイアファクトリー 2007)の冒頭、「この世で一番美味しいサンドイッチ」というプロローグに、たまごサンドのことを書いた。

家庭のサンドイッチは、好きなものを好きなようにはさむことができる。マヨネーズもカラシも好きなだけ。それは世界でひとつ、特定の誰かのためのもの。たまごサンドにおいしい思い出を

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つくり手との距離

つくり手との距離

January21, 2019

庭の金柑を蜜煮にしたもの、これは自然になった実を自分でもいできて、グラニュー糖のみを加えてつくる、まさに家庭の味、なのにぎゅっと濃縮された甘味と酸味、艶のあるオレンジ色が自慢のひと品だ。

わたしの金柑蜜煮は職人がつくるもの —— 美しい渦巻きの層の間から芳醇なバターが香るクロワッサンでも、こんがりとよく焼けたクラストを持つ、旨味のある田舎パンでも —— とコラボ

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金柑蜜煮

金柑蜜煮

January 2, 2019

今朝の手仕事、金柑蜜煮。
Bread + something good(パンと何かいいもの)は、一時期、わたしの執筆のテーマだった。
15年ほど前は、フレンチスタイルのパン屋さんが話題になっていたころで、ハード系のパンが注目され、粉と酵母と水と塩でつくる、最もシンプルなそれらのパンをわたしはとても好ましいと思い、そのことを、さまざまなメディアで発信した。けれど、食

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